【第12話】拠点確保2 セリカの秘密
セリカは、今後について悩んでいた。母の体も気にしている。
体調をくずしているようだ。領主の相手に身も心も疲れはて倒れたようだ。それでも領主に呼ばれたら相手をするしかない状況。
母の願いもあり外に逃げ出した。
名目は、他の領土への勉強のため。実際は出稼ぎがメインだ。
幸い隣の領主の娘と仲良くなり、面倒を見てもらっている。
それがあの日を境に変わり始めていた。世界皇帝の養育係になった日から。他の人は誰かに押し付けたいと考えているのは明白だったが、断ることもできなかった。
「これからどうしよう」
皇帝の養育係となって数日がたったこと。今の状況は悪くはない。
給金をもらえるようにしてくれたようで、不満はない。ただ支払いはどうなるかと考えると憂鬱になる。
毎月の支払いには足りる量ではない。そもそも借金が減るどころか増えていっている状況なのだ。
これも父が悪いといえれば、いいのだけど、父のことは尊敬していた。だから逃げることもできない。
皇帝にお願いしようにも、子供だからどうしようもない。また下手に何かをすると母や妹が心配だ。
調停者は?信頼できるかどうか分からない、姿の実体がなく、怖い存在でもある。
数日後、調停者様の力を実感する。精霊化の実験だとのことだが、レベルが12から120になったのだ。このような世界があるのかと驚いた。
調停者様にだけは、逆らってはだめだと恐怖した。
それからリーシュの領土に行くことになり、少し心配になった。
突然の戦い、
その光景に更に恐怖した。
精霊化した皇帝が1000人を瞬殺したのだ。その姿は美しく踊っているようだった。
しかし驚いたのはその後だった。
誰も殺していないのだ。
なぜ、殺せるのに殺さないのか?
分からなかった。
調停者様の一言に驚いた。
「なるべく殺したくない」
調停者様は優しい方なのかも知れないと少し思った。
でも力を貸してもらったらどれだけの見返りがあるのかを考えると怖かった。
リーシュの領土にあの領主の使いがきた、頂いたお金を全て渡したが足りないとのこと。
「そんなっ」
「罪人の賠償が、そんなに安いものではないだろ?」
父は罪人ではない!叫びたい気持ちを抑えた。騙されただけだ。
そろそろ母も限界のはずだ、エルフで回復力に優れているとはいえ
痛め付けるのが好きなあの領主には耐えられないと思う。
母を気に入ったのも、回復力が人間の女性よりすぐれているからも理由だそうだ。
私も普通の人より回復力は高い、
母の負担を減らせるかもしれない。
調停者様に助けをお願いしたくても、レイゾクの指輪もありそれもどうにかできるかもしれないが、私には支払える物もない。
この世は理不尽だ。それでも妹が母の変わりになるのも時間の問題だ。
タクト様の養育係を妹にお願いできないか、調停者様に明日お願いしよう。妹も年齢も近く適していると話して納得してもらうしかない。
あの領主のもとに行くことを考えると死にたい気持ちになってくるが、逃げることはできない。
「タクト様、早く大きくなって、もし私のことを覚えていたら、助けてくださいね。」
今日は久しぶりにタクトがグズって一緒に寝ることになった。
タクトを抱き締めながら寝れない夜を過ごすことになる。
翌朝、タクトの世話を終えてセリカは調停者のもとへ向かった。
「おはようタクト」
「パパおはよう」
「調停者様、お話したいことがあります。」
「おれもセリカに話すことがあって、ちょっとセリカのいる領土をおれの領土にするから」
「えッ !」
「セリカのことを助けるよ。今まで大変だったね。もう安心していいよ。何も心配はいらないよ。」
言葉もでない、知らず知らず涙が出てくる。動揺した。助けてくれるの?信用していいの?
救ってくれるの?
「私には支払えるものが何もないのですが......」
「そんなのはいらないよ。これからもタクトの姉のように、友達のような存在でいてくれるだけでいいよ。」
「よしよし」タクトが頭をなでている。
セリカは調停者の心を少し分かったような気がした。
この方は口下手なだけで、とても優しい方なのかもしれない。
騙されることになってもこの方を信じてみよう。
精霊化を受け入れる。柔らかな気持ちになった。
「まずは、王子に許可を取りに行こう。だめなら実力行使だ!」
「おーーー!」
タクトが意味分かってないだろうが声をあげる。
城に向かって転移した。




