表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/38

第三章 【神の子】2.本当の心 パート2

腹ごしらえの為に食堂を訪れた二人。

これからどうするのか。

街の中心部にある大きな食堂を避け、街外れにひっそりと建つ小さな食堂を見つけ、二人はそこへ入ることにした。

エリシアは、先ほど切ったばかりの髪を何度も指で触って確かめている。

短くなりすぎた髪は風通しが良すぎるのか、どうにも落ち着かない様子だった。

その様子を、フィンは呆れた顔で眺めている。


『どうせまた伸びるんだろ。気にすることねぇじゃねえか……。』


ぼそりと呟いた言葉を、エリシアは聞き逃さなかった。


『誰があそこまで切れと言った!お前に任せたのが間違いだった!』


むっとした顔で睨みつける。

ふと、エリシアの脳裏にノクスの言葉がよぎる。

――大雑把でいい加減。

思わず苦笑が漏れた。


『……やはり、ノクスの言った通りだな。』


『あ?何か言ったか?』


『ノクスに会ったら聞いてみろ。』


つっけんどんに返すと、フィンは不満げに口を尖らせた。


『なんだよそれ。面白くねぇな……。』


そんなやり取りをしていると、店員が注文を取りにやってくる。


『注文は決まってるかい?この店はこの街じゃ珍しく肉も扱ってるんだ。肉料理、どうだい?』


にこやかにメニューを指差す店員に、エリシアが応じる。


『肉が珍しいのか?この辺りにはあまり詳しくなくてな。』


店員は少しだけ苦笑した。


『あんたたち、旅人だな。この街は初めてかい?』


『ああ。よければ、この街のことを少し教えてくれないか?』


その言葉に、店員は店内を見渡す。

客は二人だけだ。


『まぁ……時間はあるな。』


肩をすくめると、語り始めた。

『この街は、ダラの神殿がある――ダラ教の中心地だ。


教えがな、質素・節約・無駄な殺生の禁止……そういうもんだから、肉を出す店は少ない。』


フィンが眉をひそめる。


『無駄な殺生って……食うために獲るのは無駄じゃねぇだろ。』


店員は深く頷いた。


『俺もそう思うさ。だがな……ここ数年で、教えをやたら厳しく、いや――狂信的に解釈する連中が増えてな。』


少し言葉を選ぶようにしてから、続ける。


『俺もダラの信徒だが……正直、ついていけないところはある。』


その表情には、かすかな疲れと諦めが滲んでいた。

エリシアは、その変化の原因に心当たりがあった。

――ルシアス。

おそらくルシアスの来訪が、ダラの神殿にもたらした影響は凄まじかったのだろう。

その恐怖がトラウマとなり、信仰をより内向きに向かわせている・・・。

そして、それがこの街にも影を落としている。

そう考えると、妙に腑に落ちた。


『助かった。最後に一つ聞きたい。』


エリシアは静かに切り出す。


『五日後、ダラの神殿で祭典があると聞いた。どんなものだ?』


店員は、ぱっと表情を明るくした。


『お、耳が早いな。詳しくはねぇが……神殿に“神の子”が修行から戻ってきてな。』


少し身を乗り出して声を潜める。


『五日かけて“神になる支度”をするらしい。で、その瞬間を皆で祝う……って話だ。』


――神になる瞬間。

その言葉に、フィンとエリシアは視線を交わした。

――ノクスはまだ、神ではない。

互いに同じ結論へと辿り着く。

ゆっくりと店員に向き直ると、フィンがメニューの肉料理の欄を指で叩いた。


『よし、決めた。ここからここまで、全部持ってきてくれ!』


僅かにノクスへの糸口を見つけた二人。

次回、作戦会議が始る。

パート3に続く。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ