表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/18

ひとつの提案



(うう、やっぱり二人きりだと緊張する。)


先程までユーリが座っていたソファにレイが腰をかけている。

ちゃんと会うのは何日ぶりだろう。

目の前に座る変わらないその美しい容姿についつい見惚れてしまう。


するとレイはゆっくりと口を開いた。


「それで...ユーリと一体何を話してたのかな?僕が関係していたみたいだけど」


「えっと...」


さっそくその質問が来て私は言葉が詰まる。

話してもいいような気もするけど、うーん

少し悩んでから私は


「...ユーリと約束したので内緒です」


と人差し指を顔の前に持っていきながら誤魔化した。


「それはずるいな...」


私の言葉にレイはそうぼそっと僅かに聞こえる声で呟いた。


「え?」


「そんなにかわいく内緒と言われたらこれ以上何も言えなくなった」


少し顔を赤くしてレイは優しく微笑んだ。

その言葉に私まで顔が真っ赤になる。


「顔を真っ赤にしてソフィは本当に可愛いな」


またかわいいと言われてしまった...

というか、からかわれている気がする!!


「レ、レイ...からかわないでください...」


「本当のことを言っているだけだよ。それより今自然に名前を呼んでくれたな。昔に少し戻れたみたいだ」


レイはそう嬉しそうにこちらを見つめている。

確かに本人の前で名前をちゃんと呼べたのは初めてかもしれない。

今まではついつい殿下と呼んでしまってレイに直されていたから...


少しずつ昔のような関係に戻れたらいいな


「そうだ今日はソフィに提案があるんだ」


そう真剣な顔をしてレイは話を切りかえた。


「提案...ですか?」


私はなんの提案をされるのか検討もつかず、レイの次の言葉をドキドキしながら待つ。


「これから一緒に王城で暮らさないか?」


「へ?」


予想外の言葉に私は間抜けな声を漏らす。

王城と言いましたか?え、ここのことですよね?


「せっかく正式に婚約者になったのになかなか会う機会がないだろう?今の僕たちには会う時間が少しでも多く必要だと思うんだ。だからソフィに王城へ移り住んで欲しい...」


なるほど...

確かになかなか会えなくてもっと会いたいと思っていた。

しかしいつか王城に住む時がくるとは思っていたけれどまさかこんなに早く提案されるなんて思ってもみなかった。


「そんなにすぐにとは言わない。まだ家族と過ごしたいだろうし...うーんそうだな、1か月後ぐらいはどうだろう?君が僕ともっといたいと望んでくれるならこの提案に乗って欲しいんだ」


レイのその言葉で私の心はすぐに固まった。


「私は...レイともっと一緒にいたいです。ですからその提案お受け致します」


私はそう素直に答えた。

今の私には彼と過ごす時間が何より大切だと思う。

一緒にいなければ恐怖が消えることなんてないものね。

それに1か月時間をくれるというレイの優しさはすごくありがたい。

いきなり王城に住むことになったらさすがに心の準備ができないもの。


「そうか...良かった。実を言うとソフィになかなか会えなくて寂しかったんだ。だから本当に嬉しい」


昔と変わらないレイの真っ直ぐな言葉に心臓が高鳴った。


(レイも寂しいと思っていてくれてたんだ...)


レイも自分と同じ気持ちだとわかってすごく嬉しくなる。


それから私たちはしばらくお互いの話をした。

10年という長い時間の話をしているとまだまだ時間が足りない。

レイと話している時間は最初の緊張が嘘かのようにすごく心地良くて楽しかった。


レイと話している時間にもう男の人に対する恐怖は無くなっている。

それだけでも私にとっては大きな進歩だった。


ゆっくりだけれど私たちは前に進んでいる。

それを実感できるのがすごく嬉しかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ