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サラリーマンが異世界転生したら世界マネジメントで救う話  作者: 小路中太


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3/5

異世界転生したらやりたかったこと

ピロン


静寂と闇に包まれた世界の中で、一際目立つその電子音が、数分ぶりに鳴り響いた。


タカシの視界には、暗闇の世界から雲一つない青々とした空に、見渡す限りの大草原が広がっていた。少しばかりの風が心地よく、季節は春なのだろうか。


身なりは、今朝確かに着ていたはずのスーツではなく、青い布生地のチュニックに黒ズボンの姿となっていた。村人Aか俺は。


しばらく何もない草原を歩いてみる。膝くらいに伸びた草を踏み潰しながら、とりあえず歩く。何もない。なんなんだこれ。


ピロン


ーこれよりチュートリアルを始めます。


あ、俺の好きなアナウンサー。


ーあなたは、この世界では、なりたい自分になれます。どんな自分になりたいか、念じてください。3分差し上げます。

ーよく考えて念じてくださいね。この世界で魔王ユジンを倒すための、最初の一歩です。


タカシに迷いはなかった。ずっとこの世界を待っていたからだ。


異世界転生したら、魔法を使いたい。

魔法だけだと魔力が切れたときにやられるから、剣術も覚えたい。

魔法戦士だよなやっぱ。

あとは、モンスターテイマー。魔物を仲間にして、みんなで楽しくラスボスを倒しにいくんだ。

そしてお姫さまと末長く幸せに暮らしましたとさ。

むふふ。


と、いつもの妄想を3分間、全力で念じた。

体感的には30分くらいに感じていた。


ピロン


ー3分経ちました。しっかり念じましたか。

ーそれでは、あなたの職業、ステータスはこちらです。

ー早速、モンスターとの戦闘を行っていただきます。準備ができたら念じてください。



え?そんな重要なこと3分念じただけで決めたのか…。


タカシは30分念じた勢いだったが、もっと念じることがあったのではないかと少しだけ後悔した。


まあいいか。悔やんでもしょうがない。

で、職業やらステータスやら、どうやってみるの?

"ステータス"とか言えばいいのかな。


ブオン


ステータス画面がタカシの目の前に表示された。どうやら正解だったらしい。



タカシ lv.1

職業:夢追い人

戦力値:100

スキル:魔法lv.1,剣術lv.1,調教lv.1,仲間lv.1,姫君lv.1



うむ、全くわからん。職業が夢追い人ってなんだよ。魔法戦士はどこいった。勇者とか賢者とか、王道でよかったのに。


ステータスウィンドウに色々と表示されているものの、中身の解説がない。姫君lv.1が1番意味わからん。まあモンスターと戦いながら覚えるしかないか。


タカシは、いつでもモンスターぶっ倒してやるわ、と念じた。今回は3秒くらいの感覚で念じた。



キキィィィーーー


何もない草原の上に突如現れた。耳が長く、目はギラリと大きく見開き血のような赤色をしている。全身は緑の体で右手にナイフを持っている。


ゴブリンだ。

タカシは直感した。

ゴブリンを倒すことがチュートリアルか。

よし、やってやる。



キキッ!!



ゴブリンはタカシに向かって駆けてきた。ザッザッと草の軋む音が聞こえる。右手のナイフを振り上げる態勢に入った。



タカシは冷静にその様子を見ながら、念じた。

異世界転生したらやりたかったこと。

それは3分の中でも初めに浮かんだこと。



魔法。



夢の中でおそらく最も使っていたであろう魔法を、ゴブリンに向け、右手を握りながら腕を伸ばし放つ。



燃えろー!



ファイヤーとか、某ゲームの魔法で使う名前ではない。純粋に手から火を強く出せるよう念じ、"燃えろ"という固有名詞で火を放った。




ビギャアアア



ゴブリンは全身が火に包まれ、黒煙が天に昇っていき、瞬きした次の瞬間には白い灰に変身していた。

一瞬で焼き尽くしたのである。



これだよ!これがやりたかったんだ!



タカシは嬉しさのあまり、誰もいない草原に響き渡るように叫んだ。









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