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洞窟絶対脱出エスケープ

「うおおおおおおお!」


思いっきり洞窟の壁に向かって飛び蹴りをかます!


が、壁はまったくびくともしない。


「うおおおお!」


次は拳で行く!


ゴリッ


「いったアアアアイ!」


当然びくともしないどころか拳の方が痛い。


なぜ転生早々こんなことになっているのか。原因はこの洞窟に出口がないからだ。


正確に言うと出口らしい場所はあるのだが、そこがでっかい岩で阻まれている。


もしかしたら長年使われなかったせいで女神も整備するのを忘れちゃってたのかもしれない。


このっドジっ子女神ちゃん!コラ!詫びに結婚してくれ!


「そ、そういえば女神の名前聞いてない!」


ック、結婚する相手の名前も知らないなんて俺ってばお茶目チャン!


ん?そういえば俺の名前ってなんだっけ


よく考えてみたが一向に思い出せない。向こうでの記憶が消えたわけではないが、名前だけがどうしても思い出せない。


「ウーン、とりあえずここを脱出してから考えるかってだからそれが難しいって言ってんだろオラッ!」


ゴリッ


「いったアアアアイ!」


って、そんなバカやってる場合じゃないぞ。これは結構ガチで八方塞がりの四面楚歌じゃないか?ここで終わるのか?俺の絶対最強ナンバーワン生活がこんな初手スターティングで終わってしまうのか!?


「ってまてええい!絶対最強ナンバーワンならこんな岩ワンパンできるやろうがッ!」


そうだ。俺はこの世界に転移する直前、女神に俺を絶対最強ナンバーワンにしてくれと頼んだはずだ。


絶対最強ナンバーワンならこんな岩、俺が「ちょっと壊しチャオウカナ」って思っただけでションベンもらしながら砂粒になるまで粉々に爆砕するのが道理だろう。


「うん。確かに。そうじゃん。蹴ったり殴ったりしちゃって必死になっちゃってプププって話ですよね。それは不確定最弱ワーストワンの行いですわ」


絶対最強ナンバーワンには絶対最強ナンバーワンのやり方があるんだなこれが。


出口を塞ぐ岩の前に立つ。


「絶対最強ナンバーワンギャラクティックスーパーメンチだ!オラッ!」


…何も起こらない。


「いや、まあ冗談だけどね、マジで。そんなわけ無いやん普通に考えてってかマジだと思ったんですか逆にそんなわけ無いでしょマジで」



静寂が洞窟を包む。


「ッウ、ヒック、ウゥ」


泣いた。本当に久々に泣いた。こんなに泣いたのは小学生のときたかしくんに体操ズボンにカレーをこぼされてうんこマンってからかわれたとき以来だ。


「っう、うう…ん?」


泣いていたら服の中のポケットに紙切れが入っているのを見つけた。



あなたの願いについて

 

 こんにちは、女神です。あなたの願いである絶対最強ナンバーワン(恥ずかしいので以後祝福と記します)について説明します。


 あなたに与えた祝福は、あなたが絶対にできると信じたことを実現させる能力です。

 心の中の冷笑系を完全に捨て去り、熱い心で信じましょう。

  とはいえ、あまりに現実的でない理想は無意識のうちに頭が否定してしまいます。あくまでも常識の範囲内の理想を思い浮かべましょう。



「なんだって…これが、俺の能力か…」


内容は理解した。でも、俺は今までこの岩を壊すつもりで全力で蹴ったり殴ったりしていた。説明通りならこの能力が発動していないとおかしい。


「いや、全力でやることと、自分を信じることは違うか」


全力でやるのは大前提だ。成功しようが失敗しようが、最善を尽くすのが俺の流儀。


だが、それだけじゃだめだ。全力で自分を信じる。失敗から学ぼうとするんじゃなくて、まず眼の前の成功だけを見据えるんだ。


「そうだ。心のどっかで殴ったところでこんなでっかい岩壊れるわけないって思ってた。でも、それじゃダメなんだ」


再び岩の前に立ち、拳を腰だめに構える。


「絶対最強ナンバーワンが俺なんじゃない…」


構えた拳に金色のオーラが溢れ出る。


「俺が絶対最強ナンバーワンなんだっ!!(?)」


岩に拳が突き刺さり、黄金の亀裂が走る。


「オラァッ!」


亀裂からけたたましい光が漏れ出すと同時にその岩は洞窟もろとも爆散した。

 


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