旅の終わり
「……ロアル今までありがとう、とうとう約束の数週間が過ぎたわ」
いやまだ数日しか経ってないですけど。
「急に何ですか。今日も未熟な見習い召喚士を止めに行きましょう」
「……それにしてもこれまでいろんなことがあったわね」
あれ?なんか嫌な予感が。
「ロアルが初めて力を覚醒させてレッドドラゴンを召喚したり」
それバグで見れてないイベントじゃない?
「伝説の鳥フェニックスを間近で見たり……」
そんな記憶ないけど。
「封印されていた伝説のつるぎを装備してみたり」
それは記憶違いですね。
「闘技場であの女召喚士をボコボコにしたり……」
それは熱かったですよねと言いたいけれど……出来レースですよ。
「それに……」
「それに?」
「……私に勝ってしまうだなんて、やっぱり私が見込んだ少年だったようね」
まああれは勝てる試合にされてたっぽいし。
でも例え分かっていても、熱い戦いだったけどね。
◇
「……ロアル、私たちはまだ旅を続けるけど……。
どうする……?私たちともう少し旅をする?」
これもう完全に終わりの雰囲気じゃん。
「そうだね、もう少しぐらいはしたいかな?」
「……そうね。まあそんな気持ちもあるだろうけれど、
当初の約束も守らなければね」
「もう少し延長する約束をすればいいんじゃ?」
「……そうね。まあそんな気持ちもあるだろうけれど、
当初の約束も守らなければね」
これまた強制ループじゃん。
「じゃあ勝手についていくね」
「……そうね。まあそんな気持ちもあるだろうけれど、
当初の約束も守らなければね」
ほら。
「じゃあいったん解散してから、もう一度ついていくよ」
「……そうね。ロアルならそういうと思った」
全力でスルーされたか?もう慣れたが?
「もう自分だけの足で飛び立つ日が来たのね」
うまく話を締めようとしてる。
「じゃあ……これを餞別としてあなたに託すわ」
え?
「いやあ、悪いですよ」
なんだろう?
「……このモフモフのペンギンの子よ」
ルビアの後ろから、モフモフのペンギンは顔を出した。
贈り物それかよ。
「この子はとても高い潜在能力を持つ召喚獣よ」
「そうなの?」
最初以来全然出てこないから、もはや存在を忘れてたけど。
「だから……私たちの思い出代わりに大切に育ててあげてね」
そういやアイラちゃんはどうした?
「……まあ、できるかぎり」
「……じゃあね。また会えるといいわね。では私は例の魔法で」
「あの、ちょっと待って……」
「さん、はい」
ルビアは呪文を唱え、ジャンプすると消え去っていった。
ルビアさん……。
強引に行っちゃったな。まだ聞きたいことがあったのに。
でもそのワープの仕方やっぱ変じゃない?
ルビアとアイラはパーティから完全に離脱した。
どうやら本当にこれでルビアさんたちとの旅は終わりのようだな……。
◇
「あー……。これからどうしよ……。また一人旅でも始めるか……?」
「あのー」
モフモフのペンギンは急に話し出した。
「ん?なにきみ?何か俺に言いたいことでもあるの?」
「あの、わたし……三大上級召喚術の一人の氷の魔女なんですけど」
「ふーん…………。あ、なるほど……?」




