結婚
今は花が綺麗に整備された庭園でお茶会中だ。
そこにさらりと心地いい風が吹く。
するとエリアルが何かを思い出したように口を開いた。
「そうだ、今日は本当は報告があって来たのよ。まさかソフィが婚約するなんて思ってもみなかったから忘れるところだったわ」
「報告?」
「そう。私結婚するの」
そうエリアルは幸せそうな笑顔で言った。
「え!ほんとに!?」
あの仲睦まじい2人の姿を見ていたら、そろそろだとは思っていたけれど驚いた。
「ええ。来月に結婚式をあげるから是非いらして。その誘いのために今日来たのよ」
「それはもちろん参加させて頂くわ。エリアルの結婚式に行かないはずがないでしょう」
「ふふっ嬉しいわ」
ああ、エリアルは本当の幸せを見つけているんだ。
花のように笑うエリアルが羨ましい。
エリアルからはもう3年もセリウス様の話を幸せそうにしているのを聞いていた。
そんな2人がついに結婚するのね。
それは自分のことのように嬉しい。
時には喧嘩をして、困難を2人で乗り越えたのを今まで見てきた。
きっとそういうのを経て人は愛を知るのよね。
私は今どの辺にいるのだろう。
あの日、殿下は私と結婚したいと仰ってくれた。
そして私はその手をとった。
だからいずれ私は殿下と結婚する。
そのとききっと私は幸せでしょう。
小さい頃からの約束を果たせるんですもの。
でも心の中ではまだ自分に自信がない。
結婚というものがよく分からなくなってくる。
「ねぇ、ソフィ。私ね結婚なんて必要ないと思っていたの。どうせ親の言いなりになるだけで愛なんてないと思っていたから。でもねセリウス様と出会って愛を知って変わった。この人とずっと一緒にいたいって思い始めた。それが結婚のスタートだったのよ」
エリアルは私のことをなんでもお見通しだ。
悩んでいる時に手を差し伸べてくれる。
「今の私にはまだそのスタートに立ててないみたい」
「ずっと一緒にいたい」か。
そりゃいられるものなら殿下と共にいたいわ。
でも失うことの辛さを知っているから、まだなんだか信じるのも怖い。
「そんなに難しく考えないの。それがソフィの悪いところよ。それにゆっくりでいいって仰ってくれたんだから、ソフィはもっと自分の心に素直になっていくことから始めていけばいいと思うわ」
自分の心に素直になる。
それだったら私は殿下を愛している。
ただそれだけよ。
殿下を思うと胸が苦しくなる。
殿下の表情ひとつひとつに心を揺さぶられる。
もうそれがきっと答えなのよね。
こんなに愛してしまっているのだもの。
きっと殿下は私の心の中にずっといるの。
ああ、きっとそれでいいのね。
あとは私がもっと強くなるだけ。
いや、殿下に頼れるようにならなきゃいけないのね。
「答えが出たみたいね」
そうエリアルはにっこりと微笑んだ。
なんだか少し心が軽くなった気がする。
今日はたくさんエリアルに弱いところを見せてしまったわ。
でもそれを真剣に受け止めてくれた。
そのおかげで少し自信を持てた気がする。
これから先何度も悩むことがあるでしょう。
でもその時は自分の気持ちに素直になるわ。




