76話 おかしな交渉の裏話
アメリア様に私のことを話すと、アメリア様はただただ驚いておられて、そして急に様子が変わった。
「勇者の魔力教えて。さっきよく分かんなかった」
先程までのアメリア様とは様子が異なることは一目瞭然だった。
そしてアメリア様はそのまま交渉に臨まれた。
戻ってきた時の様子が異なるのは、誰の目にも明らかだったようだ。
勇者と呼ばれるあの子も動揺している。
何よりも、アメリア様が礼儀を全然守ってらっしゃらない………。
いつもならば守ろうかなと努力をなさった上で諦められているのに、今日はもうめちゃくちゃだ。
相手の言葉を遮って、らしくない。
それに、アメリア様がとても急がれているように思われた。
アメリア様の体はどうなっておられるのだろう。
その心配が見事なまでに的中し、アメリア様は席から立たれようとした時、気を失ってしまった。
アメリア様の魔力が抜けていくのがよくわかる。
心配はしたものの、アメリア様の魔力は正直私にも分からない。
後日聞いてみればいい。
そうやって安易にすすんでしまうのは、アメリア様の影響なのかもしれない。
そして、私にはそれを挽回する力がなかった。
アメリア様が誘拐されたと聞いた時、私は心臓が凍りつくやもと言うほど衝撃があった。
疑いたくはない。
それでも私の足は必然的にあの子のいる部屋へと向かっていた。
中へと入ると、そこにはあの子の死体があった。
思わず発狂してしまいそうな程の惨状の中心には、アメリア様を抱える何者かがいて。
その者は私がアメリア様を見つけるなり、
「流石に早いね。アメリアの配下は優秀だ」
それを言い残して去っていった。
アメリア様は、あの子の死体と一緒に消えてしまった。
アメリア様を連れ去ったのかと思われる魔法陣に手を伸ばそうとしたその時、部屋に人の足音が響く。
そして見えた先には血まみれの勇者と、余所者で、今まさに服に血がついた人間。
判断を下すのは腐敗した組織で生きるのに慣れた下衆ども。
そこから導き出される答えは、
「勇者の殺人罪で、貴様を死刑にする!」
これだけだ。
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