47話 冒険者の勝負その1
更新の間隔が大きく空いてしまいすいません。
次回からなるべく早く更新できるよう努めるので読んでいただけると嬉しいです。
二日後、約束の勝負の日が来た。
ギルドに足を運ぶとそこにはすでにライドの姿があった。
「やあ、来たね」
「そりゃあな」
俺はがそう挨拶感覚で答えてから、勝負が始まった。
依頼を選ぶ時点で勝負は始まっているのだ。俺は掲示板を眺めてⅮランクの依頼が貼られているところを眺めていると、ライドは三枚の依頼書を手に受付に向かった。
「僕はもう選んだけど君はよーーく考えて選んだ方がいい。無茶な数を受けて自滅だけはしないでくれよ。おもしろくないからね」
そう言って取り巻きを引き連れて出発した。
鼻につく挑発を受けた俺は冷静にある依頼書を探す。あんな安い挑発なんて今の俺にはまったく効果がない。なにせ俺には強力な助っ人がいるんだからな。
「お、あったあった」
お目当ての依頼を手に取り、それともう一つの討伐の依頼、合わせて二枚の依頼書を受付に持って行った。
「お願いします」
「はい。ファイアウルフの討伐と…⁈ あの、これは…」
依頼書を見て目を白黒させた受付嬢は戸惑いながら見送ってくれた。
拓けた森の中で俺は赤い毛並みの狼二匹と対峙していた。依頼にあったファイアウルフだ。炎を操る狼型の魔獣でその俊敏さと遠距離での攻撃も可能な、Dランクの中では厄介なやつだ。
俺はすぐに銀の魔薬を飲む。
力がみなぎり髪の色も銀色へと変色する。
まともな戦闘は久し振りだ。
今までとは全く違う生活に順応している自分に改めて感心と驚きを感じる。
若さゆえか、それとも必死に生きようとする本能ゆえか、俺は目の前のどう猛な獣を前にしても臆することはなかった。
どうやら日本にいた頃の感覚は人殺しを除いてほぼ麻痺してしまったようだ。
唸る赤い狼の内の1匹が鋭い牙を向けて俺に突っ込む。その獣らしい攻撃を俺は避けることができなかった。単純にファイアウルフの動きが速く避けるよりも速くにファイアウルフの牙が俺に届いてしまったのだ。
肩から噴き出す血と荒い痛みで体が悲鳴をあげる。
しかし今の俺は強化状態にある。痛みは感じるが悶え苦しむほどではなかった。
そして刀に噛みついたファイアウルフに突き刺す。
体を貫通した部分から体毛よりも濃い色をした血が噴き出し、その返り血が俺にも降りかかる。
ベトベトして気持ちのいいもではなかった真っ赤な血、1匹のファイルウルフは刀を引き抜くと地面へ重く倒れた。
もう1匹のファイアウルフは、カナタから距離を取って様子を窺っている。
仲間の1匹が死んだことで危機意識が上がったようで、カナタの懐に飛び込まないファイアウルフは、その名の由来であるひとつの特性を見せた。
口の中で火を溜め込み、牙の隙間からその火の粉が漏れ出ていて、次の瞬間には喉を大きく開けて溜めた火の玉をカナタに向けて飛ばした。
カナタはその火の玉に刀身を真っ直ぐ向ける。
そして刀に魔力を込めて、妖刀としての能力を引き出した。
「ブラックホール」
闇属性中級魔法。
魔力を持った攻撃を吸い込むようにして防ぐ防御魔法。相手方の威力が高ければこの魔法は防ぎ切ることはできなくとも、弱体化までは持っていける。
現時点での俺の唯一の防御魔法だ。
黒い穴が刀身の中央に出現し、火の玉を迎え入れるように接触した。そしてなんて事なく防ぎ切った俺は、すぐさま攻撃に転じる。
「銀の斬撃」
刀から繰り出される飛ぶ斬撃。
これならあのワン◯ースのゾ◯にも張り合えそうだ。
そんなことが頭によぎったのは斬撃がファイアウルフに命中した後だった。
「これで毛皮を持って帰れば依頼完了だな」
討伐系の依頼はその討伐対象の魔獣の部位を剥ぎ取り、ギルドに持ち帰ることで依頼達成となる。
そしてこれが終わった俺は、もう一つの依頼を完遂されるため森の奥へ移動した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ライドたち一行はというと、もう既に依頼は完了している状態にあった。
「これで僕の勝利は決まった」
彼は三つ受けた依頼のその全てを金で雇った冒険者に任せたのだ。
ライドを嫌う冒険者は数多くいるが、破格の依頼料で自分よりも弱い魔獣の討伐となると、飛びつく者いる。
ライドはそうして報酬の高いCランクの討伐依頼をこなしてみせた。
数を三つにしたのは、それ以上の数を今日中に受けて完遂することが物理的に難しいからだ。もし受けて他の冒険者に任せても疑われてしまえばそれまで。
誰かがバラす可能性だってある。
時刻は夕方。
ライドは取り巻きを連れて悠々とギルドへ戻ると、
そこには既に依頼を終えたカナタの姿があった。
「やあ、どうやら待たせてしまったみたいだね」
感想など大歓迎です。




