ルビアさん有能
置いてかれないで無事に隣町に来たのはいいけど……。
まさかこのまま闘技場に突っ込むのかな。
「あの、これからどうします?」
「どうやらまだ闘技大会が開かれる時間ではないみたいね」
向こうに闘技大会はこちらからすぐにエントリー、と書いてある看板が見えるけど?
決まった時間とかあるのか?
「私たち早く来すぎちゃったみたいだね」
「まあ大会の話を聞いて直ぐに来たからね。ちょっと展開が早すぎて困惑してるよ」
「……丁度いいタイミングね。
闘技大会が開かれるまで、この辺りの見習い召喚士の暴走を止めることにしましょう。
あとは……ついでにロアルのレベル強化もしましょうね」
良かった、どうやらレベル上げ出来るみたいだ。ついでだけど。
「あとは武器屋で装備を整えようね。ギルドで貰ったお金もあるし。
この町は装備の品揃えが結構充実しているみたいだよ」
この町で闘技大会に向けて、準備していけってことか。
仕方ない、こうなったら勝つ気でしっかりと準備しますか。
「じゃあ一通りの用事が終わったら、町で聞き込みをしましょうね」
はいはい。
とりあえずまず切らした薬草などを買い込んで、町を回らなくちゃな。
それからロアル達は町を探索し、いろいろと情報を得た。
◇
「……まだ目的地に着かないんですかね?」
町で聞いた話によると、この荒野で見習い召喚士を複数人見かけたらしい。
俺のレベル上げも兼ねてここにやってきたのだが……。経験値は稼げるかな?
「うーん、たぶんこの辺りだと思うよ」
「なんでわかるの?」
「野生の感ってやつ?」
「そういえばアイラちゃんは何か役立つ魔法は使えないの?人を探すのには必要でしょ?」
「私は魔物使いスキルと回復魔法スキルに全振りしてるから……。
そんな余裕はないよ。そういうのはルビアの担当だから」
そう言えばステータス見たとき……。そうだったね。
確かルビアさんはサポート魔法のスキルを覚えていたっけ。
何か使えるものはあるのかな?
「あ、あそこに見習い召喚士がいたよ」
「あら、ほんとね。また勘違い召喚をしているわ」
……何故俺たちはすぐに見習い召喚士を見つけられるかというと。
見習い召喚士なら必ず身に着けねばならない、ローブを羽織っているからなんだよな。
いつか俺も脱げる日が来るといいんだけど。
「どうかわたしに少しでもお恵みを……」
すると魔法陣が現れ、眩い光りを放った。
その光が白く変わり、辺りに飛散する。
白いモヤが魔方陣から溢れ出てきて、次第にその量を増す。
そのモヤが晴れていくとき……。
魔法陣は再び光り、やがてどんどん黒くなり、その光りは虚空に去った。
異世界のコインが召喚された。対象のレベルは不明だ。
あれは……?
俺もいつかに召喚したことがある、どっかの国のコインじゃん。
「どうやら思いの力が足りなかったようね」
まさか毎回それ言うつもりなの?
◇
「今、宿屋に泊まれないほどにお金が足りなくて……。ゴールドを召喚しようとしていて。
もう一日中召喚術の繰り返しで、体もつらくなってきて……」
ロアルが彼女の顔をよく見ると、明らかに憔悴した顔をしていた。
もういいから。とりあえず休もうね?
「……それは大変なことね。でも実物を召喚するよりも、遥かに良い方法があるわ。
お金ならゴールドゴーンというモンスターがたくさん落とすの。
そいつを召喚して倒すのが効率がいいわよ」
効率とかメインキャラがそんなこと言っていいのか?
「……そんな方法があったんですか。ありがとうございます」
今にも倒れそうな声で彼女は言った。
「でもそれをやるのは宿屋で休んでからにしなさい。これをあげるから」
そう言うとルビアは、宿屋に泊まれる分のお金を彼女に渡した。
ルビアさん良いとこあるじゃん?
「ありがとうございます。じゃあ早速宿屋に……」
そう言った瞬間、彼女の体は崩れ落ちた。
「大丈夫?」
「……ちょっと体がふらついて」
「私が町まで背負っていこうか?」
いやさすがにそれは無理じゃない?明らかにアイラちゃんのが小さいし。
「ここで私の魔法の出番ね。これで宿屋まで届けてあげましょうね。
……私が呪文を唱え終えたら、その後私が言ったタイミングでジャンプしてね?」
「わかりました」
するとルビアは例の呪文を唱え始めた。
ルビアさん本当に大丈夫?変なところに飛ばさないであげてね?
アイラは二人の様子を静かに見守っていた。
「……さん、はい」
ルビアの合図に彼女がジャンプすると、一瞬のうちに彼女の姿は消え去った。
……ちゃんと行けたかな?確認のすべがないけど。
でもその魔法、宿屋でもいけるんですか。ずいぶん有能な魔法だな。
クエストクリア。
あれ……これで終わりか?
今回簡単すぎない?俺何もしてないけど?
「良かったわね。これで彼女も救われたことでしょう。……ロアルどうかしたの?」
「いや妙に簡単だったからね。ルビアさん一人で解決しちゃったから」
「ルビア一人だけで解決できるなんて良いことじゃん。
ルビアは役立つ知識をたくさん持っているから、参考にしていこうね」
うん……まあ何か引っかかる気がするけど、そうだね。
「先を急ぎましょう。この荒野には複数の見習い召喚士が目撃されているのよ」
こういうお使いクエストって地味で面倒な気がしてたけど……。
こんなに楽に終わるなら、受けても良いのかもしれないな。




