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闘技大会開幕

「ついに闘技大会の試合の日を迎えたわね。悪いけどここからはみんな単独行動よ」


「え?聞いてないんですけど」

 それにまだここに来て一日だけど?パーティで出れるもんじゃないの?


「試合には一人で挑まなければならないの。

ちょうどロアルもレベルが10になったことだし。まだまだ半人前だけどね」


 もう余裕で超えているけどね。


「頑張ってね。私は精一杯応援しているよ」


 出ない人は気楽でいいね。


「私は……あの女召喚士とぜひ戦いたいわ。そしたら相手の真の実力もわかるはずだし」


 なんだかライバル視してますけど。やる気があるのは良いんじゃないでしょうか。

 ……でもなんかキャラ被ってますよね。


「試合が終わったらまた合流しましょう。みんな無事にここに戻ってくるのよ。

じゃあそういうことだから、解散」


 そういう明らかなフラグ立てるのやめてね?


「じゃあ私は観客席に一足早く向かおうっと。ロアル頑張ってね」

 アイラは笑顔でロアルに手を振った。


 ルビアとアイラはパーティから離脱した。


 ここからは一人で行動するのか……。


 闘技場に行くしかないよな。町を出たら一人で魔物と戦わないといけないし。

 たぶんイベントとかも無いだろうし。



「闘技大会に出場するかい?」


「はい」


「なあに簡単なことだ。試合はトーナメント制で優勝するには勝ち続ければいい」

 それが難しいんだよ。


「詳しいルールはわかっているな?では幸運を祈る」


「おーい、出場するものは急いで選手控室に向かってくれ」


「わかりました」


「ああ、でもちょうどもうすぐ第一試合が始まる頃だ。

すぐにでも戦いが始まるぞ。急いで試合の準備をしてくれ」


 いや、絶対俺が来たタイミングで始まるやつでしょこれ。


「参加する選手の皆さんは準備を始めてください。

最初の試合はロアルさん対アリスさんです」


 おっと、さっそく出番のようだ。参加するといってからのこの早さ。

 この流れるようなテンポは、相変わらずうまく出来ているな。



 しかしいきなり戦いの舞台、闘技場の開けた場所に放り出されたわけだけど……。


「ウワアアアアアアアアア」


 観客たちが歓声を沸かせている。


 結構客が入っているみたいだな。


「えーっと、初戦の俺の相手は……」


 緑の見習いローブを着たピンク髪の見習い召喚士……。

 最初の頃に雷の魔獣を呼び出そうとしていた、ツンデレの人じゃん。

 アリスって名前だったんだ。


 しかしあの女召喚士とかとじゃなくて良かった。

 出るからには、さすがに初戦で負けるわけにはいかないからね。



「初戦の相手はあなたね?」


「どうも」


「あれから少しは成長したのかしら?」


「あれから成長……?」

 この人俺の実力知ってたっけ?


「……うだうだうるさいわね、早く答えなさいよ」


「まあ、したかな」

 こういう口調のゲームキャラのノリはどうも合わないな。


「そう、それなら少しは楽しめそうね。

見習い召喚士同士でも優劣があることを教えてあげるわ」


「はあ……」


「そう言えばあの後モフモフのペンギン君が、

無事に雷の力を持つネズミのモンスターを育て上げて、村にいる魚の魔物を一網打尽にしたのよ」


「そうなんだ、なら良かった」

 なんかそんなこともあったような……。

 クエストが有耶無耶に終わってた気がしてたけど?


「だから感謝したいところなんだけど……。でもそれとこれとは話が別よ。

私に絶対勝てることなんてないんだからね」


「ああ……そう」

 ということは、俺が絶対勝つわけね。


「ということでそろそろお話は終わりよ、早速始めるわよ。召喚!」


 すると魔法陣が現れ、眩い光りを放った。

 その光が黄色く変わり、辺りに飛散する。


 白いモヤが魔方陣から溢れ出てきて、次第にその量を増す。

 そのモヤが晴れていくとき……。

 魔法陣は再び光り、やがてどんどん黒くなり、その光りは虚空に去った。


 雷の力を持つネズミのモンスターが召喚された。

 対象のレベルは6だ。


「また失敗しちゃったか」


 なにこの茶番。ちっとも前と変わっていないんじゃ?初戦のウォーミングアップかな。

 杖も新たに変えたことだし、できれば大物を召喚したいな。


「よし今度はこちらの番か……」


 久々に呼んでみるとするか、あの魔人を。


「炎の魔神を、ここに召喚する」


 すると魔法陣が現れ、周辺に光りを放った。

 ひと際大きな魔方陣が俺の前に現れた。

 その光が赤黒く変わり、上空にすーっと伸びる。

 

 間違いない。これは炎の魔神イフリートの魔法陣の光だ。


 赤黒いモヤが魔方陣から溢れ出てきて、次第にその量を増す。


 これはまさか。まさか……?


 周囲では緊迫した空気が漂う。


 そのモヤが晴れていくとき……。

 魔法陣は再び光り、やがてどんどん黒くなり、その光りは空に去っていった。


 そして、そこには一人の人間が召喚されていた。


 ……えーっと、また出てきましたね。


「パワー、パワーが大事なんですよ!」


 筋肉もりもりの屈強なアスリートが召喚された。

 対象のレベルは3だ。


 どよめく人々。いろいろな声が観客席に飛び交う。


「あれは……まさか」


「そうそう、またアスリートがね……ってあれ?」

 やけに観客の顔色が違うな。


「すごい!あれこそ炎の上級召喚術の一つイフリートだ!」


「僕、初めて見たあ」


「すごいぞ少年、わしゃあ感動したわい」


「あいつ、まだ見習いの癖に本物のイフリートを召喚しやがった!」


「ワアアアアアアアアア」

 観客席の声援が会場を包みこんだ。


 ってあれ?また勘違い召喚みたいだけど?


「や、や、やるわね。い、イフリートを召喚するなんて……。とても私には勝ち目がないようだわ」

 うん。間違いない。これはみんなの目にはアスリートがイフリートに見えちゃってるね。

 目線がかなり上のほうを向いてるし。


「あ、アスリートの異世界人のようだけど?」

 アスリートの方は、元気に準備運動をしていた。

 なんかすいません。


「何を言っているの?それはまごうことなきイフリートよ?」


 このどう見ても、筋肉もりもりの屈強な炎のように熱い魔人のような男が?


「……そりゃあどうも」


「このままじゃ私の負けね。素直に降参するわ。

このレベル差じゃ、とても戦えないもの。どうやらあなたの実力を認めざるを得ないわね」

 ええ?ああ、そう……?


「対戦相手の降参により、勝者、見習い召喚士ロアル!」


「ワアアアアアアアアアアア」

 観客席の声援はさらに大きくなり、会場全体に響き渡った。



「ええと……あの、名前は……」


「ロアルですよ」


「ロアルくん、よろしく。

……あのね?今度私の村に来てもいいよ?」


「ん?」


「歓迎してあげる」


 ツンなのかデレなのかコロコロ変わる人だな。

 もうなんか相手にするの面倒になってきた。


「ところで私の名前は知っている?」


「さあ……」


「なんだと思う?」


「そこに書いてあるんだが……」


「なんて……?」


「アリス?」


「もう……。人の名前を気安く呼ばないでよね」


 やっぱ俺この人苦手。


 ……その後もロアルは順調?に勝ち進んでいった。


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