さすがに無理でしょ
順調に勝ち進んでもう準決勝か……。早いことは良いことだけど次の相手は……。
「まさかここであなたと戦うことになるなんてね……」
「いやいや絶対無理でしょ。棄権させていただきます」
「そんな?嘘でしょ?大丈夫。死なないように手加減してあげるから」
「レベル差30近くもあるんですよ。さすがに無理でしょ」
でもこういう時こそ、秘められた力に覚醒するのが定番かな?
「そんなことないわ?あなたにはまだ何か隠された力を感じるもの。
またその力が覚醒するに違いないわ。全力でぶつかって来なさい」
ストレートにネタバレ来た。これは俺が覚醒するとみていいんだな?
「じゃあやれるだけやってみますよ」
「そのいきよ」
選手控室には、アイラが駆けつけてきていた。
「すごいねロアル、ここまで勝ち進むだなんて。
二人とも頑張ってね。でも私はどちらかと言えばロアルを応援してるよ」
ありがとう幼女ちゃん。
「不安なら、このいにしえのつるぎ、貸そうか?」
「……いやそれはいいです」
何を今更。
◇
「準決勝第一試合まもなく開始です!」
「ウワアアアアアアアアア」
観客たちが歓声をより一層沸かせている。
予期せぬ見習い召喚士ロアルの活躍によって、会場は大いにヒートアップしていた。
「……もはやあまり話は必要ないわね」
「そうみたいですね」
「さっさと始めましょう」
「はい、よろしくお願いします」
「ここに召喚する。いでよ雷の魔獣!」
すると魔法陣が現れ、周辺に光りを放った。
その光が黄色く変わり、上空にすーっと伸びる。
うーん……。これが雷の魔獣の魔法陣の光か。
黄色いモヤが魔方陣から溢れ出てきて、次第にその量を増す。
そのモヤが晴れていくとき……。
魔法陣は再び光り、やがてどんどん黄色くなり、その光りは空に去った。
……雷の魔獣雷獣が召喚された。
対象のレベルは50だ。
本当に全力で召喚してくるんだな……。
雷のオーラを纏っていて気迫を強く感じる。これが本当の雷の魔獣か……。
「雷獣よ」
名前もそのまんまなんだ。
「そっちがそう来るなら、今度こそ……」
ここでようやく本物のイフリートが出るとき……。
「炎の魔神を、ここに召喚する」
すると魔法陣が現れ、周辺に光りを放った。
ひと際大きな魔方陣が俺の前に現れた。
その光が赤黒く変わり、上空にすーっと伸びる。
間違いない。これは炎の魔神イフリートの魔法陣の光だ。
赤黒いモヤが魔方陣から溢れ出てきて、次第にその量を増す。
これはまさか……。
周囲では緊迫した空気が漂った。
そのモヤが晴れていくとき……。
魔法陣は再び光り、その光りは空に去っていった。
そして、そこには一匹のドラゴンが召喚されていた。
「グルルルルアアアアアアアア」
レッドドラゴンが召喚された。
対象のレベルは50だ。
え?ここでレッドドラゴンが召喚されただと?
「そんな。まさかまたここでイフリートを召喚したぞ」
「あいつの魔法力は底なしか」
「ロアルはもはや見習いにあらず、ハイクラスの召喚士のうつわじゃ」
「いやいや、みんなよく見て?イフリートじゃないよ?」
みんな目がおかしいんじゃないのか?
「すごーい、またあのお兄ちゃんアスリート召喚した」
「三大上級召喚術の魔物同士の戦い、こうなると勝負は五分五分ね」
やっぱりルビアさんまで……。
いや待て、逆に俺の目がおかしいのか?
「……何を考えているの?
こうなった以上魔物同士戦わせて……。勝ったほうが勝者。そうでしょ?」
「……そうですね」
余計なことを考えてる場合じゃなさそうだ。
「グルルルルアアアアアアアア」
レッドドラゴンがロアルの方を向きじっと見つめる。
うーん……?なんか引っかかるな。
その純粋な瞳の煌めきは……。
……まさかお前?
「コドモどらごん?」
「グルルルルアアアアアアアア」
「もしそうなら……」
試しにロアルが指示を出すと、レッドドラゴンはコドモどらごんと同じように動いた。
あの時と同じ動きだ。あのゴブリンの群れを一緒に倒した時のように……。
おまえまさか……同一人物ってこと?
……いや同一魔物か。
ということは……あの時バグで消えたのは?
そう見えただけで巨竜に、ただ変身してたってことか?
だとしたら、この戦い……もしかしたら勝てるかもしれない。
「自分が意図するように、イフリートを操っているぞ」
「なんと、魔物使いとしても一流じゃったか、いやあ恐れ入った」
「まさか炎の魔神イフリートをそんなにも自由に操れるなんて……。
これはわからなくなってきたわね……」




