46話 夕闇の再会
久しぶりの投稿になりました。
最近忙しくなかなか書く時間が取れませんでした。
更新ペースはとうぶんまだ戻らないと思いますが空いた時間にでも読んでもらえれば嬉しいです。
「ようカナタ!これ、財布盗られてたぞ」
笑顔で布袋を持ったエイジさんが声をかけてきた。
「エイジさん!どうしたんですか⁈」
「なにそんな驚いてんだ。普通に散歩していただけだよ。これ盗られた財布な」
当然のように颯爽とスリから救ってくれたエイジさんは、俺にお礼を言わせる間もなくそのまま近くのレストランまで流れるように連れて行かれた。
大きめの店内で俺たち二人は隅っこの席に座る。
「いや〜、久し振りにだな。いつぶりだ?まあいいか、よし!今日は俺の奢りだ!存分に食えよ!まだ昼だけどな。ははははッ!」
駆けるように話すエイジさんは相変わらずの愉快さだった。
「はは、それじゃあお言葉に甘えて」
届く料理は洋風なものが多くどれも美味かった。俺はタダ飯を口に頬張りながら今の近況を報告した。
「なんだ、お前冒険者になってたのか。道理で城にいないわけだ」
「実はルリナから滞在中にAランクまでなれっていわれて…」
「そいつはまたヘビーだな。で、今のランクは?」
「Dです」
「……無理じゃね?」
良かった。あまりにも愉快な人だから「いけるいける」とか言うと思った。
俺はそこでさっきあったライドとの勝負の件を話した。
「なるほど…。それなら、いや、いいことを思い付いたぞ。カナタ俺も協力してやる」
俺はエイジさんが思い付いた話を聞いて正直言ってびびったし、何より勝利を確信した。
「マジっすか?」
「マジだ。同郷が無茶なことをしてるのに先輩が黙って見てるわけにはいかないだろ?」
エイジさんと話すとき会話にちょこちょこ先輩を入れてくる辺り、この人先輩というものに憧れているんだなと思う。
そしてその後エイジさんは仕事が一応残ってるらしく城の方へと歩き出した。
時刻は夕方、今日はこのまま宿に帰ろうかと思ったその時、見知った少女を見つけた。
金色の髪に赤く血のような瞳、視線を不意に移してしまう八重歯を覗かせたシエラがいた。
「よう、何してるんだ?」
無視するのもあれだと思い暇つぶしに俺は彼女に話しかける。
「なんだ。最近見ないと思ったらお前こそ何してるんだ?」
こちらの質問を瞬時に質問で返す。俺の方を見た様子はなかったが気づいていたのか?流石次期当主なだけあると俺は心の中で感心した。
「俺はルリナから課題を言い渡されてそれに奔走してる最中で、お前は空腹中か?」
シエラは目の前にある屋台をずっと凝視していた。
「…見ていただけだ」
そう言うシエラだが物欲しそうな目は夕日に照らされてきらきらとしている。
俺はその屋台へ行きその店が出している揚げじゃがという名のコロッケを二つ買って一つをシエラに渡した。
「ほら、できたてだってさ」
「あ、ありがと…」
粗暴で生意気な態度は見られず、素直にシエラはお礼を述べた。
俺は揚げじゃがに大きくかぶりつくとサクッとした食感にじゃがいもの甘みが口に広がる。
うん、美味い。
「どうだ美味いか?」
俺がシエラにそう聞いた時には既に彼女の手から揚げじゃがの姿はなかった。
こいつ、もう食ったのか。
俺が若干驚いていると、
「その、まあなんだ。気を遣わせたな。財布を忘れてしまって買えなかったんだがどうしてもあの匂いから離れられずに…」
まあ嬉しそうで何よりだ。
貴重なものを見た気がした俺はそのままシエラとも別れ、日が落ちた中を宿に向かって歩く。
するとその宿の前に久しい顔を見た。
今日は色々と出会うなと奇妙な一日を思いながら俺は彼女に話しかけた。
月光に冴える銀色の髪の少女。
「久しぶりだなルリナ」
「そうね」
少し素っ気なさのある返事をしたルリナはそのあとの言葉を続ける。
「あんたが全然連絡をよこさないからわざわざこうして来てるのに、呑気に久しぶりってどんな神経してんの?」
相変わらずのきつい口調は健在のようで俺はひとまず安心した。
「なによ、そのホッとしたような顔は」
顔に出てしまったのかジト目でこちらを見る。
あからさまだったのか自身でも疑問だが立ち話もあれだと思い、
「まあ、あれだ。とにかく宿で話すよ」
宿の中に入ることにした。
簡素な部屋でルリナは早速ベッドに腰かける。
「それで?今のランクはどのあたりなの?」
今日エイジさんから無茶ぶり案件だという確信を得た俺は自信たっぷりに答えた。
「Dです!」
この確信がなかったら気弱に答えていただろう。我ながら情けない。
「何誇らしげに言ってんのよ。全然ダメじゃない」
きっとどんな言い方でもこう言われるんだろうなと言われてから俺は思った。
ルリナは俺のランクの上がりが遅いことと連絡をしなかったことで機嫌は斜めを向いたままだったので、エイジさんに話したライドとの勝負のことを話した。
勝負のことを話したあとルリナから呆れ混じりに、
「何やってんのよって言いたいけど私たちの国を侮辱してそれをそのまま放置してたら引っ叩いていたわ。それでも簡単に勝負に乗ったのは馬鹿だけど」
「すまん、あの時は咄嗟に…」
「まあでもいいわ。受けたからには勝ちなさいよね」
「ああ、分かってる」
少し機嫌が良くなってくれたのか、その一言を言うときの顔に笑みの色が見て取れた。
次回の更新は未定ですが早くできるように努めます。
その時も読んでくれたらと思います。
これからもよろしくお願いします。




