Brand new day
然も言われたり初投稿です。
「よし、ここでいい。」
俺達は白狼に停止指示を出す。視界は良好、この距離なら絶対に外さない。
ミミが俺たちの動きに気づく。
「死ねぇぇぇぇぇ!」
発狂して冷静さを失ったミミ。巨大な魔法陣が空中に展開する。
あいつ・・・反射魔法を使いながら別の魔法も唱えられるのか。
だが、ジャスミン、フリッツ、シズクがそれを許さない。
ミミの元には絶えず矢が飛び続け、飛んできた魔法をジャスミンが叩き落す。
フリッツも空中に魔法陣を展開し、彼女の魔法を相殺する。
「今だ!」
ミミの魔法が止まったタイミングを見計らい、飯山がRPGを放つ。
一直線に飛んでいった弾丸は装甲を粉々にする。
土煙が上がる。すさまじい衝撃。そんな状況の中でも、俺はただ一点だけを見つめていた。
狙いを定め、引き金を引く。なぜだろう、外す気がしなかった。
一瞬の出来事。弾丸が魔法エンジンを撃ち抜く。エルシオンが・・・音を立てて崩れていく。
「・・・。」
ミミは駆け付けた騎士たちにあっけなく捕まった。抵抗する様子もなく、不気味なほど静かだ。
俺はあんなふうになった人間を一度だけ見たことがある。あれはまるで、俺が最後に学長室を訪れたときに見た・・・。
マーレの姿にそっくりだった。
最後に俺の横を通り過ぎる時、ミミは俺を見て微笑んだ。それがどういう意味なのかは分からない。だが、戦いはまだ終わっていないのだろう。俺は、ミミがすべての黒幕だとはとても思えなかった。
フリッツは傷だらけになりながらも一命をとりとめた。あと少しでも医者が来るのが遅ければ死んでいたらしい。やっぱり相当無茶してたんだな・・・。俺たちが見舞いに行ってやると、病室はすでに人でいっぱいだった。それを見た俺たちは心の底から、彼を助けることができて良かったと思った。
で、気になるのはマーレとシズク。いったいどうして二人がここまで来たんだ?
そもそもここから魔法学校まで何kmぐらいだっけ・・・?気軽に来れる距離じゃないと思うのだが。
「箒で来れば一日半ぐらいかな。」
「遅いな。白狼なら一日あればたどり着くぞ。」
「それはあんた自身の力じゃないもん。」
言い争いを始めるシズクとマーレ。久しぶりに見たな、こういうの。
相変わらず二人とも顔を見ては喧嘩をしているようだが。
飯山はさっきから妙にそわそわしている。よかったね。想い人と再会できて。
俺と山田さんは苦笑いする。
「で、二人はどうして王都に来たんだ?」
ヒートアップする二人をなだめ、何とか落ち着かせる。やっとまともに話ができる。
「大ババ様が動き始めた。」
シズクが静かにそう答える。
ここ数日、森の中で人型の形をした影を見ることが多くなったらしい。
見張りのエルフが襲われ、中には重傷を負ったものもいるとか。
「だからさ、もし良かったら、その、私たちに力を貸してくれないかなって・・・。」
マーレが申し訳なさそうに呟く。上目遣いで。その頼み方は卑怯だ。
まぁ、答えは決まっている。
「あぁ、行こう。」
二人が駆けつけてくれなかったら、俺たちは全滅していたかもしれない。
今度は俺たちが二人を助ける番だ。
それに、犬になった田辺は術者に解いてもらうしかない。大ババ様を懲らしめて、田辺は今度こそ人間に戻る。完璧じゃないか。
今なら何でもできる気がする。それは決して自惚れなんかじゃない。
俺には仲間がいる。巨大な機械兵器ですら、俺たちには敵わなかった。
今度こそ大ババ様の正体を探ろう。そしてこいつらが怯える日々が二度と来ないにしてやろう。
新しい日々が始まる。それはどこか懐かしくて、うるさくて、でも待ち望んでいた日々だ。
別れと出会いを繰り返し、青空の下、戦車は再び走り出す。
王都編が完結しました。楽しかったです。




