34話 初代銀の魔女
今回より二章開始です。
これからも引き続きよろしくお願いします。
誤字脱字があれば教えていただけると嬉しいです。
俺は今ショウキと戦っていたディラー平原に立っていた。しかし辺りを見ても俺以外の人っ子ひとりいない。
頭上には大きな棉が空を浮かんでいるように見える綿雲が青空にあった。
「俺はさっきまでショウキと戦っていて…」
「見よう見まねで銀の魔法を使っていたわね」
事態を整理しようと頭を回していると女性の声が聞こえた。エイナさんやティナ、ルリナでもない聞いたことのない声だ。
その声の主はいつの間にか俺の前に立っていて何故か嬉しそうに笑っていた。
「見よう見まねでよくも発動できたわね」
女性にしては高い身長でモデルのようだ。銀色の長髪に藤色の瞳、そして彼女の纏う雰囲気はとても馴染みのあるものだった。
「あの、あなたは…?」
「私は初代銀の魔女、アリア・インヴィディア。銀の魔法を創ったすっごい魔女よ」
初代銀の魔女と名乗ったアリアさん。何がなんだか訳が分からず、今俺の中で疑念という嵐が巻き起こっていた。
「何ボケッとしてのかしら」
顔に出ていたのか、俺の間抜け面を見てアリアさんはクスクスと笑う。
「あの、俺ここで戦っていたんですけど…。ほんとにどういうことですかこれ?」
とにかく俺は何か知っているであろう初代様に聞いてみた。
「さあ?私もよくは分からないわ」
お手上げというジェスチャーも入れたアリアさん。
マジで訳がわからんことになってる。
「ただ言えるのはここはあなたの意識の中、ということぐらいかしら」
俺の意識の中、よく分からないが精神世界というやつなのか。イメージとしては真っ白な空間とかなんだか何度周りを見ても平原だ。
「あの、アリアさんがここにいるはどうしてですか?」
初代ということはもう随分と昔の人だろう。エイナさんが今何代目なのかは分からないがどう考えても死んでいるとしか思えない。
「それはあなたが銀の魔法を使ったからよ」
「どういうことですか?」
「普通銀の魔法はね、その家の血統の者しか使ってはいけないの。教えるのもインヴィディアの血が流れている者でなければいけない。それが決まり、私が定めたルール。でもあなたはそれを破った。だから私がいるの」
銀の魔法にそんなルールがあったのか。きっと一族だけが使うのを許されている魔法だったのだろう。それを俺が使ってしまったからアリアさんがここにいる。
きっと番人のような役割があるのだろう。俺は嫌な予感がした。
「俺にインヴィディアの血が流れていないからですか?」
「そうよ。だから私はその使用者を罰しなくちゃいけないの。それがこの銀の魔法に定めた約束。なんだけど、あなた名前は?」
「えっとカナタといいます」
「そうカナタね。特別にあなたは許可するわ」
「はっ?」
「だからあなたが銀の魔法を使うのを許すわ」
「えっと…、どういうことですか?」
理解が追いつかなくて困惑する俺にアリアさんが説明をした。
「あなたのスキル、確か"不死者"だったわね。それで銀の魔薬の副作用を克服したでしょ?だからあなたには資格がある」
「克服というよりか俺死んでますよ?」
銀の魔薬の副作用とは飲めば死ぬことを言っているんだろう。俺はあれを克服したんじゃなくて荒技で強引にいってるだけだ。
「でも何度も生き返ったでしょ?なら合格よ。それにあなたみたいなケースは中々いないしね」
罰を与えるとか言ってた割には随分とアバウトだな。
すると平原から俺とアリアさんを中心に砂嵐が突如と発生し、その輪が段々と狭くなってきた。
「な、なんだ⁈」
目に凶器の砂が入らないように腕で顔を覆う。
「もう時間みたいね。また会いましょうカナタ」
アリアさんはそう言うと俺の首輪を引っ張り自身の体を押し付けた。そしてアリアさんが触れた俺の首輪は青く光る。
「あの、アリアさん。何を…」
囲まれた砂嵐に飲み込まれる寸前にアリアさんの妖美な唇が俺の唇と触れる。この時俺の頭は砂嵐に飲む込まれるという危機感すらどこかへ行っていた。
「これでいつでも私は会えるわ」
その言葉を最後に俺とアリアさんは砂嵐の中へと消えた。
瞼に優しい日の光が差し込む。目を閉じていても感じた眩しさに俺は徐に目を開けた。
そこはさっきまで居たはずの平原ではなく、よく知った天井だった。横たわっていた俺は取り敢えず上体だけ起こす。
すると扉が開く音が聞こえてそちらに視線を向けると、扉の向こうから来たのは暗い雲のような面持ちのルリナだった。
そのルリナは俺を見るや否や勢いよく飛びついてきた。
「え、えっと…」
俺は戸惑うが引き離せるような感じでもなかった。俺の胸に顔を埋めて俺の服を離さないというように強く握りしめていた。
「よかった…。本当に、よかった…」
泣いているのか、声と肩が震えてるルリナの頭を俺はそっと撫でた。
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