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刀剣呪伝~力を宿して敵を討て~  作者: パチパチ火花
四章 八岐大蛇侵攻編
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第二十二話 八岐大蛇侵攻編

 千鶴の捜索は続いた。依然として手がかりはない。

 ――八岐大蛇の根城に連れ去られたのでは、という結論が出る。その場所は「深淵(しんえん)ノ黄金城(おうごんじょう)」。場所は突き止められているが、その危険性故に今まで刀剣士が踏み入ることはなかった。

 だが――攫われたとなると話は変わってくる。

「……シンゴ、各隊に連絡だ」

 刀也が言う。

「……これより、深淵ノ黄金城に潜入して千鶴奪還作戦を決行する」

「――無茶ですよ」

 近くで話を聞いていた龍吾セラフが口を挟む。

「……あんな根城に入り込もうものなら、死人は一人二人じゃ済まされないですよ」

「……それでも、だ。刀剣士は皆死ぬ覚悟が出来ている」

 刀也が言う。そして。慎吾も。

「――千鶴を助けたい。その為なら、命だって捧げる」

 セラフはやれやれと言った感じで頷いた様子だ。

「……もちろん、気持ちはわかります。ですが他の隊が動いてくれるかはわからないですよ。千鶴さんが攫われたのは十番隊の事情。特についこの間まで保守派だった連中は」

「――先の特別稽古を通して、多少なりとも親睦は深まったはずだ。全ての隊でなくてもいい。どこか一つだけでも協力してくれれば――それでいいんだが」

「……わかりました。私が問い合せてみましょう」

 ありがとう、と刀也は返す。セラフは隊舎を出て行った。

「シンゴ。隊舎の横にある塔の鐘を鳴らしてくれ。十番隊隊員を集める」

「承知しました」


 しばらく経って、根城への遠征が始まった。驚くべきことに――全ての隊が、出動要請を受けてくれたのだ。

 セラフの声掛けだけではない。セラフの声掛けを受けた百鬼隊長も掛け合ってくれたとのことだ。

 そういうわけで、八岐大蛇と刀剣士の総力戦が始まろうとしていた。

「……八岐大蛇、というのは、八人なんですか?」

 慎吾が刀也に尋ねる。

「……最上位の幹部が八人というだけだ。下級の者は数百いる」

 それでも刀剣士全隊員よりは少ないはずだ。

 根城は黄金城という名前ながらも、「城」ではなかった。あくまで「国」、「町」といったイメージだ。広大な「国」へと、刀剣士は攻め入った。

「おお……人数不利だからってわけじゃねぇけど、これだと面白くねぇよな」

 入った途端、どこからか声がした。

「――分断」

 その瞬間、一同の視界が暗くなった。


 気がつくと、慎吾は砂漠のような場所に倒れていた。近くには魁朱コアレと縷紅アロマの姿。

「コアレ!!アロマ!!」

 慎吾は叫ぶ。先程聞こえた「分断」という言葉――恐らくは寄ってたかって集まった刀剣士を、八岐大蛇がグループに分断したのだろう。

「……シンゴ?」

 コアレとアロマが目を覚ました。

「……あれ、見て」

 アロマが指を指した。その方向に、人影。

「……よくぞ気がついた!」

 気を引き締める。見たことの服。恐らくは――八岐大蛇。

「……俺は八岐大蛇一般兵――紅鷹傘寿(あかたかさんじゅ)!!君らの名はなんだ!殺す相手の名は覚えておきたい」

 慎吾たち三人は紅鷹を睨む。

「――日下部慎吾」

「……縷紅アロマ」

「魁朱コアレだ!」

「――お前を殺す!!」

 慎吾の低い声が通った。

「……面白い」

 紅鷹はニヤリと笑った。


「……ここは?」

 紫香楽悠聖が声を出す。隣には相棒――将雅トラの姿。

「将雅――しっかりしろ」

「…………紫香楽?」

「恐らく分断された」

 静かに状況を分析する。

 そして、目の前に現れた。――確実に、味方ではない男。

「――誰だ」

 紫香楽が即座に声を出す。

「ダ、ダ、ダレ?ダレ?ダレ?」

 男の顔は仮面で見えない。

「……狂気だな」

「……ヴ、ヴ、ヴルルルルルァァァアアア!!」

 鋭い咆哮。紫香楽と将雅はその男に刀剣を抜いた。

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