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さん、はい


「町に帰ってきたわね」


「そうだね、久しぶりに地道に歩いて良い運動になったよ」

 いつもはどう移動してんだろ?


「早速ギルドに行って、クエストの報奨金をもらいましょうね」


「わーい、お金だお金!……ロアルもお給料貰えるの嬉しい?」


「まあね……」

 そりゃあ、嬉しいに決まってるよな。


「そうだよね、貰ったら何に使おうか迷っちゃうな」


「何か買いたいものでもあるの?」


「そりゃあたくさんあるよ。まずはペット達の餌でしょ?

それから私の装備品の手入れでしょ?あとは新しいお洋服と美味しい物もたくさん食べて……」


「なるほど、確かにたくさんあるね」

 ペット達の餌って……。まあ魔物使いだから当然といえば当然か。


 ロアル達は雑談をしながらも、ギルドに向かった。



「あら?あの女召喚士は……」


 ロアルたちの目の前には女召喚士と、剣士らしき男がいた。


 あれは……洞窟のチート召喚士さんじゃないか。何やら話し始めたようだな。

 俺たちが近づいた途端に話し始めるとか……。ご苦労なことです。


「ちょっと失礼。そこにおられるのは召喚士ミルラ殿とお見受けしたが」


「まあ、そうかもしれないわね」


「でしたら、一度手合わせ願いたい。あなたのとっておきの魔獣と一戦交えてみたいのです」


「そんなに私と戦いたいなら……。

今度隣町の闘技場で召喚士だけが出れる闘技大会が開かれるの。

自身が戦っても、召喚した魔物が戦ってもいい、結構何でもありな大会だけど。

そこで勝ち上がってきたら、きっと私と戦えるわよ?」


 闘技場イベ来た。でも早くないか?まだ序盤も序盤だよ?

 負けイベントかな?


「……そういうことだから、じゃ」


「くう……召喚士になって闘技大会とやらに出るしかないのか……」

 剣士らしき男は項垂れた。


 俺たちにわざわざ会話を見せつけて去っていくのね。


 その時アイラが咄嗟に前に出て、女召喚士に声をかけた。


「あの、もしかして伝説の召喚士ミルラさんですか?」


「あら?あなたたちはいつかの……?」


 いやさっき洞窟で会ったけどね。まだ一日も経ってませんが?


「……今の話を聞いていたでしょう?

まあ私と戦いたいなら、あなた達も闘技大会に出てくることね。

私に勝てる力はないだろうけど、運が良ければ準優勝ぐらいまでは行けるんじゃない?」


 そう言い残すと、すぐに女召喚士はその場から立ち去っていった。



「……やっぱりなんか鼻につくわね」


「うーん……?伝説の召喚士ミルラさんだったのかなあ」


「いや、どう見てもそんな感じだったけど」


「そんなわけないでしょ?いいから早くギルドに行くわよ」

 これやっぱり分岐してるっぽいね。



「ところでさっき言っていた闘技大会……。出場するか迷うわね」


「出なくていいんじゃないですか?」


「私はどっちにしろ出れないな。召喚士になるつもりはないし。ロアルはどう?」


「だから、出なくていいと思うよ」


「でも勝ち進めば賞金も出るし、今の自分の実力も図れる。

私たちの今後の方針を決めていくうえでも出場したほうが……」


 あれこれ理由つけてくるなあ。


「でもロアルは出たくないって言っているからね」

 あれ……スルーされてない、だと?


「ええ……?そうなの?」

 いや、さっきも言ったし、明らかに聞こえてたでしょ?


「ロアルは闘技大会に出場したくない。そうだよね?」

 いちいち確認を取らなくてもいいけど。


「はい」

 なんか怖い気がしてくる。


「本当に闘技大会に出場したくないの?」


「そうですね」

 確認がしつこい。


「わかったわ。ならばそうしましょう」

 お?


「ああ、そういうことかあ」

 何がどういうこと?


「……そうね。レベルを上げないととても太刀打ちできない。その通りよ。

じゃあロアルのレベルが10になったら出場することにしましょう」

 そうね。じゃないんだよ?断ったはずだが?


「それぐらいあれば、ロアルの力でも何とかなるかもね」


 これ出たくないけど、やっぱり強制的に出ないといけなそうなやつだね。

 少しでも違うルートがあると思った俺がばかだったよ。

 どんなに断っても、出るのが強制だったら意味ないからな……。


 ここは逆にサクッと終えますか。


「じゃあ、やっぱり闘技大会に出場しようかな」


「そうよね、じゃあ早速今から行きましょう」


「すぐに向かおう」


 え?



「でも闘技場は隣町にあるらしいわね」


「どうやって行こうか。ここからは距離があるみたいだけど。ロアル、何かいい方法はある?」


 変なことを言ったので、レベル上げをせず大会直行ルートに首を突っ込んでしまった。


「……徒歩で無理なら、乗り物とかはないんですか?」


「乗り物は、ルビアなら召喚できるよね。

こないだはドラゴンに乗ったけど、もっと乗りやすいものとか早いものとかさ」


「おお、それはちょっと乗ってみたいかも」


 どんなのかな……?

 黄色い鳥かな?それとも空飛ぶ船かな?


「そうだよ、ルビアはなんでも召喚できるんだからすごいよね」


「すごいすごい」

 ここは乗っておこう。


「……なんだか期待しているところ悪いけれど、今回は町から町に移動する魔法で行くわ」


「えー?」

 えー?


「最近やっと覚えたのよ。まだ長距離は移動できないんだけど使ってみたくって」


 ああ、あれね。ぽーんって空中に飛んでワープするやつね?

 それとも時空が歪んでゲートが現れて入るやつかな?


「じゃあ早速唱えてみるわね?二人とも準備はいい?」


 ……ちょっと待て。この流れはまさか……。


 また俺一人取り残されるんじゃないの?これは。


「……あの、今回は置いてかないでもらえますか」


「どうしたの?ロアル。そんなに慌てて。

いい?ワープに失敗する可能性はあるけれど、ジャンプのタイミングさえ合えば大丈夫よ」


 ん……?ジャンプ?


「あー、あの魔法かあ、失敗は許されないね。タイミングが命だよ」

 どの魔法?タイミング……?


「じゃあ早速……」


 そして唐突にワープするための、ジャンプのミニゲームが始まった。


「私が呪文を唱えたら、その後私と同じタイミングでジャンプしてね?」


「いいよ。ロアルも遅れちゃだめだよ?」


 お、おう。突然のことだけど縄跳びみたいなことだよね?


「さん、はい」


 三人が一斉にジャンプすると、着地するころには別の場所にワープしていた。


「はいっ、目的地に着きました」


 はや。一瞬で目に見える世界が変わったのだけど。


 なんかこれ違うなあと思ってたけど……。

 これテレビとかでよく見るやつだよね?


 どうしてこの方式なの?まあ取り残されず無事着いたからいいけど。


「どうやら、成功したようね」


「やったね」


 ロアルたちは無事に隣町にワープした。

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