43話 ギルドマスター
誤字脱字があれば教えてるもらえると嬉しいです。
金髪男の投げた剣が俺に突き刺ささり、怒りに燃えていたロディという名の屈強なスキンヘッドも喧嘩どころではないと理解した。
「ライド!てめぇ自分が何したか分かってんのか!」
ロディは剣を投げた金髪男、ライドに詰め寄る。
彼が今やったことは明らかな殺人行為だ。しかし当の本人は全く気にしていなかった。それどころか詰め寄るロディの発言と俺に呆れていた。
「あそこに居たのが彼の運の尽きです。それにあんなのも避けられない時点でこの先冒険者としてやっていけたかどうか…」
自身が殺してしまった。その意識すら存在しないライドにロディ含め周りの冒険者は彼の自分勝手な考えに怒りを通り越して呆れ始めた。
「これだから貴族はッ…」
「何か言いましたか?」
事態が悪化していく様にギルド職員も慌てて現場は収拾がつかないと思われたその時…
「お、おい!」
誰か分からないその声は驚愕の色を持ってギルド内によく響いた。誰もが目を丸くし信じられないという顔でその光景を見る。
剣を刺したまま徐に立ち上がった俺は胴体に刺さった上等な剣を引き抜き床に落とす。
さっきまでの喧騒はどこにいったのか、場は静寂に満ちて俺の声はよく通った。
「……やったのは、誰だよ?」
死から蘇った俺は宣戦布告としか思えないさっきの不意打ちの主犯を探す。
「カ、カナタ…さん?大丈夫、なんですか…?」
振り向くとわなわなと震えるカリナさんがいた。
「ええ…。このくらい何でもありません」
そういえばここの人は俺のスキル"不死者"のことを知らないんだったな。
道理でみんな俺をお化けのような目で見るわけだ。逆の立場なら俺も全く同じ反応をしていただろうな。
すると一つの拍手を送る音が響いたが、それは明らかに小馬鹿にするような叩き方だった。
「いやぁ〜、これは驚いた!まさかあれを受けて起き上がるとは!」
金髪の男が珍獣でも見たかのような心地の悪い笑みを浮かべ口を開く。それなりの気品のようなものは感じるがそれを台無しにするほど人としての格の低さが見て取れた。
しかもこういうクズい奴に限ってイケメンなんだよな。
「これ…、あんたの剣か?」
ほぼ確定だろうが一応確認を取る。
「如何にも。ちょっとそこにいるロディさんに度胸があるか試したんだけどすまなかったね君」
絶対悪いと思ってないだろうな。久し振りに腹が立つ。こんなのクラスメイト達以来だな。
「悪いと思うならそれなりの誠意を見せろよ。確かに俺は今なんともないが、これが俺以外の人だったら…、あんた人殺しだぜ?」
「ああ、確かに私も悪いかもしれない。しかし自己防衛というのもまた冒険者としては必要だとは思わないか?」
この言葉で分かることはこいつはまともに頭を下げるようなタイプじゃないってことだ。見た感じプライドも高そうだし。
殺伐とした嫌な空気が流れ始めた時、ギルドの二階へ続く階段から大きな声が聞こえた。
「なんの騒ぎだ!」
視線を送ると一人の女性ギルド職員と壮年の威厳ある男が降りて来るのが見えた。
「ギ、ギルマスッ⁈」
下にいたあるギルド職員がおろおろとしたながらそう口にした。
ギルマスというときっとギルドマスターのことだろう。職員の驚き方からして上の立場の人間ということは間違いない。
そしてカリナさんがギルドマスターと思われる男に事情を説明した。
事情を把握したギルドマスターは深くため息を吐く。
「はぁ……。なるほど。C級冒険者ライド・クローナーくん。悪いが今回は君に非があると判断し、追って沙汰を下す。いいね?」
「別に構いませんよ。罰則が働いても程度は分かる。今日は素直に引き下がります」
そう言って三人の取り巻きを連れライドはギルドを後にした。
「なああんた…、ほんとに大丈夫なのか?」
横にいた冒険者が俺の安否を確認する。床を見るに相当血を流していたんだろう。ペンキを何度も塗り重ねたように真っ赤だ。
「大丈夫ですよ。なにせこれが取り柄みたいなもんですから」
ほんと俺の唯一の長所だよな。
そんなことを思ってると、
「君、ちょっと部屋まで来てもらえるかい?」
ギルドマスターが俺を呼び止めた。
「どうしてですか?」
つい先日冒険者になったばかりの余所者にこのギルドのトップが話とは意図が分からないな。探りなんて高等テクを身につけていない俺はストレートに聞くことにしたが答えてくれるか。
「協力してほしいことがある。詳しいことは部屋で」
なんかせこくないその言葉?
そう言われてノーなんて答えられるわけもなく俺は彼の話を聞くことにした。
招かれた一室には俺とギルドマスターが向かい合うように椅子ち座り、ギルドマスターの側に秘書らしき女性職員が毅然と立つ。
「すまないな。突然連れて来てしまって」
そして秘書の人がお茶を出してくれ、彼は話を始めた。
「俺はこの王都のギルドでギルドマスターをしているザムドという」
「俺はカナタといいます」
「ふむ……。カナタ、聞いたことがないな…。他所から来たのか?」
ザムドと言ったギルドマスターの男は当たり障りのない質問をしてくる。本題を切り出す前に俺がどういった奴なのか知りたいのだろうか。とにかくこちらも普通に答えておくことにする。
「ええ。俺はラーグナー王国の七紋家が一つ、インヴィディア家に仕えています。今はちょっと事情があって先日冒険者になりました」
そう言うとザムドも秘書らしき女性も目を見開き心底驚いた様子だった。
「…それは本当か?」
まあ、当然疑うよな。
俺は懐を漁り一枚のカードを取り出す。
「これは俺の身分証です」
そう言って机の前に差し出すと、ザムドは手に取ってよーく観察した。
「確かに…。魔女の国の階級の欄には銀の家臣とある。どうやら本当のようだな」
確認をしたザムドは俺に身分証を返すと、ようやく本題を切り出した。
「実は是非とも君に頼みたいことがある」
「なんでしょう?」
「今回のライド・クローナーに受けた被害をギルドに訴えてほしい」
これがギルドマスターからの頼みだった。
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