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素敵な家族



時間というのは本当にあっという間にすぎる。

レイから提案を受けて明日でちょうど1ヶ月...。

つまり私は明日から王城に住むことになる。

この1ヶ月は今まで以上に家族と濃い時間を過ごした。


「こことも今日でお別れなのね」


私は自分の部屋を見渡しながら少し寂しい気持ちになった。

もちろん明日からの生活は不安や緊張はあるもののすごく楽しみだ。

ずっと思っていたレイと顔を合わせる機会が増えることはすごく嬉しいし、いつか自分の気持ちを伝えられる日がだんだん近づいている気がするもの。


「お嬢様、ご支度はバッチリですか?」


ノックとともにローザが部屋に入ってきて声をかけてきた。


「大丈夫なはずよ。この部屋とももうお別れと思うと寂しい気持ちになっていたの」


「生まれた時からこの部屋でお過ごしになられましたものね。でも奥様はこの部屋をこのまま大事に残しておくと仰っておりましたよ。いつでもソフィア様が遊びにこれるようにと。」


そうローザが私の寂しさを和らげるようにそっと抱き締めて微笑んだ。


「まぁ...!それは嬉しいわ。お母様に後でお礼を言わなくては」


ローザに抱きしめられると自然に心が安らかになる気がする。小さい頃から一緒に過ごしてきたから本当のお姉様のようだわ。


そのローザも王城に着いてきて引き続き私の専属の侍女になってくれることが決まっている。

もともと王城勤めだったから戻るという感じみたいだけれど。

これからも近くにローザがいてくれるのはすごく心強い。


「さあ、ソフィア様お食事の時間ですからすぐにいらしてくださいね」


「ええ、わかったわ」


ローザが部屋から出たあと私は少し身支度をしてみんなが集まっている食堂へと向かった。


「よっソフィ!」


「まぁお兄様!帰ってきていたんですね!」


今日も朝からお兄様の姿は見えなかったからきっと来れないと思っていた。

わざわざ帰ってきてくれたと思うと凄く嬉しい。


「今日でソフィとここで会うことは少なくなるからな。お兄様は寂しいぞ」


お兄様は手を目元に当てて泣いているそぶりをしている。


「寂しいって...王城に行けばもっとお兄様とは会う機会が増える気がするのですが...」


お兄様がレイの側近になってから家より王城にいる時間の方が多かった。だからこれからはもっとお兄様とも会えるだろう。

正直お兄様が全然帰ってこなくなってしまった時は寂しかった。私はこれからお兄様にもたくさん会えると思うと嬉しくなってしまう。

まぁ本人には絶対に言ってあげませんけど!


「まぁ、それもそうだな」


お兄様は私の言葉ににこっとして私の頭を撫でる。


「さあさあ2人とも席につきなさい。」


その父の声で私たちは各自の席につく。

目の前に広げられている料理を見ると私の好物ばかりだった。


「今日でソフィと一緒に過ごせないとおもうと父も寂しいぞ」

 

「もちろん私も寂しいわよ。大事な娘だもの。たまには顔を見せにきてちょうだいね」


「お父様...お母様...」


こんなに温かい家族がいるなんて私はすごく幸せものだわ。


「ソフィ、これから住むのは王城だ。今までの環境とは大きく違い苦労することもあるだろう。それでもソフィはひとりじゃない。殿下はきっとそばにいてくださる。もちろん私たち家族も常にソフィのことを思っているのを忘れないでほしい。私たちはソフィに明るい未来が訪れることを願っているよ」


「お父様...ありがとうございます。私王城でも頑張りますわ。きっと幸せになってみせます」


お父様の言葉は私の胸にじんわりと広がった。

思わず涙がこぼれそうになってしまう。


「今日は家族で素敵な時間を過ごそう」


その父の言葉で私たちの食事が始まった。

食事の時間は本当に楽しかった。お料理は本当に美味しくてお兄様もたくさん楽しい話をしてくれて。

これからの生活は全然予想がつかないけれどこんな風に幸せだったらいいな。


お父様の言葉通り素敵な家族の時間になった。


食事が終わって自室で明日に向けてもう休もうと考えている時部屋の扉がノックされた。


「ソフィ、ちょっといいか?」


それはお兄様の声だった。

こんな時間にどうしたんだろう...。

私は不思議に思いながら扉を開けた。


「お兄様、どうされたの?」


「ああ、いちばん大事なことを伝え忘れててな。殿下から手紙預かっていたんだったよ」


そう言いながらお兄様は小さな白い封筒を取り出して私に渡した。


「明日は昼頃城下町の噴水集合だ。明日の朝部屋に迎えに行く。じゃあおやすみ、かわいい妹」


その言葉を残してお兄様はすぐに行ってしまった。

明日は直接王城に行く予定だと伝えられていたから私の頭の中はハテナでいっぱいだ。


「あ、そういえばこの手紙!殿下からっていったい...?」


私は手に持っていた封筒をあけ中に入っていた小さなメッセージカードを手に取る。

そこにはすごく短い文章が書いてあった。


『明日は城下でデートをしよう 。

レイモンド・スクラーリ』



「えっ!デート!?」


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