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戦乙女イェルメイド  作者: 丸ごと湿気る
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五百六十一章 焼き討ち その2

五百六十一章 焼き討ち その2


 エビータは言った。

「ヒラリーさん、大丈夫なのですか?無理に手伝って頂かなくても…」

「まぁ、暇だからね。飯さえ食わせてもらえればって感じで!私ひとりなら、何とか王国の目も誤魔化せるでしょ。それでさ…他の仲間って?」

 ベロニカが言った。

「エビータがね、エステリックで傭兵ギルドに登録してたのよ。その仲間が九人とエビータの斥候仲間が三人かな。」

「傭兵かぁ…ちょっと嫌だな。エビータの斥候仲間なら信用できるけどね、もちろん強いんだろうねぇ。トムも一緒なのか?」

「トム…ティモシーね、一緒だよ。あっ、ちょっと待って…兵隊たちが出てきたよ…」

 エビータとベロニカにヒラリーを加えた三人は林の木陰からティアーク城下町の東門を見張っていた。

 王国騎士兵と王国義勇兵で構成された2000のティアーク遠征軍は、食糧を積んだ三台の馬車と予備の軍馬を従えて、並足で行軍していた。先頭を300の騎士兵団の騎馬が並足で進み、その後を食糧馬車とそれを護衛する200の騎士兵団、そしてその後を1500の義勇兵団が小走りで追い掛けていた。

「うひゃひゃ、走らされてる走らされてる…歩兵は大変だねぇ〜〜っ!」

 ヒラリーは言った。

「ベロニカ、で…どうするんだ?」

「こっそりとくっ付いて行くよぉ〜〜ん。それで、オリゴ村に近づいたら…夜陰に乗じて仲間と一緒に食糧馬車を焼き討ちするよぉ〜〜ん、それで終わり。援軍を出すのを止めるまで、ずぅ〜〜っとそれを繰り返すよぉ〜〜ん。」

「あははは、ベロニカらしい意地の悪い作戦だな。」

 ベロニカは馬を操りながら、ベンジャミンに『念話』を飛ばした。

 ティアークの援軍は日暮れ頃には東の街道のオリゴ村付近を通過した。約二週間でコッペリ村に到達するつもりなのか、かなりの強行軍で…食事、寝る間を惜しんでの行軍のようだ。義勇兵たちはパンをかじりながら走っていた。

 夜の八時頃、ティアークの援軍は松明たいまつを掲げて東の街道を行軍していた。

 突然、林の中から光球が放たれ夜空を明るく照らした。それは光球ではなく火球で、火球は先行する騎士兵団のど真ん中に着弾した。

ズドォォォォンッ!

 火球は爆裂して騎士兵たちを吹き飛ばした。それはベンジャミンが放った「ファイヤーボール」だった。

「敵襲、敵襲うぅ〜〜っ!魔導士がいるぞ、警戒態勢をとれえぇ〜〜っ‼︎」

 騎士兵たちはタワーシールドを構えて、辺りを警戒した。何人かの騎士兵が火球が飛んできた辺りの林に分け入って魔導士を探した。

「うっ…!」

「…あがっ!」

 林の中で敵策行動をしていた騎士兵は不意打ちを食らってどんどん倒れていった。「シャドウハイド」を発動させたレンド、ピック、ティモシーによる攻撃だ。

「お…おい、先遣隊が戻ってこないぞ。」

 すると再び火球が飛んで来て、騎士兵たちを蹴散らした。

ドドドォォォンッ!

「うぎゃあぁ…!」

「ひいぃぃ〜〜っ!」

「ぎ…義勇兵に魔導士を探させろっ!」

 後方にいた義勇兵たちも食糧馬車の前に出てきて林の中に入り、「ファイヤーボール」で攻撃してくる魔導士を探した。

 その時…

ズダアァァァンッ!

 「ファイヤーボール」が食糧馬車を直撃して、荷馬車は搭載した小麦やトウモロコシを撒き散らして炎上した。これはベロニカが放った「ファイヤーボール」だ。ベロニカはリキャストタイムの経過を待って、すぐに二台目、三代目の食糧馬車にも「ファイヤーボール」を撃ち込んだ。

 「ファイヤーボール」は射程は約10mで、至近距離から撃たないと思った場所に飛んでいかない。そこで、ベンジャミンが先に攻撃して敵を引き付け、手薄になった後方にベロニカが近づいて食糧馬車を攻撃するという作戦である。

「よっしゃ、終わった。撤収、撤収…エビータ、ヒラリー、殿しんがりお願い、誰か追って来たらよろしくぅ〜〜。」

 ベロニカは馬をオリゴ村に向けた。エビータ、ヒラリーもそれに従った。

 30分掛けてオリゴ村に帰って来たベロニカたちはアジトにしている放置された農家の母屋の戸を開けた。

「よう、お帰り。」

 中にはすでにベンジャミンたちがいた。それを見たヒラリーは驚いた。

「おっ…ベンジャミンじゃないか、コッペリ村以来だなぁ。そうかぁ、ベロニカたちとつるんでる傭兵って、お前たちだったのかぁ〜〜っ!」

「…ヒラリーか⁉︎…マジ、ヒラリーだ。まさか、こんなところで会うとはな…。」

 ヒラリーとベンジャミンはユニテ村で一緒にアンデッド討伐クエストをやった。約一年ぶりの再会である。

「まだ悪いことやってんのかぁ〜〜?」

「…ま、まあな…。お前がベロニカ、エビータと顔見知りだったとは世間は広いようで狭いな。」

 ティモシーが言った。

「お久しぶりです、ヒラリーさん。」

「トム…じゃなくて、ティモシーなんだって?元気してたかぁ〜〜?」

「はい、おかげさまで。」

 ベンジャミンはヒラリーに仲間を紹介し、エビータもヒラリーにレンドとピックを紹介した。

「…ヒラリー、や、やぁ…。」

「おおっ、お前らは確か…オリヴィアに夜這いを掛けてボコボコにされたカールとガスか、まだ生きてたんだ、あはははは。」

 ベンジャミンが言った。

「…で、ベロニカ、どうだった?」

「ああ、食糧はしっかり燃やしたわよぉ〜〜。」

「お前が言った通り…まず、軍列の先頭に攻撃を仕掛けて、そこに全軍の注意を引き付け、その隙に本命の食糧馬車を襲う…図に当たったな。」

「もう一回くらいは同じ方法で食糧馬車を燃やせると思う…その次は知らんけど。」

 ベロニカは椅子から立ち上がると…みんなに向かってとても重要な事をひとこと言った。

「…それからみんな、よく聞いてちょうだいっ!馬に乗せてあるお米20kg…私が全部食べるから、絶対手を出すなよっ、手を出した奴は吊るすよ…死刑よっ‼︎」

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