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騎士家の落ちこぼれは殺された家族のために復讐譚を執筆する。  作者: 雨夜 フレ


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1/4

闇を纏って蝶は羽ばたく。

「アルフリート!」


父が強い声で僕の名を呼ぶ。


「なんでしょうか父上」


僕は頭を下げ父に返事する。


「お前、また訓練をサボって小説作りに励んでいるらしいな!」


父が僕のペンを奪い床に投げつける。


「騎士の家系に生まれたものとして恥ずかしくないのか!?」


ベン・アルフリート


それが僕の名前。


そして、ベン家は騎士の家系。

代々有名な騎士を輩出している。

そんな我が家。


だから、兄弟も騎士としての道を志す。

しかし僕は違った。

騎士はかっこいい。

それは僕も男だし分かる。

昔は憧れた。


だが、あるとき知った。

僕には致命的に剣の才能がない。

僕はそのときすごい消失感を味わった。

だけど、家庭教師に来ていた先生が言った。


「この世にはペンは剣より強しと言う言葉があります。貴方はこちらの才能があります。だから諦めないでください。才能は何も一つではありませんから」


この言葉に僕は希望を見出した。

そして、今僕は小説家を目指して書いている。


「父上、僕には剣の才能がありません。知っているでしょう?」 

「ああ、だがそれを理由に逃げていては強くはなれない!」

「確かに好きなことなら僕も逃げません。しかし、今僕が好きなことは小説です。ですから逃げません。違いますか?」

「うっ!?」


道理は理解しているようで父上は否定はしない。


「お前も13歳だ。婚約をする年だぞ?」

「知ってますよ?今日うちに来てくれるのでしょう?」

「お、お前。知っててなんでそんな余裕なのだ?」

「だって相手も騎士の家系の女の子でしょ?」


理解されないに決まっている。

なら考えるだけ無駄というものだ。


「母さんに似たな………」

「らしいですね」


母さん。

ベン・リリア。

母さんも実は騎士の家系に生まれながら体が弱く剣を握れられなかった。

そんな母は僕たちに騎士道を無理に歩ませようとはしていない。

父との結婚もどうせ体の事は理解してくれないと当初は諦めていたのだが………


「貴方また、アルの邪魔ですか?」

「い、いや。リリアこれは、いたたた!?」


母さんは父上のほっぺを思いっきり引っ張っている。


「アルは小説家になるんですから邪魔しないのですよ!」

「す、すみません!?」


このように完全に惚れており尻に敷かれている。

結果母さんの体のことも心配なく理解してもらえて今のようになっている。


そして、父上以外は僕が小説家になるのを応援してくれている。


兄さんたちに言っても揃ってこう言われる。


「「いいんじゃないのか?」」と否定的でない。


というより父さんも否定的ではないのだ。

ただ、心配なのだ。

死んでほしくない。

だから強くなってほしい。

そんな父上の想いからなのだ。


「母さん僕に何か用があったのでは?」

「ああ、そうだったわ!婚約者の子が来たわ!」

「分かりました。着替えて向かいますね」


僕の婚約者。ハース・リシア13歳。

彼女の家はお父さんの代で活躍台頭した騎士の家系だ。

鬼のカースとして有名なお父様、ハース・カース。

そんな相手が僕の婚約相手だ。


だが、僕には期待していないだろう。

血筋に興味があるのだろう。

それをわかっているので緊張せずいられた。


「アルフリート入ります」


僕は一言声をかけ部屋に入る。

中には見知らぬ男性と綺麗な藍色の髪をした少女がいた。


「こちらが末の息子のアルフリートでございます」

「初めまして、息子のアルフリートでございます」


僕は父上の言葉に合わせて頭を下げる。


「どうもご丁寧に。こちらがわが娘リシアでございます」

「リシアです……」


それ以上所言葉はなかった。


「こらリシア。挨拶をしなさい!」

「ベン様、こんにちはリシアでございます」

「違う!アルフリート君にだ」

「嫌です」

「な!?」


何となく想像はしていた。

騎士家の間では僕の噂は有名だ。

特に有名な騎士を輩出している僕の家だ。

有名にもなる。


「こんななよなよしてそうな男は興味ありません」

「リ、リシア撤回しなさい!?」

「嫌、です!」


はあ、この縁談は終わりかな…


僕は胸元からペンと紙を出して小説を書き始める。


「アル、何をしてる!?」

「父上破談ですよ?なら僕も好きにしようかと」


僕は今の状況などを繊細に紙に書きだす。


揺れる藍色の髪。

宙には埃が舞い太陽光が光照らしていた。

外からは鳥の鳴き声。

それらの情報を紙に落とし込んでいく。


「ふーん」


彼女は僕のほうを見て何か納得していた。


「な、なに?」

「あなたもそんな顔できるのね?」

「そんな顔?」

「ええ、生きた眼差し」


彼女の言葉は僕の中でインスピレーションが沸かす。


「いいね、その言葉」

「え?」


僕は小説を書き続ける。

その間誰も彼に言葉をかけられなかった。

まるで時間が止まったように見惚れていた。

彼女の言う「生きた眼差し」それが彼らを止める。


それから一時間がたったころ時計が鳴り昼を知らせる。


「あ、もうこんな時間だ」


周りを見ると全員固まったようにこちらを見ていた。


「あ、あの何ですか?」


「いやいや、素晴らしいですな!」


リシアの父上が感動していた。


「そ、そうですか?」

「ああ、君の懸命に小説に向き合う気持ちは伝わったよ!だろ、リシア?」

「まあ、剣よりは劣りますが懸命だったのは認めます」


どうも認められたらしい。


「す、すみません。見苦しい真似を息子がしてしまい」

「いえいえ、いいものが見られました」

「で、では婚約は……」

「いいだろリシア?」

「……考えてはあげる」

「あ、ありがとうございます!」


大感激の父上。


「よかったな!アル」


父上は泣きながら僕の頭を撫でる。


父上は僕の今後を心配していたからな。

さぞうれしいのだろう。

そんな父上に僕も笑みが漏れる。


カンカン!!


そんな時、突然緊急時の鐘がなる。


「なんだ!?」


突然扉らが開き部屋に傷だらけの兵士が入ってくる。


「どうした!?」


「……すみません……」

「何があったのだ!?」


それ以上兵士は返事がない。


「おい!?」


僕は冷や汗が止まってなかった。

急いで扉から出ようとする。


「アル!待て!」

「父上!母さんたちが危ないかもしれません!!」

「分かっている!だが、お前が行ってどうなる!」


くっ!?

分かってる僕が言ってもお荷物なのは。

しかし!


「お前はここで……」

「ああ、いましたね」


全身黒の衣服で隠していた集団が入ってくる。

手には何かが入っている袋を持っていた。


「お前たちはなんだ!」

「知る必要はありませんよ。それよりこれを差し上げます」


男は無造作に袋を投げてくる。

父上がそれを受け取り中を確認する。


「!?」


父上の顔は青ざめる。


「父上?」


袋が床に落ちる。


袋から何かが転がっていく。


「母さん……兄さん?」


頭だけの三人がいた。


「ひっ!?」


リシアの小さな悲鳴が響く。


「そ、そんな……」


僕は膝を床につけ絶望する。


「ふふ、いいですね。その表情」


ねっとりとした笑みを浮かべている口元だけが見える。


「貴様!!」


父さんが強く怒り剣をふるう。


「おっと」


それを綺麗にかわす。


「危ないですね?」


父さんの攻撃をよけた。

その時点で相手がやばいのは確定だ。

だが、父さんは攻撃をやめない。


「ふふ」


余裕そうな笑みはまさしくいかれていた。

父さんの剣と相手の剣がぶつかる。


「書かなくちゃ……」


脳みそは悲しさより創作をとる。

僕は紙を用意して書き綴る。


「あんた何してるの!?正気!?」

「正気じゃない……でも、書かなくちゃいけない。僕にはこれしかできない……」


剣がぶつかり合い火花が散る。

まるで妖精が待っているかのように淡く光。

そこに二人の呼吸が合わさりそれはまさに剣舞だった。

黒い布が彼らの布の蝶のマークが揺れて生きているかのように動く。

彼らの服には全員番号があった。

数字は十まであった。

まるで死へのカウントダウンのように。


「アル!!」


父上の声が聞こえる。

そこで意識が現実に戻ってくる。


「生きろ!そして、小説家になれ!」

「父上何を言って!?」

「息子をお願いします!」

「承りました!」


僕とリシアはリシアの父上に抱かれて窓から飛び出す。


「父上!!」


最後に視界の端に映った父上の顔は笑っていた。


下は草があり多少クッションになる。

リシアの父上はすぐに立ち上がりリシアに尋ねる。


「リシア!馬は扱えるな!」

「ええ、お父様!」


すぐに近くにあった馬に乗り僕たちはそこから離れる。


屋敷は遠くなっていく。


僕の頭の中には最後に映った父上顔がいつまでも残っていた。















読んでいただき、ありがとうございます。

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