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銀の魔女の勇者  作者: 星川ぽるか
一章 帝国の勇者と魔女の勇者
36/60

32話 帝国の兵器

最近pvというどれだけの人がアクセスしてくれたのか見れるという機能を知って見てみたら6500pvもありとてま驚きました。

基準は分かりませんがこれからも頑張ろうと思います。


誤字脱字があれば教えていただけると嬉しいです。

 エイジにお礼を告げに行ったルリナはティナのいる治療テントに向かっていた。


(まさかあの名高い五英傑とカナタが同郷とはね…)


 内心でそう思いつつ、彼女はテントに着き中に入って行った。


 今そこでは一人の銀色の髪の少年が眠っていた。


「カナタ…」


 寝台に近づきカナタの手をルリナが握る。今もカナタの心臓の鼓動は止まっており、握る手からは氷にでも触れているかのように冷たい。


「ルリナ、エイナ様とゼイドさんは今さっき目が覚めたわ。でもまだ動けるほどではないわね」


 そこへ今しがたエイナとゼイドの治療が終わったティナがルリナに報告へ来た。


「ありがと…、ティナ」


「カナタくんは、まだ目が覚めない?」


 コクリと頷くルリナ。カナタがここへ運ばれて一時間近くが経過した。いつもなら目が覚めてもおかしくないくらいの時間だが未だに目を覚まさないカナタ。


「敵の勇者は聖剣を持ってたんだよね?ならきっとそれのせいで時間が必要なのかもしれない」


「そう…よね」


 ティナの推論に力なく同調するルリナ。いつもは気丈に振る舞って時には気高さを感じる彼女からはあまり想像つきにくい様子だった。


 ティナは話題を変える意味も込めて女王陛下からの伝言を伝えることにした。


「サルナ王国が援軍に来たから銀の魔女が率いる部隊は本陣で待機だってさ。勇者に痛手を負わされたから無理もないわよ」


「そう…。わかった」


 さっきと同じ様子でルリナが答えたのを聞くとティナは黙ってテントから出て行った。


 ティナとルリナは幼少期の頃からの付き合いで、昔はよく一緒にいた。何度か見たことあるルリナのあの状態は大事なものが無くなることを恐れている状態だ。そんなルリナに今は何を言っても仕方ない。

 きっとあそこから当分は離れないとティナは確信した。


「帝国は魔獣を操ってこちらに攻めるという手も女王が潰したし、勇者を一人捕虜にできた。今はサルナ王国からの援軍にイーラ家の鮮血の魔女は健在。帝国はもう手詰まりでしょうね」


 樹海で工作活動をしていた帝国部隊は壊滅。三人の勇者の内二人は逃亡、一人は捕縛。その後も追跡を続けて勇者二人は転移石を使って樹海から離脱した。

 総力戦ともなればこちらが勝つのは明白だ。


 しかしここで予想外の事態が起きた。


「お、おいッ!何だあれは⁈」


 一人の兵士が大きな声で空を指差す。


「ッ⁈あれは…」


 さっきまで全くなかった巨大な魔法陣が天に描かれていた。



  ―――――――――――――――――――――


「サルナ王国か…」


 テントの中、そこの椅子に腰掛けた皇帝アルドラ・フォルネが呟く。


「はっ!どうやら魔女側はサルナ王国と同盟を結んだ模様です!敵兵力は増して数では負けております」


 一人の伝令兵が皇帝に報告をしていた。


「そうか。だが何も問題はない。むしろ()()()()()


 皇帝の口角が吊り上がり笑みを浮かべる。その様子に伝令兵は首を傾げた。皇帝は老いたが戦争におけるその手腕は他国も恐れるほどらしく、全盛期は戦術において勝る者は一人もいなかったとか。


「よし、ヘドルに伝えろ。魔法収束固定砲台"落罪(らくざい)"を使用せよとな」


「ぎょ、御意ッ!」


 慌てて伝令兵はテントから飛び出して行った。ヘドルは後方の魔法部隊を指揮する男でリカと取引をした魔術師だ。


 魔法収束固定砲台"落罪"はある人物たちから受け取った魔法兵器だ。半径十キロ以内で指定した場所ならどこでも発動可能、天から落ちる隕石のような魔法らしい。


「あの兵器も魔女が作ったというのだから皮肉なものよな」


 そして"落罪"は後方に控える魔術師と勇者たちの魔力を糧にして放たれる。

 皇帝からの命令によりヘドルは真っ黒な色に白のラインが入った土台に乗った大きな水晶玉に魔力を注ぐ。


「隊長ッ!準備が整いました!」


「総員、出来るだけ離れろ!これより"落罪"による長距離攻撃を開始する!放てッ!」


 水晶玉の上に黄色い輪っかが出現し轟音と共に水晶玉が発光した。



  ――――――――――――――――――――――


「なるほどな…」


 女王は空に浮かぶ魔法陣を眺めてそう呟く。

 慌てた様子はなくひどく落ち着いた雰囲気だ。


「あれがあるから今回の戦争を仕掛けようとしたのか。勇者による樹海の奇襲もただのついでで最後はあれで決着をつけようと…」


 何もかも分かった女王はため息を吐く。そんな場合じゃないのに実に肝が座った人物だ。


「どうされますか陛下?」


 近衛隊長のラグルドも女王と同様に冷静な様子だ。そして女王に指示を仰いでいた。


「私が対処する」


「陛下自ら…ですか」


「不安か?」


「滅相もない」


 ラグルドは頭を下げて自身の不敬を謝罪する。


「俺も手を貸しましょうか?女王様」


 エイジが少し砕けた感じで助力を言い出した。

 その様子にラグルドはエイジを一瞥し、表情を曇らせる。


「五英傑といわれていますが、女王陛下の御前だということを分かってるのか?」


 声音からも分かるほどラグルドは怒りの火を灯していた。


「それは…」


 ラグルドを見てエイジも少しまずいと思い、取り敢えず頭を下げた。


「女王陛下。申し訳ありません」


 しかし女王は気にした様子はなく、よいよいと言ってエイジの態度を咎めなかった。


「せっかく援軍に来てもらったんだ。その力、見せてもらおう」


「喜んで」


 女王とエイジは頭上に浮かび太陽が二つあると思わせるほどの光を放つ魔法陣を見た。

 そしてついに魔法収束固定砲台"落罪"が魔女軍の本陣に落ちた。



読んでいただきありがとうございます!

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