第5話:出発
翌朝。
いつも朝の稽古等があるため、早起きな拓也。
しかし、今日はいつもより少しばかり早く目が覚めていた。
(じいちゃんやミナモはまだ寝てるか)
そう思いながら起きあがる拓也。
外は丁度明るくなり始めた頃だった。
「そういや地下世界だから日の光ないんだよな・・」
じっと東の空を見る拓也。
「絶対にここに戻る・・」
そう自分に言い聞かせる拓也。
「眠れなかったんですか?」
と、いつのまにか自分の横にいたミナモ。
「俺はいつも早起きだからな。それよりミナモこそ眠れなかったのか?」
聞き返した拓也。
「私は天使ですから・・睡眠時間少なくても大丈夫ですよ」
そう告げたミナモ。
「そっか・・」
「・・・・・」
しばらくの間続く静かな時間。
「お前の大事なもの取り戻して・・生きてここに戻ろうぜ」
「はい、約束です」
そう言い微笑み合う拓也とミナモ。
そして、その様子をしばらく見ていた源十郎は家の中に戻っていったのであった。
その後三人で朝食をいただいた。
「しっかり食べておかないとな」
「はい♪」
そして出発間近。
「じいちゃん・・・」
「そんな顔をするでない・・ワシはお前達が戻るのを待っておる」
そう言う源十郎。
「はい、必ず戻ってきますから・・・私のせいで拓也さんも巻き込んでしまいましたから・・」
「別に俺は大丈夫だからさ・・・」
ミナモにそう言う拓也。
「気をつけてな・・」
「行ってくるぜ、じいちゃん!」
そう告げ拓也とミナモは鳳家をあとにしたのだった。
「そう言えば地下世界への道・・・知ってるのか?」
歩きながら尋ねる拓也。
「それは大丈夫ですよ♪能力の石を探すついでに調査してましたから」
そう答えるミナモ。
「ミナモ、戦いなら俺に任せておけよ・・聖天具がないと力出せないんだろ?」
拓也がそう言うと
「そんな事ないですよ天使の翼だって使えますから、攻撃の力も使えるはずです」
そう答えたミナモだが、微妙な不安が残る拓也。
「とにかく地下世界へ急ぎましょう」
そう言い駆け出すミナモなのであった。
しばらく歩いていた二人。
ミナモについては地下世界での行動のために、先ほどから小さな翼を羽ばたかせ宙に浮いていた。
どうやら力を失った今の状態で、どれくらい力を使えるか試しているようだった。
「それはいいんだが・・・ミナモ・・」
「はい?」
自分の真上にいたため、見下ろしながら言ったミナモ。
「今力使ってたらあとでバテるぞ」
そう忠告した拓也。
「大丈夫です♪私は天使ですから♪」
「どういう理屈なんだ・・」
そう感じる拓也。
「飛んでるのは良いけど・・・道案内も頼むぜ」
「はい♪」
元気よく返事するとミナモは下に降り、天使の翼を消した。
「こっちの山の中ですよ」
その場所は拓也がミナモと出会った場所から少し離れたところのようだった。
「こんな山の中にか・・」
拓也が驚いていると
「とりあえずはですけど」
「とりあえず?」
「地下世界への出入り口は他にも何カ所かあるらしいので♪街の中にもあるかもしれませんけど」
そう言うミナモ。
そして二人は、山の中にある洞窟の前にたどり着いたのであった。
「ここか?」
そう聞く拓也。
「はい♪地下への入り口っぽいでしょ」
何故か元気に答えるミナモ。
「じゃあ、いくか」
一足先に洞窟内に入ろうとした拓也。
だがミナモは、さっきとは打って変わって何やら不安そうな表情で立ち止まったままだった。
「ミナモ?」
「この先へは私も行ったことありません・・・地下世界への出入り口ですから罠とかもあるかもしれません・・だから・・・」
と、拓也はミナモの元に戻ると頭の上に手を置いた。
「?」
不思議そうな表情を見せるミナモ。
「それも承知で地下世界にいくんだ・・それに一人じゃない・・・だから不安なんて無いさ」
「拓也さん・・」
ちょっと微笑むミナモ。
「行こうぜ・・・ミナモは不安かもしれないけどさ・・そんなもの俺の風で吹き飛ばしてやるからさ」
そう告げた拓也。
「はいっ♪」
再びいつもの笑顔に戻るミナモ。
「それじゃ・・・」
「地下世界に突入です♪」
不安を吹き飛ばすかのように、拓也とミナモは元気よく地下世界へと続く洞窟へ突入していったのであった。




