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取引をしない?

「もうボッロボロだけど何とか勝てたか……」


 いや普通にすごいことだと思うんだけどね。

 誇っていいことだと。まあたぶん勝てるように作られてはいるんだろうけどさ。

 うまいことギリギリ勝てるように調整されていた。


「ありがとう、レットドラゴン」


 でも次の相手はあの人か……。さすがにもう無理じゃん。



「あら、あなたが勝ち進んできたの?あたしてっきり……まあいいわ」



「決勝戦の前に急に呼び出してどういうつもりですか?えーっと……」


「もう私の正体はわかっているでしょう?ミルラよ」

 いやー、完全にはわかってなかったけどなあ。


「唐突だけど今回はあなたに勝ちを譲るわ」


「え?」


「あなたの力が覚醒したことにして私は負けましょう。

いや実際覚醒したみたいだし……。私はキリのいいところで途中棄権するわ」


「どういうことですか?」

 まったく状況が理解できないのだが?


「その代わり取引をしない?」


「取引?」


「あなたに勝ちを譲る代わりに……」


「代わりに?」


「……この子の面倒を見てくれない?」


 は?


「……その連れているケルベロスみたいなの?」


「ケルベロスじゃないわ。ウロボロスよ」


「え?」


「だからケルベロスじゃないわ。ケルベロスのウロボロス」


 ややこしいな。


「面倒を見るってどういうことですか?」


「普通に餌をあげてくれればいいの。たまに……そうね、月一程度で呼び出して」


「はあ……。なぜそんなことを俺に頼むんですか?」


「そりゃあバレてしまうじゃない?わたしが伝説の召喚士だって。

でもあなたみたいなみんなが注目していない人なら、優雅にご飯をあげられるでしょ?」


「なるほど?」

 最もな理由つけてるけど、自分が身バレしたくないだけか。


「私は一般人として生きることに決めたの」


「そうですか」

 わりとどうでもいい。


「獲得した賞金は全額あなたにあげるわ。

あなたはそれ以外に大会優勝の名声も得られることでしょう。悪い話ではないはずよ」


「でも負けてもいいから、戦いたい気もするけどなあ」


「獲得した賞金は全額あなたにあげるわ。

あなたはそれ以外に大会優勝の名声も得られることでしょう。悪い話ではないはずよ」


「いややっぱ戦うべきでは?」


「獲得した賞金は全額あなたにあげるわ。

あなたはそれ以外に大会優勝の名声も得られることでしょう。悪い話ではないはずよ」


 まさかこれ強制なの?これが主人公がする選択かよ?


「じゃあ、あんまり気は乗りませんが」


「じゃあそういうことだから、ケルベロスのウロボロスをよろしくね」


「はあ……」


「餌」


「えさ……?」


「当分のウロボロスの餌よ、これで数か月は何とかして。

じゃあ手筈通りに」


 そういうとミルラはそそくさと去っていった。


 これって強制イベントだよな?

 こういうのいいのか?絶対誰かの顰蹙を買いそうだけど。



 そして予定通りに事は進み、無事にロアルは優勝を果たした。


 うん、まあそこまで嬉しくないよね。もしかしたら実力で勝てたかもしれないのに。

 いつか戦えるのかなあ。本気のミルラさんと。


「優勝おめでとう、ロアル」


「ありがとう」

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