表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
45/52

第三章 【神の子】3.決断 パート5

神になるとは?

ノクスの考えに考え抜いた答えがここに明かされる・・・


神になる――

それは、一体どういう事なのか――

神とは何だ?

人とは何だ?

私は紛れもなく人だ。

生身の身体を持ち、不老でも、不死でもない――

心は?

喜ぶことも―

怒ることも―

泣くことも―

笑うことも―

その全てを持っている。

もし、“神”という存在が、その全てを失ったものだとしたら――

果たして、それは人々を救える存在なのだろうか?

人を超越した存在が――

……いや。

私は、人だ。

だからこそ、できる事がある――

――

――

――

人は弱い生き物だ――

何かに頼り――

何かに縋り――

そうやって生きている。

……ああ、私は知っている。

だから、人は神を求めるのかもしれない。

祈らずには、いられないのかもしれない。

自分の足で立ち――

自分の意思で進む――

それが出来れば理想だろう。

だが――

いつだって、そう在れる訳ではない。

立ち上がれない時は?

前に進めない時は?

誰かを頼る?

……だが、その誰かが、いつも傍に居るとは限らない。

だから――

神様が必要なのかもしれないな。

――

――

――

この世に、“無償の愛”は存在するのだろうか。

親の愛。

兄弟の愛。

恋人達の愛。

だが、それらは本当に無償なのか――?

無償の愛とは――

水のようなものなのかもしれない。

風のように――

火のように――

ただ、そこに在るもの。

見返りも求めず――

何も要求せず――

当たり前のように、人を支え続けるもの。

……神とは、そんな存在なのかもしれない。

だとすれば、人とは何だ?

善なのか。

悪なのか。

……そんなものに、答えなど無い。

決めるのは、自分自身だ――

――

――

――

儀式は終盤へと差しかかっていた。

玉座の間を埋め尽くす信者達の祈りは、次第に熱を帯びていく。

ゴォォン――

ゴォォン――

重々しい鐘の音が響き渡った瞬間――

玉座の間は、祝福の拍手に包まれた。

フィンとエリシアは、玉座の裏に背を預けたまま、ゆっくりと目を開く。


『……無事、終わったな。』


『ああ。ノクスなら、立派な神様になれるさ。』


小声で呟く二人。

すると、玉座越しにノクスの声が返ってきた。


『ありがとうございます。』


『何だよ……先に礼を言われちまったな。俺こそ、助けてくれてありがとな。』


『私もだ。本当に、ありがとう。』


三人は小さく笑い合った。

ノクスの顔は見えない。

だが、きっと笑っているのだろう。


『私は、この儀式の間に……色々考えて、決めました。』


不意に、ノクスがそう口にする。


『『何を?』』


二人の声が綺麗に重なった。


『神様になったのですから――ここからは自由です。』


『『……は?』』


再び重なる声。


『ですから、神様って一番偉いじゃないですか。なら、変えてしまえばいいんです。もっと自由に――もっと勇敢に――』


ノクスは静かに立ち上がる。

そして、玉座の前に置かれていた錫杖へ手を伸ばした。


『貴方達二人に……教えてもらったんですよ。』


錫杖を握り締める。

次の瞬間――

ノクスは、それを天へ掲げた。

――ウォォォォォォ‼

玉座の間を揺らす歓声。

すすり泣く声。

祈り。

熱狂。

誰もが確信していた。

全てが上手くいったのだと――

その瞬間だった。


『ギャァァァァ‼』

『グワァァァァァ‼』


神殿の外から、絶叫が響き渡る。

歓声が止まった。

玉座の間が、一瞬で静寂に包まれる。

そして――

――ドゴォォォォン‼

閉ざされていた重厚な扉が、爆音と共に吹き飛んだ。

吹き飛ばされた衛兵達が、床を転がる。

あまりの衝撃に、エリシアとフィンは玉座の裏から飛び出した。

二人が扉の先を見据える。


――そこに立っていたのは、白銀の鎧を纏った二人の騎士。

その中央。

赤みがかった金色の長髪を揺らしながら、一人の少女がゆっくりと前へ歩み出る。

白いマントには、金糸の刺繍。

細身のレイピアには、揺らめく炎。

少女は肩に剣を担ぐと、口元を吊り上げた。


『我らは、正義の女神リンの代行者――』


少女の琥珀色の瞳が、玉座のノクスを射抜く。


『正義の名のもとに――偽りの神に裁きを。』


突然の乱入者

正義の女神リンの代行者とは?

パート6に続く。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ