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竜人が来たことで、ギズロフはナイフを構えましたわ。ロキシーは杖を構え、メイベルは拳銃を抜きましたの。

私でさえ、自動人形を出そうとバッグに手をかけましたわ。

これだけ警戒されていたのに、その竜人は焦りもせず立ったまま話しかけてきましたの。

「待ってくれ。当方は戦いたい訳じゃない」

ギズロフはこの言葉に眉間のしわを深くしましたわ。

「弓持って現れてきたくせに戦いたくねぇとは平和的でいいな」

「平和的とは良い言葉だ」竜人が手を挙げると、周りの熱帯雨林から竜人たちが現れて、私たちとその竜人を囲みましたわ。

「だが争いは同等の者でしか発生しないというのも良い言葉だ。人扱いされない我々が、君たち5人と同等とはおこがましいかもしれないがね」

メイベルが肩の銃を構えようとして、ギズロフに止められましたわ。

一斉に弓を射られたら、勝ち目などありませんもの。ギズロフは竜人の目を見据えて言いましたわ。

「争いをしてぇなら他を当たりな」

「いや、当方は戦いたい訳じゃない。欲しいものがある。それが貰えれば何もせず帰そう」

「それを信用するかは別の話だ。数だけは多い人間もどきに契約のなんたるかを説いても無駄なことは分かっているけどよ」

ギズロフのこの一言に、竜人たちは気色ばんだ様子でしたが、前にいる竜人は顔色を変えませんわ。

「我らは、意思の通じる『人間』だ。誰が認めないとしても我らにはその尊厳があることを信じている。それはそれとして契約は守ろう。」

「お前が、だけでなくお前らが、危害を加えないとすれば話だけは聞いてやるぜ」

このギズロフの言葉に、竜人たちが驚かないか、私は手に冷や汗をかいていますの。

「いいだろう。皆、いいな」

その言葉を聞いて、ギズロフはナイフを持った手を下げましたわ。ただ、ナイフは握った手から離しませんでしたわ。

「何だよ、言ってみろ」

ある竜人は口を開きましたわ。

「解毒剤が欲しい。持ってないか」

ああ、こんなこと、前にもありましたわね。

「解毒剤?」

ギズロフは怪訝に思ったようでしたわ。

「『解毒浄身散』が欲しい。持ってないか」

「持ってねぇな」

どうしましょうか。このまま逃げることは不可能ですが、だからといって逃がしてくれるかどうかは分かりませんわ。

「では、当方のため買いに行ってもらっても構わないだろうか」

メイベルは、舌打ちをしましたわ。

「お前らのために、パシりに行けって?ちょっとばかし調子に乗ってるんじゃねぇのか、魔物崩れが」

そこまで挑発して、大丈夫なのかしら。

竜人たちは一転、冷たい雰囲気を出していますわ。

私は目線を合わせられませんの。

「まあ、メイベル落ち着け。ただ、買いに行っている途中で仲間が殺されないとも限らねぇな」

ギズロフは目線を竜人に合わせたままで、手でメイベルを制止しましたわ。

このまま膠着して、竜人たちの機嫌が悪くなるのは危険に思いましたの。

だから、口を開きますわ。「材料はあるんですの?」私の言葉に、全員の目が突き刺さりましたわ。

メイベルとギズロフは、口をぽかんと開けましたの。「バカ、止めとけ」

「姉ちゃん、こんなこと気にするこたぁねぇよ」

でも、言った以上は違えてはなりませんわ。

「材料さえあれば、私が合成致しますわ」

竜人たちにも、意外に思われたのか、ざわざわと話し声が聞こえますわ。

「それは本当か」

「ええ、その代わりここで合成しますわ。それでもよろしくて?」


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