人を選ぶつるぎ
……ふう。
クエストをこなしたからギルドでお金も貰えたことだし、
そろそろ装備でも買ってみようかな。
まだ俺は見習いだから、見習いのローブを脱ぐわけにはいかないし……。
とりあえず武器を調達するとしますか。
ロアルたちは武器屋に駆け込んだ。
◇
「いらっしゃい、いいもの取り揃えてるよ」
武器屋のおじさんの元気な声が店内に響いた。
「えーと……何か召喚士用にコスパの良い杖はありますか?」
「そのローブ……見習い召喚士さんだね?
えーと杖ね、つえつえ……。向こうかな?」
武器屋のおじさんは、杖を探しに店の奥へと消えていった。
「……ねえちょっと、これを見て!人を選ぶつるぎですって」
ルビアさん、急に大きな声出さないでよ。
「わあ、なんだか強そうな武器だね」
唐突に始まったなイベント。そしてわざとらしい。
「お客さん、良いところに目をつけたねえ。
それは選ばれた者しか装備できないいにしえのつるぎだ」
よくある設定の武器だな。
どれどれ……。確かに古き良き剣のようで……磨けば光りそうなつるぎだな。
「そうなんだ……。そうだ、ロアルならもしかしたら装備できるんじゃない」
「無理よ、召喚士につるぎだなんて。いくらロアルでもそれは……」
この流れは……。主人公補正がようやく来たか?
ここは流れに乗っておくとするか。
「そう?でも何事もやってみないとわからないじゃん?
装備できるかちょっと試してみようかな」
ロアルが行動を起こそうとしたその時、アイラはそのつるぎを手に取った。
「……あ、できた。装備できたよ、わたし」
え?
「へえ、すごいじゃないアイラ。それなかなか似合ってるわよ」
「……そうかな、えへへ。ちょっと構えてみるね。どう?」
アイラは剣を構え様々なポージングをとった。
違うじゃん、それ絶対主人公が装備するところじゃん。
「お嬢ちゃん……似合ってるねえ」
その辺にいた客が言った。
「なかなか良さそうな品ね。買うべきよ」
「それが装備できる人がいるなんて……。初めて見たよ、俺も装備できなかったから」
「小さいのにやりおるな」
店の客が急に現れ始めたな、今までどこにいたんだ?
皆の注目を一斉に集めるアイラ。
「みんなにそこまで言われたら……じゃあ……」
もうやだこのRPG。
「お客さん装備できたのかい?すごいねえ。もしかして勇者の末裔かい?」
「そうだよ」
さらっと重要事項を言うんじゃない。
「ところでこのつるぎはいくらかしら?」
「そうだなあ、大負けに負けて10000Gだな」
「……わたしの所持金が全部吹っ飛ぶよ。どうしようロアル?」
「さあ……どうしようか?」
困ったときだけ俺に振るのやめてね?
「……それはさすがにぼったくりじゃないかしら。
普通の人は装備できないのにその価格はひどいわ」
「……そうかい?じゃあいくらならいいんだい?」
「半分の5000Gなら買うわ」
自分が買うわけじゃないでしょ?ルビアさん。
「仕方ないな、どうせ買われないでそこに置かれているより、
誰かに使ってもらったほうがそのつるぎも喜ぶだろう。
よし、その価格で売ったよ」
「ルビア、ありがとう」
「……そうね、今回は私が買ってあげるから大切にするのよ」
「ほんとに?」
「ええ」
そう言うとルビアは店員にお金を差し出した。
「ありがとおお」
アイラは喜びのあまりルビアに抱きついた。
なんか良い話になってるけど、また俺取り残されてるよ。
主人公を忘れないでね?
◇
「……そう言えば、新しい剣があれば、もうその斧はいらないんじゃない?」
「じゃあ……これ売ってしまおうかな?」
「不要なものなら、高く買い取るよ?」
「……じゃあこれ……ロアルにあげようかな」
「え?」
俺は魔法主体で戦うから、斧とか別にいらないんだが。
「ロアル?これほしい?」
アイラはその体には似合わないアックスを、ロアルに差し出した。
「いや……いらないけど」
「じゃあ売ります」
「もったいないわね、貰っておけば何かに使えるかもしれないのに」
なにその後悔させる言い方は……。貰っとくべきだったか。
「この斧なら……そうだな5000Gだ」
「……さっきの額と一緒だ。じゃあこれはルビアに返すね」
「あらそう?なら貰っておくわ」
なんかうまく纏まったけど、いやこれさっきのやり取りいらなくね?
結局ただ装備が変わっただけじゃん?
◇
「ありがとう、また来るよ。ここはいい武器屋だね。
早速この武器の性能を試したくなったよ」
「とてもいい買い物ができたわね」
「ありがとうございました」
そして三人は店を後にした。
……ところでみんな俺の杖のこと忘れてません?
その後店にまた入ると、余計なイベントは発生せず、ロアルは普通に杖を購入した。
「どう行動すれば良かったのか……謎だ」
ロアル
レベル15
職業、見習い召喚士。
装備は、スターワンドに見習いローブ。
習得スキルは炎の初級魔法と召喚術レベル2。




