↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
103/110

整序

諏訪大社四社を巡り終えた一行。

一度足を止め、これまでに得たものを整理していきます。

結局、折角のホームシアターなのでと思って、続けて映画を見ていると、床に就いたのは丑三つ時を過ぎていた。

夜遅いのはいつものことなのだが、ホームシアターの魔力は凄かった。


その映画を見ている最中に、静流と少し明日の件について話をしていた。

目的はクリアしたと思っているのだが、神様だけの話を聞いていて、大阪に行った時のように地の人と話をしていない。

そのあたりがどうも引っかかっていた。

土地の歴史や、口伝などがあれば、それこそ自分たちが聞いておくべきものなのではないかと思っていたからだ。


もう一つ、気になっていることがある。

神様の話に、結の話が出ていなかったのだ。

確かに、水神から離された内容の流れを考えると、自分のことをよく知っておく必要があるという話だ。

だが、今回の一連の問題のきっかけは、いつもの喫茶店で結を見つけてしまったこと。

そこについて、土地を回って、聞ける相手を探そうと思った。


そのあたりのことを静流に相談したところ、ひとまず、明日一日は休息日として、明後日に諏訪湖周辺を回ってみることになった。

諏訪湖と諏訪神社が、この土地を象徴するものだと思う。

なので、その二つのうち諏訪神社は訪れた後なので、諏訪湖とその周辺に過去から住んでいるモノがないか見て回ろうという話をした。


映画を見終わった後、流石に布団で寝ることにしたので、翌朝は寝室で目を覚ました。


「静流、今日は何をするんだ?」

「倉庫に結構大きなBBQ用のグッズが揃ってたから、今日の夕食にBBQをする準備をしようと思ってるよ。」


なるほど、確かにドラム缶を半分に切ったようなサイズのBBQコンロから、テーブルにランタンなど、色々なものがあった。

裏の庭側にはウッドデッキが広がっているので、そこでくつろぐような流れをイメージした。


「とりあえず、昨日までのまとめもしておきたいから、朝食後に少し話をしよう。」

「わかったよ、先にリビングに行って、二人に説明しておくね。」


朝の支度については、静流のほうが圧倒的に早い。

自分はタンクトップとハーフパンツ型のジャージ姿で寝るので、人前に出るまで少し時間がかかる。

静流は部屋着のまま寝る習慣のようで、起きぬけにそのままリビングに行ってしまった。


手近にあった夏用ジャージを羽織ってリビングまで移動する。

リビングでは澪が朝食を作っている最中だったが、こちらに向かって挨拶をしてくる。

野乃花ちゃんは近くにあった果物でデザートを作っており、その姿を静流が心配そうに見ていた。

ものの十分ほどで朝食の準備が整う。

朝食を摂りながら、昨日の話をおさらいしておくことにした。


「静流、昨日の事代主の話ぶり、どう思う?」

「建御名方神とかもそうだと思うけど、自分たちの世代は、今までと少し毛色が違うみたいだね。」


確かに、建御名方神も事代主も、今代はといった話をしていた覚えがある。

恐らくは、今までの各家から輩出された家を代表する人たちと、自分を含めた今代のメンバーは何か違うのだろう。

それが何を意味するのかは分からない。

建御名方神も、事代主も、恐らくは分かっていなかったのだと思う。


「確かに、そんな話をしていたが、何が違うんだろうな。」

「うーん、俺の場合は、今までよりも観測する力が強いって感じだったけど、境の場合は違いそうだよねぇ。」

「ええ、境さんは、今までの神代家が持っていた“基準”がないって言われてましたね。」


そう、自分の場合は今までのご先祖様と比較してどうという感じではなく、そもそもあるはずのものがないといった感じだった。

言われてみれば確かにということが沢山あったが、事代主も経過を見たいというほど理解できなかったようだ。

建御名方神も水神も、みんな同じ感想なんだろうなということは、事代主の行動から見て取れていた。


「澪は色々背中を押してもらった感じに見えたが、どうだ?」

「はい、迷いながらでも、何でもいいから前に進まないと、と思いました。」

「だね~、澪ちゃんももっと積極的にいかないと~。」


すっきりした雰囲気の澪を後押しする感じで、野乃花ちゃんが悪戯っぽく笑いながら言う。

野乃花ちゃんについても、その慧眼を褒められていたので、今回は全員に何かのコメントをもらっているという認識だ。

それだけでも、諏訪まで来た甲斐があると思う。


「今回分かったのは、榊家の観測は俺ができるということと、澪ちゃんの行動指針への後押しがあったと。」

「はい、私は後押しのおかげで迷いが晴れた感じです。野乃花ちゃんの本質を見る目というのも褒められてましたね。」

「えへへ~。」

「そうだな、後はやはり、自分だけは何がどうなってるか分からないレベルだったと。」


それぞれに何らかのヒントを受け取っていただけに、自分の方だけが何もなかったという話をするとみんな黙ってしまった。


「とはいえ、次の目的地が決まったんだから、収穫はあったと思う。」

「そうですね、次は鹿島神宮ですか?」


澪に、先日の話の終わりに聞いた場所を提示、確認される。

だが、今日のところは、少し先の次の目的地ではなく、明日、明後日の話をしようとしていた。


「明日からは、諏訪湖周辺で過去にあった話とかを聞けないかと考えている。」

「そうそう、昨日の夜に境とは話したんだけど、地元の話とか伝奇とかを聞いて回ろうかってね。」


澪も野乃花ちゃんも特に問題なく賛成してくれた。

反対されるとは思っていなかったが、賛成してもらえるとやはりほっとする。


「とりあえず振り返りはこれくらいにして、夜の準備をしていこうか。」


澪と野乃花ちゃんに、静流のほうから、夜にBBQをしようと考えていることを伝えた。

道具が倉庫にあったのは、何となくではあるが澪も認識している。

なので、今必要なのは燃料と、食材であるということは言わずも分かった。


そうこうしているうちに、朝食を食べ切ったので、澪と野乃花ちゃんが後片付けを始める。

それを見つつ、自分たちも外出用の服に着替えて、買い出しのためのカバンなどを準備していた。

炭などは大きいので箱のままになると思うが、それ以外の食材などはエコバッグのほうがいいだろう。

ビニール袋でもいいのだが、重さを考えるとちぎれないか心配になるので、エコバッグを選択した。


「さて、買い出しに行こうか。」


澪と野乃花ちゃんを二列目に乗せ、静流と二人、前の座席に座った。

外を見回す野乃花ちゃんとは対照的に、澪は購入する食材のメモを取っている。

普段から料理をする澪にとって、BBQはどういう印象何だろうと思っていたが、杞憂だったようだ。

人一倍楽しみにして、プランを考えているようだ。


各種材料を購入するため、全員でホームセンターとスーパーの両方が入っている商業施設に向かった。


—— 前に進むだけではなく、一度立ち止まって整理する。そうすることで初めて見えてくるものがあることを、改めて感じていた。

諏訪大社四社を巡り、それぞれが多くの言葉を受け取ることになりました。


しかし、分かったことを並べてみれば、まだ分かっていないことも見えてきます。

神々から話を聞くだけではなく、この土地に残る記憶や、そこに暮らす存在にも目を向けることに。


とはいえ、今日は休息日。

難しい話はいったん置いて、次回はBBQの準備へ向かいます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。