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新婚6日目、ミーシャは戦場に行った~貞操逆転世界で出征した妻のために夫のすべきこと~  作者: つゆたま
ビウクニツ編

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275日目④

本日は2話投稿です。これは2話目です。

 いい子にしてないと、ジャガーノートがやってきて、食われてしまうぞ。二つの頭がある、怖ろしい黄色い瞳の、黒い竜がやってくるぞ!


 ラシスカ人にとって、ジャガーノートとは子供のしつけに使われる定番の脅し文句だった。エカテリーナもルキーナも、親や乳母に脅しつけられたことがある。そんな子供のころから刷り込まれてきた、民族的恐怖の象徴。

 強大な力を持つ魔法使いの二人は、蛇ににらまれた蛙のように、冷や汗を流して硬直していた。


「避けて!何か来るよ!」


 沈黙の中。この場で真っ先に正気を取り戻したのは、ラシスカ人になって1年も経っていない、ウーノだった。

 パックリと口を開け、赤い口腔の奥から何かを吐き出そうとしている姿を見て。彼は二人の腕を引っ張った。


「え、ええ!」


 衝撃から立ち直った彼女たちは、ジャガーノートの首の方向を見て慌てて横に飛ぶ。

 無理やり飛んだせいで、腹を打つ。痛みに顔をしかめるが、本当に間一髪、間に合った。


『GYOOOO!』


 金属をひっかくような高音と、獣の野太い重低音が混ざった、不快な叫び。耳を塞ぎたくなる騒音と共に、白く輝く奔流が解き放たれた。

 その奔流の正体は、暴風のブレスと輝く無数の小さなガラスの棘。

 サンドブラスト、という加工技術がある。砂などの小さな粒子を高圧で吹き付けることで、石や金属を削る手法だ。

 ジャガーノートの放ったそれは、ガラスの棘によって行われるサンドブラストに等しい。


 強大な力の奔流が止んだ後、何とかブレスを避けられた一行の周囲に、チリンチリンとガラスが地面を叩く。攻撃が直撃した床は、大きくえぐり取られていた。

 生身で受ければ、一瞬で血煙に変えられてしまうだろう。


「洒落になんねぇですわね!」


「くっ!?第二波が来ます!」


 ジャガーノートは、双頭の竜である。首は、もう一つあるのだ。

 ブレスを吐き終えた首を垂れ下げたその黒い怪物は、もう片方の首を上に掲げ、パックリと口を開いた。


 喉の奥に、光が見える。


 その光を目撃した瞬間、エカテリーナの脳は一瞬の間に何千何万ものニューロンを発火させ、無数の可能性をシミュレーションした。

 二人を抱えて避ける?いや、体勢が悪い。間に合わない。雷縮地をしても、回収しながら避けるのは危険だ。一人で逃げるのは論外。いや、そもそも避ける必要は……


 一瞬の判断。エカテリーナは足と同時に手にも雷をまとわせて、四肢全てを使って雷縮地を発動させた。

 無理やりな体勢からでも、足に加え腕の力も加わった彼女は、超スピードで飛び上がる。その跳躍の先は、ジャガーノートの下顎だ。


 殴り蹴る暇もなく。ただの全身体当たりで、エカテリーナはジャガーノートの下顎をカチ上げる。

 衝撃によってジャガーノートの首は上を向き。しかし今更ブレスを引っ込めることもできずに。暴風に押し出されるガラスの棘は天井に向かって放たれた。


 ドゴォ……


 天井は大きくえぐり取られた。幸いにも崩落の心配は無いようだ。上を見上げたルキーナとウーノはホッと息を吐く。

 そしてそのまま、ジャガーノートは活動を停止した。巨大な怪物とはいえ、魔導戦車は魔導戦車。乗り物に過ぎない。操縦者がいなければ、動くことはできないのだ。

 何か仕掛けがされていて、水中から出てきて特定の方向にブレスを吐くように仕組まれていたのだろう。ウーノはそう推測を立てた。

 さて、これで安全だ。これからどうしようか……


 ドボーン!


 巨大な水音に、視線を下に引き戻される。中央の水路に、巨大な水柱が上がっていた。

 何が落ちたのだろう?その正体に思い当たったウーノは、顔を青ざめさせた。


「エカテリーナ!不味い!彼女はカナヅチなんだ!それに鎧着てる!」


 そう、ジャガーノートに体当たりをかましたエカテリーナは、雷縮地の反動もあって無防備に落下。そのまま水路の中に落ちてしまったのだ。

 魔法使いと言えども、肺活量まで特別な訳ではない。せいぜい2,3分が限界だ。


「はっ!?そ、そうですね……いったいどうすれば……」


「何か紐とか掴まる物は!?」


「掴まる物……確かメンテナンス用の道具入れが近くに……ありました!これに重しでも付けて沈めましょう!」


 ルキーナは地下水路の地図を慌てて広げ、メンテナンス用品が入れられたロッカーを見つけ出した。中に長いロープも入っていた。

 彼女の提案に対してしかし、ウーノは首を振った。


「ダメだ!さっきのあれは、雷縮地って技を使ったんだと思うけど……あれを使った後は、しばらく安静にしないといけないんだ!体が不自由な状態で、カナヅチなのにいきなり落水して、しかも暗い水の中!冷静に紐を見つけて掴むなんて、出来っこない!」


「じゃあどうすると言うのですか!」


「俺が潜る!」


 ウーノは即答して、ルキーナの持っていた紐を奪い取る。そして自分の胴体に紐をしっかり結び付けた。

 潜水の重しに、その辺に落ちているガラス棘や砕かれた瓦礫なんかをポケットに詰め込む。


「潜るって……無茶ですよ!」


「やるしかないだろ!エカテリーナの命が懸かってるんだ!……ルキーナさん、紐の反対側、持っていてください。それで、3回引っ張ったら、引き上げてください。お願いします!」


 バチャン!ウーノの姿は水中へと消えて行った。


「ちょっ……ああぁ!まったく!」


 ルキーナは頭を掻きむしりつつも、合図を見逃さないために指先に神経を集中させた。




 こうして潜るのは、春以来だな。

 ウーノは寒中水泳さながらの冷たい水の中を沈み込みながら、ふと懐かしさを覚えた。


 あの春。この世界に来るきっかけになった出来事。煽られた挙句の未成年飲酒からの滝壺ダイブ。我ながら馬鹿なことをしたものだ。

 しかし、今回のこれは違う。見栄を張るために無茶をしているのではない。


 大切な女性を守るための、無茶だ。


 エカテリーナは、俺を守るため瞬時に行動し、その結果、今、命の危機にある。

 なら、今度は俺の番だ。

 ウーノに躊躇いは無かった。


 しばらくして、ウーノは水底にたどり着いた。上を見上げると、ルキーナが掲げてくれている魔導ランタンの光が、ぼんやりと見えた。その光のおかげで、真っ暗と言う訳でも無い。


 雨水と浄水された水の混合であるので、目の刺激もそこまで強くない。なんとかまぶたを開けて、ウーノはエカテリーナを探し始めた。


 水柱の位置的に、こちらの方のはずだけど……

 苦しくなる息をこらえて探すと、キラリと何かが反射するのが見えた。


 手で水を掻いて急いで駆けつけると、ぐったりとしたエカテリーナを見つけた。

 ウーノは慌てて彼女を抱きしめ、ロープを3度引く。直ぐにグイグイと体が引かれ始めた。


 鎧を着て重たいエカテリーナを落とさないように、全力で抱きしめる。息が漏れ、水を吸い込みそうになる。

 それでも何とか我慢し続けること、十数秒。とうとう岸に、引き上げられた。


「……ぷはぁっ!ぜぇー、ぜぇー……エカテリーナ、しっかりして!」


 寒さをアドレナリンでかき消して、息を整えるのもそこそこに。ウーノはグッタリとして意識の無い彼女の頬をペチペチと叩く。しかし、反応は見られなかった。


「大丈夫ですか!?」


「エカテリーナが息してない!ああ、こういう時は、心臓マッサージ!?人工呼吸!?」


 とにかく鎧を脱がせて、心臓マッサージを……ウーノが慌てて鎧の留め具に手を掛けたところで、ルキーナが彼を押しのけた。


「どいてください!肺から、水を抜きます!……とりゃ!」


「ブフッー!?ゲホ、カハッ!?」


 ルキーナは鎧の胸当ての鋼板の上から、掌打を叩きこんだ。プレートが手形にへこむ程の衝撃である。

 その衝撃は効果抜群で、エカテリーナは口から水を噴き出して、急いで息を吸うようにせき込んだ。


「エカテリーナ!良かった、生きてる!」


「ゲフッ、グゥ……ハー、ハァ~……ええ、生きてますわよ……ジャガーノートは……?」


 ウーノに背を支えられて起き上がったエカテリーナは、気だるげに首を回して怪物の姿を探した。


「動きは止まったよ。魔導戦車も乗り物に過ぎないしね。事前に動きを設定してたみたいだけど、ブレスを2回撃つ以上のことは設定されてないんだろうさ」


 ウーノの言葉を聞いて、エカテリーナは表情を緩めた。


「はぁ~……一安心ですわね。ところで何で、ウーノまで濡れてますの?シャツが透けてセクシーが過ぎますわよ。目の毒ですわ、誘ってますの?」


「色ボケられるほど元気なら、心配はいりませんね。まったく、大したお転爺ですね、妻人は。彼はエカテリーナ武官が水の中に落ちたら、迷わず助けに飛び込んだんですよ」


 いつもの調子を取り戻したエカテリーナに、ルキーナは思わず呆れて状況を説明した。

 やけにペタペタとウーノの体を触っていた彼女も、話を聞くとボディタッチを止めて申し訳なさそうな顔を浮かべた。


「……また、ウーノに助けられてしまいましたわね」


「何言ってるのさ、戦友でしょ?いちいち申し訳なさそうな顔しないでよ」


「……オホホ、そうでしたわね。助けてくれて、ありがとうございまし、ウーノ」


 エカテリーナは深くウーノを抱きしめた後、バシバシと彼の背中を叩いて離れる。

 その力強さに顔をしかめつつ、改めて無事を実感したウーノは笑みを浮かべた。


「さてと……そういえば、そろそろ部隊の……」「副官殿ー!」


 ルキーナが思い出したように水時計を取り出したところで、ガシャガシャと複数の足音が聞こえて来た。

 通路の奥から、分かれていた部隊の人員が駆けて来たのだ。


「な、ナニコレ!?」「ジャガーノート……?」「い、生きてんのかな!?」


 兵士たちは左右の歩道に足をかけ、水路全体に鎮座する黒竜を見て、困惑の声を上げる。

 その足を避けつつ、29名の兵士はルキーナの下に整列した。


「副官殿、これは一体……?」


「そうですね……どこから説明すれば良いやら……ああ、そうでした。そちらの方に、男が二人、逃げて行ったはずです。彼らは重要参考人です。捕縛しましたか?」


「はっ!確保しております。問題になる可能性を考慮して、拘束などはしていませんが……」


「直ぐに縛り上げて、ここに連れてきてください。手荒になっても構いません」


 ルキーナが指示を出すと、部隊長は敬礼して部下に伝達した。もうすぐあの二人組が、連れてこられるだろう。


「ふぅ……それにしても、こんな巨大な魔導戦車を作る技術があるなんてね……水路の中に隠してたのかな?」


 ウーノは兵士から乾いたタオルを受け取って、体を拭く。エカテリーナも同様に、鎧を外してタオルで水気を取っていた。


「さっきのブレス攻撃はヤバかったですわね……『戦争を続ければスーラフの補給線は伸びきって燃え尽き、ラシスカが勝利していたはずだ!』なんて論調を目にしますけど、こんな新兵器が投入される前に降伏して、正解でしたわよ。もっとボロ負けするところでしたわ」


 そうして二人はシゲシゲとジャガーノートを見上げた。どこか感心したようにすら見える二人の様子に、ルキーナは忠告した。


「問題なのは、そのとんでもない新兵器が、ラシスカ帝国のシンボルのジャガーノートの似姿をしていて、元ラシスカ帝国領、現ポツカ共和国領という微妙な立ち位置の都市、このビウクニツに地下で秘密裏に製造されていた、と言うことです。兵士たちに周囲の探索を行わせていますが、陰謀の確たる証拠は出てきていません。やはり例の二人組を尋問し、自白を引き出さなくては……」


 話をすれば。兵士が老人と中年の男性二人を連れて来た。


「おいおい、もっと淑女的に扱えや。縄はないやろ、縄は」


「うるさい!男だろうと容赦せんぞ!きりきり歩け!」


 不服そうな老人と、不安げな中年男性。二人は損傷も無く停止しているジャガーノートを見ると、驚愕の声を上げた。


「Pourquoi le Juggernaut est-il à l'arrêt ? (何でジャガーノートが停止してるのだ?)Il était censé être en mode autonome, non ?(自律行動モードにしたはずだろう?)」


「Je ne sais pas... Ah ! (分かりません……あぁ!)Docteur, je suis désolé !(博士、申し訳ありません!) Ce n'était pas le mode autonome, mais le mode de tir unique !(自律モードでは無く、一撃発射モードになっていました!)」


「なんて言ってるのですか?エカテリーナ武官?」


「なんか手違いがあった的なことを言ってますわね。自律モードじゃなくて、一撃発射モードになっている、とか?」


 ルキーナが翻訳を求めると、エカテリーナは直ぐにポツカ語で返事をした。一応、大使館の外ではずっとポツカ語を使っているのだ。


「自律……?自分で動くってことかな?さっきのあれを、そう呼んでいるのかな?」


 ウーノはジャガーノートを見上げた。確かに操縦者なしで自ら這い上がり、ブレスを撃つのは中々の自律性だ。しかし、普通の魔導車も事前に動きを命令して、動作を予約しておくこともできる。優れた魔導車技術を持つスーラフが極秘に開発した新型魔導戦車なら、それも可能かと考えた。


 しかし、そうではない。エカテリーナは、『自律モードじゃなくて、一撃発射モードになっている』と伝えたのだ。ウーノは、勘違いしていた。まだ、自律モードにはなっていないのだ。


「ともかく、大使館に彼らを連れて帰りましょう。尋問の専門家は、ここには居ませんから。妻人から見て、あのジャガーノートが再起動する可能性はありますか?」


「無いはずです。操縦者もいないし。さっきは事前に動きを組んでいたから出来た芸当で、本当の自律行動なんてありえないですよ。事前にある程度の動作を命令しておくことを、自律と表現しているだけだと思います」


「なんやなんや!ラシスカの魔導車技術は随分と遅れとるなぁ!自律行動があり得ない!?はっ!笑わせるわ!」


 拘束されている老人の叫びに、思わずウーノは振り向いた。

 周囲の視線が集中したことで、老人は失言に気が付いたようにハッと口を結んだ。

 その様子を見て、ウーノは少しシンパシーを感じた。自分の携わる物に誇りを持った、技術者としてのプライド。それを老人から感じたのだ。


「……へぇ~。『野蛮な』スーラフの魔導車技術が、ラシスカより進んでるわけないし、どうせ口だけでしょ?」


「な、なんやと!後進国の分際で生意気な!あの魔導戦車はな、全身の神経系を接続して、文字通りの『感覚』を得てるんや!まあ、どうせアンタに言っても、何も分からんやろがい!」


 挑発に乗った。ウーノはシメシメと思いながら、疑問点を投げかけることにした。


「神経系の接続……?視覚や聴覚まであるってこと?いや、それこそあり得ない。情報を得たところで、それを処理する脳については……」


「なんや、そこまで思い当たったんか。そうや、脳が無ければ、情報は処理できひん。せやから……」


「Docteur, il n'est pas bon de divulguer des informations avant d'être interrogé……(博士、尋問される前から情報を漏らすのは不味いです……)」


「Oh no!Merde!(しまった!クソが!)」


 煽りカマかけは不発に終わった。助手が何か助言したらしい。エカテリーナの方を見ると、『しゃべり過ぎ、と注意されてましたわ』と教えてくれた。

 それ以降、スーラフの魔導車技術を馬鹿にしてみても、老人はこめかみをピクつかせるだけで喋らなくなった。


「……不安はありますけど、多分動かないと思います。ただ、見張りは必要でしょうね」


 もう少し確信を得たかったが、ここではこれ以上の尋問は無理だろう。ウーノはルキーナにそう提言した。


「分かりました。それでは東班と西班は、見張りとして待機してください。北班、その二人を捕縛して、大使館まで戻ります。エカテリーナ武官、妻人は、どうされますか?」


 ルキーナの問いかけに、エカテリーナは首を横に振った。


「わたくしは、もう少し休んでから大使館に戻りますわ。それに、現場に魔法使いが一人は居た方が、良いでしょうし」


「それなら俺も、ここで待ってるよ」


「分かりました、それでは……」


 ルキーナはジャガーノートについて、水路から出て来たこと、ブレスが強力であることなど、万が一再起動した際を考えて、情報共有と指示を出した。ウーノはルキーナの足に氷を当てて、クールダウンを手伝う。

 各々が自分の仕事に分かれ、ルキーナが大使館に戻る……と言う時。


 その黒竜の上に、人影が現れた。


「डाक्टर, अनावश्यकं किञ्चिद् न वक्तव्यं कृतवानसि न?」


「……っ!?誰ですか!?」


 耳なじみのない発音に向けて、ルキーナは火の粉を飛ばした。

 闇が一瞬払われる。30名以上が囲う、黒竜の上に。誰にも見つかることなく現れたその人物は、黒髪青目の流れ水の民と思わしき、妙齢の女性だった。


 不明な言語に呼応して、口を噤んでいた老人も似た声調の言葉を叫んだ。


「वाष्पीकरणसमिति!निश्चितं!आगच्छ, मां सहाय कुरु!जगर्नाथं प्रचालय।!」


「な、何語ですの?4大国の言葉ではありませんわね」


 強大な魔物の肉を喰らい、多くの魔法使いを抱える3国。ラシスカ帝国、ガマニア連合、スーラフ人民国。そして、強大な魔物を倒してこそいないが、古くから成立し最大の国土を持つポツカ共和国。この4国が、この世界での主要な国家だ。

 エカテリーナはその4大国の言葉を全て話せるが、その彼女でも謎の女性と老人の言葉は、理解できなかった。


「何語でも、やり取りをさせないように!口を塞いでください!」


 ルキーナが兵士に命じるが、もう遅い。女性はするりと動いて、ジャガーノートの口先に手を掛け、首の一部を蹴りつけた。


 周囲の兵士は集まって、女性を捕縛しようと魔導具を向けるが……その照準は、強引にずらされた。


『GYOOOO!』


 再び聞こえてきた、耳をつんざく叫び声。

 ジャガーノートが、再起動したのだ。まるで意思があるように、人がいる方向に向けて首を回し、パカリと大きく口を開ける。

 真っ赤な口内の、その奥に。再び白い光が、集まり始めた。


「また……!退避!退避ー!」


 神話の怪物は、活動を再開した。

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