↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
54/55

第4章 【そぐわぬ者】 1. 只者 パート2

久々の投稿です。

お読みいただき、ありがとうございます!


前回はルシアスとグレイスの会話を通じて、物語の裏側を少し覗いていただきました。

今回は再び、フィン、エリシア、ノクスの三人の旅へと戻ります。

それぞれに背負うものはありますが、そんなことはお構いなしに、今日も三人の掛け合いは賑やかなようです(笑)


新たな目的地を目指す三人の旅路の様子を

どうぞお楽しみください!

大きな街道から外れた、人の往来も少ない細道。

そこを歩く三つの人影があった。

険しい道のりとは裏腹に、その足取りは軽い。

ダラ神殿の街【ノクト】を出発して、どれくらい経っただろうか。


『水も食料も少なくなってきた。フィンの狩猟だけでは限界も近いか…そろそろどこかで補給をしなければならんか。』


不意にエリシアが呟いた。


『確かにそうだな。もう南の国の領地だし、街に寄っても問題ないだろ。』


『南の国は五年前の戦争で、領地の半分を帝国に奪われていますからね……。帝国領を避けてきた分、かなり遠回りになりましたね。』


フィンとノクスが、その呟きに応える。


『まぁ……南の国は五年前の帝国の侵攻を、侵略戦争と捉えているだろうし、今も国内には【監視役】として帝国の軍人が置かれている。市民は帝国人に対して、よい感情は持っていないだろう。私にとっても、自由に動ける国ではないと考えた方が良いだろうな。』


エリシアの言葉に、しばし沈黙が流れた。

やがて、彼女は再び口を開く。


『…正直、あの当時のことを思い出すのは辛いな。あの頃は帝国の快進撃に心を躍らせていたんだがな。』


その声には、自嘲するような響きがあった。


『すいません……嫌なことを思い出させてしまいましたね。』


ノクスが申し訳なさそうに口を開く。

当時のエリシアにとって、あの戦争は兄【ルミオン】の命を奪った者たちへの復讐だった。


だが、その裏で何が起こっていたのかを知った今、あれが単なる侵略戦争ですらなかったことを理解している。

様々な思いが脳裏をよぎり、エリシアの表情がこわばった。

ふと、しゅんと肩を落とすノクスに気づく。

エリシアは慌てて笑顔を作ると、優しく声をかけた。


『いや、こちらこそスマン。気を使わせたな。』


『まったくだぜ。』


やれやれ、とでも言いたげに溜息をつき、フィンが両手を胸の前で広げる。


『いや、お前は気を使ってないだろ! ノクスを少しは見習え!』


『へいへい。』


『まぁまぁ、お二人とも落ち着いて。』


苦笑いを浮かべながら、ノクスが二人の間に入った。

こんなやり取りは、旅が始まってから何度目だろう……。

ノクスは思わず遠い目をする。


『ノクス、どうした? 腹でも痛いのか?』


フィンが少し心配そうに顔を覗き込んできた。


『フィンさん……たぶんエリシアさんが言っているのは、そういうところだと思いますよ。』


『そうだぞ、フィン! 反省しろ!』


『ちぇっ、面白くねぇなぁ。』


その一言に、エリシアとノクスはとうとう堪えきれず、声を上げて笑い出した。

そんな二人につられ、フィンの顔にも自然と笑みが浮かぶ。


『そうそう、冗談は置いといて、エリシア。ここからどうすんだ?』


『ん……冗談?』


エリシアは一瞬、怪訝そうな顔をしてフィンの顔を見たが、そこで何かを諦めた。


『……ああ。地図では、あと二、三日歩いたところに【カストルム】という街があるはずだ。そこにいるであろう人物に協力を仰ぎ、東の国を目指す。』


そう言うと、エリシアは広げた地図に打たれた赤丸を指さした。


『名は【メデウス】。槍の名手であり、かつて私の部隊で戦線指揮を執っていた切れ者だ。』


『バッカのおっさんみたいなもんか。そりゃ、期待できるな!』


『確かに、バッカライさんのような人物であれば信頼できますね。』


どうやら、フィンもノクスもバッカライに対する信頼は相当に厚いようだ。


『その通りだ。少々、"真面目で几帳面"なところはあるが、東の国へ抜けるには計画性が必要になってくる。うってつけの人物だろう。』


説明するエリシアの表情は、どこか誇らしげだった。


『真面目で几帳面ねぇ……。バッカのおっさんがガサツで、いい加減すぎるだけなんじゃねぇか?』


『フィンさん! バッカライさんに失礼ですし、フィンさんは人のことは言えませんよ!』


ノクスが口元に人差し指を当て、フィンをたしなめる。


『違いない! ノクスの言う通りだぞ、フィン!』


『ちぇっ! またかよ……。』


先ほどと同じようなやり取りに、三人は思わず足を止め、クスクスと笑い合う。

やがて笑い声が収まると、再び歩き始める。


目指すは、【砦の街カストルム】。


三人の足取りは、先ほどよりもさらに力強くなっていた。

お読みいただき、ありがとうございました!


久しぶりに三人の旅へと戻ってきました。

エリシアの過去に触れる少し重い場面もありましたが、フィンがいると、どうしてもこういう展開になってしまいます(笑)


作者としては、もう少し真面目な会話になる予定だったのですが……。

まぁ、彼ららしいと言えば彼ららしいですね。


さて、次なる目的地は【砦の街カストルム】。

そこにはエリシアのかつての部下、【メデウス】がいるようです。

真面目で几帳面な人物とのことですが、果たしてフィンたちとうまくやっていけるのでしょうか?


次回も三人の旅を楽しんでいただけたら嬉しいです。


それでは、また次のお話でお会いしましょう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。