31話 英雄の救援
誤字脱字があれば教えていただけると嬉しいです。
今回は少しセリフが多くなっています。
「俺はサルナ王国の五英傑が一人ッ!名前はエイジだ!ラーグナー王国と同盟を結び救援に駆けつけたッ!」
フォルネ帝国と長く対立していた大国であるサルナ王国からの救援だと男は言った。
「救援ッ…?それも、サルナ王国だと?」
ショウキは訳がわからない様子でポツリポツリと言葉を漏らす。
「そうだぜ後輩達よ!っていっても後輩はここに倒れてる奴だけなんだが…。お前ら帝国のとこの勇者だろ?」
陽気な性格なんだろうか、サッパリとした感じでエイジという男はショウキ達に話しかける。
「そ、そうだ。俺達はフォルネ帝国の勇者だ」
「ここにいる銀髪の奴はお前らの仲間じゃないんだな?」
エイジは俺を指差しながら問いかける。
「あ、ああ」
ショウキの返事にエイジは「そうか」と言って地面に突き刺した剣を抜いて構える。
「任務を遂行する。悪く思うなよ」
エイジは手に持った剣を再び地面に勢いよく刺した。
すると地面を這うようにして氷が辺り一面を走り出した。平原がゴツゴツとした氷に覆われる。
そして剣からは冷気が溢れ出していた。
「んだよこれッ!」
叫ぶゴロウに地面を這う氷が襲う。氷の結晶がゴロウの腕を掴む瞬間、ゴロウは弓で結晶を破壊する。
他のメンバーも戦闘ができないリカを守るように襲い掛かる結晶の束を壊してなんとか凌ぐ。
しかしエイジは攻撃の手を緩めず、今度は勇者達を取り囲むように氷の津波を発現させた。
「氷冷の津波!」
「クソッ!聖光の嵐」
氷の津波に飲み込まれそうになるショウキたち。ショウキは技を放つがカナタとの戦闘で大きく魔力と体力を消耗しており、光の渦はあっさりと消える。
そしてショウキの"英雄化"が解けてしまい、彼はその場で意識を失った。
「ショウキッ!」
アイがショウキに駆け寄りいよいよ氷の津波が勇者たちを飲み込もうとしたその時、氷の津波は内側から爆発するように弾け散った。
そして一人の男が空から降って来る。
騎士団長ガルダが魔剣"風神"を持って氷の津波を防いだ。
「「ガ、ガルダさん…!」」
「お前たち!今すぐに転移石で本陣へ戻るぞ!準備はできた」
救出にやって来たと思われるガルダにエイジは追撃を仕掛ける。
「そうはいかないぜ」
氷で出来た針の山が地面から噴火するように飛び出して勇者たちに再び迫り来る。
「甘いッ!」
ガルダは風神を一振りして出現した風の斬撃で襲い掛かる全ての氷の山を破壊した。
そして転移石を使い、勇者たちを連れてこの場から離脱した。
「あー、逃しちまったか…。まああの騎士団長様が相手じゃ仕方ないか」
軽く勇者たちを逃したことを流し、倒れている俺に近づく。
「おーい、生きてるか後輩?」
ペシペシと俺の頰を叩くが、目を開けない。この時俺は既に死んでしまっていたからだ。
「あらら…、気ぃ失っちゃてるよ」
エイジは気を失ったと勘違いしたまま、俺を肩で担ぎ魔女が本陣を構える丘の上へ向かった。
「にしてもこいつやけに体が冷たいな。俺の魔剣の冷気に当たったからか?」
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時はカナタがショウキと戦闘を始めた頃に遡る。
女王のいる本陣に一つの報告が入った。
「陛下ッ!申し上げます!ただいまサルナ王国の軍事部隊が救援に駆けつけとの報告がッ」
「やはり来たか…」
女王はカナタと謁見をしたあの日に一通の手紙を書いて送った。送り先はサルナ王国、内容は同盟を結び今回の戦争で救援をしてくれないかというものだ。今までラーグナー王国こと魔女の国はフォルネ帝国陣営とサルナ王国陣営の戦争に中立という立場をとっていた。しかし、そんな魔女の国にフォルネ帝国は戦争仕掛けたため、中立の必要がなくなり魔女の国はサルナ王国側についたのだ。現代でいうところの世界大戦が今この異世界では起こっており、勢力が真っ二つに分かれているのだ。
「サルナ王国からしても我らの国の力は欲しいでしょうから当然でしょう」
近衛隊長ラグルドがそう言い、女王は椅子から立ち上がる。
「サルナ王国側の総指揮官へ会おう」
そして女王はサルナ王国の総指揮官と話をした。
「お初目にかかりますラーグナー女王陛下。私が今回のサルナ王国からの援軍、その総指揮官に任命された五英傑が一人、レイアといいます」
鮮やかな立ち振る舞いで跪くレイアという名の金髪の碧眼の美人な女性は、凛とした表情で女王に敬意を払う。
「ほぉ、五英傑が率いてるのか」
「はい。私ともう一人エイジという名の男です」
「二人も寄越すとは随分と気合いが入ってるなサルナ国王は…」
五英傑とはサルナ王国にいる五人の超人的な英雄のことだ。その力は文字通りの一騎当千。王国にとってあらゆる災厄を打ち払う五人の戦士だ。
そしてこの五英傑と高い軍事力がサルナ王国を大国としているものでもある。
「現在エイジは先に援軍としての役目を果たしに動きました。しかし女王陛下に一言の挨拶もないのは無礼なので」
「よい、今は戦時中だ。それよりも力を貸してくれとるとありがたい」
「はっ」
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そしてエイジは援軍として帝国兵と戦っていた時に負傷したエイナさんとゼイドを連れていたルリナに遭遇した。
「サルナ王国からの救援…?」
「ああ、その二人重症だな。何があったんだ?」
そしてルリナはショウキたち勇者のことをエイジに伝え、俺が足止めをしていることを話して救援に来たという。
エイジはカナタを連れて魔女軍本陣付近まで戻ってきていた。カナタを慈愛の魔女がいる治療テントまで運び、近くで布陣を敷く命令を出していたレイアのとこへやって来た。
「レイア、女王とは会えたか?」
「陛下をつけろバカッ」
拳骨を頭にくらいエイジは涙目で頭をおさえる。
「帝国兵は一掃できたか?」
レイアはキツイ眼差しでエイジに聞いた。
「粗方はな。ただあいつら撤退したけどまだ本陣は残ってる。長期戦を狙ってるにしてもそんな感じの攻め方じゃなかった」
戦闘や分析などはとても信頼ができるエイジだが、彼は色々と物事を軽く考える傾向がある。なあなあで流すことが多いのにちゃんとする時はちゃんと熟す。レイアはエイジのそんなとこがとても気に食わないと思っているのだ。
「何かありそうだな。とはいえしばらくは向こうの出方を見るべきだな」
レイアとエイジのもとに一人の少女が訪れた。
「あ、あの…」
「ん?君はたしか重症の二人を抱えていた…」
帽子をお腹の前で持ち申し訳なさそうにしていたルリナだった。
「はい。あの時エイジ様が帝国の勇者たちの足止めをしていたカナタに救援へ駆けつけいただきありがとうございます」
「いやいや気にしなくていいよ。あれが俺の今回の任務だしな。それにあいつは俺の後輩みたいなもんだしな」
笑いながらエイジはルリナに言う。
「それにあの銀髪の後輩はとても良く頑張っていたよ。あの聖剣を持っていた勇者、あれは強かった。俺が行った時にはもう相当消耗していたから全然だったけど…。あれでまだ成長中ときたもんだ。いや〜、チートはずるいよね」
本当に軽い感じだがエイジはカナタに称賛の言葉を送った。本当に軽く…
ルリナは今さっき気になったことをエイジに恐る恐る聞いた。
「あ、あの…、後輩というのは…?」
「ああ。今君が言ったカナタって男のことだよ。なにせあいつは俺と同じ出身だからな」
エイジもまたこの世界にやって来たカナタたちと同じ日本人だった。
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正直今回の話は場繋ぎのような感じでしょうか?
今後のストーリーとしての筋書きは出来上がっていますが、今回は迷走気味と感じた方もいたかもしれません。
まだまだ下手くそな身ではありますが精進しますのでどうか、応援のほどよろしくお願いします!




