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だいぶ遅れていて申し訳ないです。
後から知ったことなのですけれど、水晶竜は体が硬く、力もあるそうですわ。
突進されたらひとたまりもないそうですの。
けれども視力が弱く、あまり近づかなければ、そう害にはならないそうですの。ギズロフはそれを知っていて、すぐに逃げようとしたらしいですわ。
でも、危険はそれだけではなかったですの。
洞窟の最奥には穴が空いていて、前に見たコロッセオのように穴の縁が崖のようになっていますわ。その崖の上に、何十人もの人影が現れましたの。
逆光で肌の色はわかりませんが、頭まで長さがある尖った耳で、竜人だと思いましたわ。
竜人たちは、全員弓を持っていましたの。
水晶竜に、竜人たち。事態は最悪でしたわ。
ギズロフは一瞬怯みつつ、すぐに私たちへ叫びましたわ。
「来た道を戻れ!今すぐだ!」
戻るときは、一番戻り道に近いメイベルから、入った時と逆になる順番で、来た道を戻りましたわ。
最後のギズロフが、道に戻った瞬間、ギズロフと洞窟の隙間から矢の雨が水晶竜に降り注いだのを見ましたわ。
竜は矢を体の一部である水晶ではねのけたようですが、脇腹の水晶がない部分に数本刺さったようですの。
水晶竜は迎撃のため蹄をならすと、竜人がいる方向へ突進していきましたわ。
鈍い衝撃音の後、洞窟全体からパラパラと土埃が降ってくる音が聞こえてきましたの。
ここまで見たところで、メイベルに肩を叩かれましたわ。
「あんたが動かねぇと進まねぇだろが。早く動け!」今も警戒しなければいけないのをすっかり忘れてましたわ。
とにかく、ここから離れたい一心で戻り続けましたわ。
やっと出口から出たあとも、ギズロフが戻るまでは落ち着かなく、無事に出たのを見たときはほっとしましたわ。
ギズロフは、苦虫を噛み潰した顔をしていましたわ。「いくら何でも、水晶竜なんて冗談じゃねぇぞ、5人で倒せるわけねぇだろ……情報屋の野郎、シメてやらぁ」
彼は、私たちを見て頭を下げましたわ。
「すまねぇ、無駄骨になっちまったな。姉ちゃんにも遠出してもらった挙げ句、この様なんざ情けねぇ」
一番先に口を開いたのは、メイベルでしたの。
「元から信じてたのはあんただけだ。次は考えさせてもらうからな」
かなりきつい言い方でしたが、命をかけて戦うものとしては当然かもしれませんわね。
その言葉に豚は怒りましたわ。「そんな言い方はないだろ!話自体まだガセとは分からないんだから、またレベル上げて戦えば良いだけじゃないか」
メイベルは、軽く豚をにらみましたわ。
「あんたは、そういうところが頭足らねぇんだよ」
「なんだと!」
「ギズロフ」
「待て、俺が悪かったのは違いねぇから仲間割れは止めてくれ」
「ギズロフ」
ロキシーの2回目の呼び掛けで、ギズロフはその方向を向きましたわ。
「何だロキシー、今は取り込み中で」
「竜人が近づいてきている」
ロキシーが指差したその先には――
片手に弓を持ち、下半身を半ズボンで隠している竜人が、私たちの向かい側に立っていましたの。




