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騎士家の落ちこぼれは殺された家族のために復讐譚を執筆する。  作者: 雨夜 フレ


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2/4

手がかり

しばらくたちリシアの屋敷に到達していた。


「アルフリート君、大丈夫か?」

「ええ…」


僕は消えぬ絶望にのまれそうながらも決して先ほど書いた紙は手放さなかった。


「リシア、二人で部屋にいなさい。私は王都に応援を求める」

「はい、お父様。ほら、行くわよ」


僕はリシアに連れてかれて彼女の部屋に入った。

女の子の部屋と思えぬほど無機質な部屋だった。


「あんた、大丈夫なの?」

「……分からない」


正直な感想だった。

実感がない。

今まであったはずの当たり前が失われた。


「それ」


僕の手にある紙を指さす。


「何を書いてたの?」

「……分からない」


無我夢中だった。


「ちょっと見せて」


彼女は僕の手から紙をとり中身を確認する。


「すごいわね……」


彼女の紙をを持つ手は震えていた。


「まるであの場面が目の前にあるみたい……」


彼女は一息おき告げる。


「しかも、奴らの特徴も書かれている」

「……それくらいしかできないから……」


力なく告げる。

そう僕には書くしかできない。

それが故に父上は…


「うぬぼれないで」

「え?」


彼女の髪は藍色のはずなのに真っ赤に見えるほど怒っていた。


「あなたなんかが参戦していても足手まといだったわ」

「そ、そんなことは!?」

「あなたの武器は何?」

「僕の武器?」

「ええ、あなたが書きだしたこれは武器よ」


彼女は僕に紙をたたきつけて告げる。


「これで彼らのことが少しでも分かればいつかたどり着ける。そうでしょ?」

「……そうだった」


僕の武器は書くことだ。


「ごめん……ありがとう」

「ふん」


彼女はそっぽむく。

そこにカースさんが顔を出す。


「二人ともお待たせ兵を派遣したから明日には王都から応援が来るはずだよ。それから再度アルフリート君の屋敷に行こう」

「はい……」

「とにかく今日はうちで休みなさい」

「ありがとうございます」


その日は眠れなかった。

泣くこともなかった。

ただ、紙を見返していた。

蝶、数字、黒い衣服。

それらが頭を反復していた。


翌日。


「準備はいいかい?」

「はい」


僕はカースさんの後ろに乗り返事する。


「それでは今から賊の討伐に動く!続け!」

「「おお!!」」


カースさんの言葉で軍隊が動き出す。


僕は揺られながら祈る。

どうか、父上が生きているようにと…


だが、そんな希望は消える。


「これは……」


屋敷に着くと門の前に家族の生首が並べられていた。


「父上……母さん…兄さん……」


僕は膝をつき生首を抱きしめる。


「うっ、う」


ただ泣くことしかできない。

どれほどそうしていただろうか……


雨が降り出し体は水浸しになる。


「中に入りましょう……」

「リシア……僕は……」

「分かってるから」


リシアに抱きしめられてただ僕は泣く。

しばらく抱きしめてくれた。

そうして心を落ち着かせた。


しばらくして屋敷の中に入るとリシアが厨房から紅茶をとってきて入れてくれる。

それが温かくて体から力が抜けていく。



屋敷内の遺体などはすべて外に運び出されている。

だが、血の跡が残っており死の匂いは確かにそこにある。


「書くよ…」


リシアは静かに頷く。


そこには血の匂いが鮮明に残っている。

血は四方八方に飛び散っていてアートのようだ。

まだ人が暮らしていた頃の暖かさが残っていた。

それはまるで見せしめのように見えた。


僕はいったん筆をおく。


「リシア、彼らは…」

「読んでた。奴らは突然来て見せしめをしたかった?でしょ?」


僕の言葉を読み答える。


「みたいだね?」

「カースさん」


カースさんがいうの間にかいた。


「君の書いたものは見せてもらったよ。あの特徴が該当する組織を私は知っている」

「本当ですか!?」

「ああ、彼らはシャドウ」

「シャドウ?」

「彼らはどこに属しているのかも不明な犯罪集団であり目的も不明。そんなことしかわからない。せいぜい組織の印が蝶であることぐらいだ」

「そんな組織がなぜうちを……」

「誰がやったかはわからないが原因は検討がつく」


カースさんが苦い顔をしながら告げる。


「君たち一家は煙たがられていた。それが原因だろう」

「ただの騎士の家系の僕らがですか?」

「ああ、君たちが考えるより君たちの家系は疎まれていた。生まれてくるものは猛者ばかり手がつけられない。そう考えるものも多いのだよ」

「つまり、誰からも可能性があるということですね」

「そうだね」


疎まれていた。

見せしめ。

殺された。

そういうことだ。


「とにかく捜査はこちらでやるからアルフリート君は安心して我が家にいてくれ」


カースさんは優しく語りかけてくれる。

だけど、僕は………


「僕も手伝わせてもらえませんか?」


その言葉を聞きカースさんの顔が険しくなる。


「それは復讐したいからかい?」

「はい」


この手で奴らを捕まえたい。


「危険なことだよ?君は自分の身も守れないだろ?」

「分かっています。しかし………」

「なら、私が守ります」

「リシア何を言ってるんだ!?」

「お父様私は現場にいながら何もできませんでした………彼らの死を助けることも生きていた彼の父上も………」


「それは私も同じだよ」

「それでも、悔しいのです。だから私に彼を手伝わせてください」

「お願いします」


二人で頭を下げる。


「覚悟はあるかい?二人とも生半可な覚悟では奴らとは渡り合えないよ?」


僕とリシアは静かに頷く。


カースさんは浅く息を吐き告げる。


「分かった。だけど自分たちの命優先だよ?」

「はい」

「本当にリシアは母さん似だね?」

「はい、お母様大好きですから」


どうも頑ななところは母親似らしい。


「それじゃあ帰ろうか」

「はい」


帰っていると屋敷の庭に違和感を感じた。

あそこはよく母さんがお茶をしていた所だ。


土は盛り上がっており真ん中が血で染まってる。

気になって走り出しそこを掘り出す。


「どうしたの?」

「何か違和感があるんだ。ここだけ妙に……」


その違和感は言葉にできないが確かにあった。


「分かった。手伝うわ」


そうして二人で掘り進めると奥から瓶に入った手紙が見つかる。


「これは………」


蓋を開け中身を確認する。


内容は簡潔だった。


生き残ってるものはフィールを頼りなさい。

彼は王都にいる。


母さんの文字だった。

自然と涙が漏れ出る。

きっと最後の力を振り絞ったのだろう。


「フィールって誰?」

「僕たちの家庭教師をしていた………なんでもできる先生だよ」

「ふむ。君の母君はこの事態を想定していたのかもしれないな」

「ええ…………母さんならあり得ます」


昔から勘のいい母さんだ。

この事態を想定していても不思議ではない。


「つまりヒントはフィールさんが持っている可能性があるってことね?」

「そうみたいだね」

「お父様」

「分かってる。だが、私は今は屋敷を離れられない」

「なら、僕たちが行ってきます」

「危険だよ?………」

「分かってます」


それでもペンの切先を届かせるには!


「行かせてください」

「はあ、君も大概頑固だね?」

「ええ、父上譲りですから」

「分かった。しかしあくまで深入はなしだよ?」 

「分かってます」 


そうして僕たちはフィール先生の元を訪ねることになったのだ、

















読んでいただき、ありがとうございます。

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