まちあわせ
とても清々しい晴天の中、ソフィはリンネとともに噴水の前に立っていた。この噴水は城下町での待ち合わせスポットでたくさんの人で賑わっている。
今朝私は自分の家から出た。
お父様とお母様に別れを告げてお兄様と共にここにやってきたのだ。
お父様とお母様とお別れした時のこと思い出すとなんだか切なくなるけれど、これからの生活への楽しみも大きい。
それに今からはレイとのデートだ。
昨日は突然の事すぎてあまり眠れなかった。
今もレイがくるのををまってそわそわしている。
「ソフィ、外の街に出るのは久しぶりだが大丈夫か?」
隣に立っているお兄様が心配そうにこちらを見ていた。
ずっと引きこもっていたから私が外に出ることなんて滅多になかった。ましてや人の多い城下町なんて特に来ていなかった。
「大丈夫です。今日は殿下もいてくださいますし」
「そうか、まぁ無理はするんじゃないぞ。俺も近くで待機してるし」
「はい、ありがとうございます」
お兄様が近くにいてくれるのはとても心強い。
会える日は少ないけれどお兄様はいつも私のことを気遣ってくれる。私はお兄様の妹になれてとっても幸せね。
「お、来たぞ」
お兄様が見ている方向に私も目線を向けた。
レイがこちらに軽く手を挙げながら歩いてきていた。
その姿はいつもとは違っていて髪の色や目の色を変えている。
(殿下ですものね...もしも正体がバレたら街が混乱してしまうわ)
いつもと違う服装や髪はとても新鮮であったもののやはりかっこよかった。
変装していてもレイはレイって感じだ。
今日は私も平民の格好をしている。
城下町は平民も多いため貴族のような格好で街を出歩くとどうしても目立ってしまうからだ。
とはいえ普段から地味めな服を着ることの多い私にとってはほとんど普段着と変わらないのだけれど。
「待たせてすまなかったな。リンネもありがとう」
「これがわたしの役目ですから。」
そう言ってお兄様はレイに一礼した。
なんだかお兄様がこうやって礼儀正しく話しているのを見るのは新鮮だ。
引きこもってばかりじゃ見れないものがたくさんあるのね。
なんて思っていたのもつかの間すぐにいつものお兄様に戻って「じゃあ俺はもう行くわ!楽しめよー」と言ってどこかに行ってしまった。近くにいるって言っていたしきっとどこかで見守ってくれているのだろう。
でもお兄様とレイってほんとに仲がいいのね。
さっきのお兄様の態度を見る限り堅苦しいのはないみたいだし。
「ソフィ今日は突然だったのに来てくれてありがとう」
「いえ、お誘いとても嬉しかったです」
私の言葉を聞いてレイは「よかった」と優しく微笑んだ。
その笑顔を見てどきっと心臓がはずむ。
「今日は僕がいるから安心して。たくさん楽しもう 」
そう言ってレイは私に控えめに手をさし伸ばしてきた。
レイは私がまだ怖いかもしれないと思っているだろう。それでもわたしはもうこの大きな手を怖いなんて思わない。むしろ安心できる大きな手だ。
「はい」
わたしは差し出されたレイの手を強く握り返した。
レイに私の気持ちが伝わるように、私が心からレイのことを怖くないと思えるように。
手からはレイの暖かな体温が伝わってきた。
レイは私の握り返された手を見てほっとしたように息をつく。
(私の気持ちちゃんと伝わったかしら)
今日ちゃんと言葉でレイに伝えよう。
あなたの事が大好きだと。




