幕間 帝国の勇者
更新が遅めになってしまいすいません!
今回は勇者サイドの話になります!
長くなりそうになったので切らせてもらいました。
フォルネ帝国の王宮、そこで起きた騒動から一週間が経った。
今日もこの国で召喚された勇者達は己を強くするために訓練に励んでいた。
「はぁッ!!」
「オラッ!!」
王宮の中にある騎士団が使用する第三訓練場。そこで二人の男が激しい攻防を繰り広げていた。
ショウキ……自己強化のスキル"英雄化"を持ち、勇者達のリーダーという男。
ダイキ……攻撃特化型のスキル"狂戦士"そのスピード、攻撃力は"英雄化"をも凌ぐ。勇者達の中でも切ってのアタッカー。
ショウキは片手剣をダイキは両手剣を手にして激しく斬り合う。お互い訓練用のもので刃は削られているので実際に斬られることはない。
しかしそれも使い手によっては変わる。
実際、彼らの剣を浴びればこの国の兵士は一撃で命を落とすだろう。
ダイキが両手剣を大きく上段から振り下ろす。その攻撃をショウキは剣を水平に掲げて受け止める。
ダイキはそこから力を込めるがショウキは僅かに押されながらも受け止め切る。
「こんなもんかッ!もっと攻めてこいよショウキッ!」
「…ならいくぞ、"英雄化"ッ!!」
ショウキを中心に風圧が生じる。ダイキはその風圧を受けて軽く後ろの方へ飛ばされ、仕切り直しになる。
ショウキの体を魔力が覆い、茶色い髪の毛は金色に輝く。体は白金のように煌めき、神々しいその姿はまさに勇者と呼ぶに相応しい。
「お前…またステータスが上がってるな?」
「少しだけどな」
「それのどこが少しなんだよ…。また夜中に魔獣狩りか?」
「時間を無駄にしてる暇はないからな」
ダイキは少しの呆れのあと彼もスキルを発動させる。
「"狂戦士"ッ!!」
剣戟の音はその後、日が朱色に塗られるまで訓練場に響いた。
訓練の時間が終わり、ダイキとショウキは汗を拭っていた。
そこにクラスメイトが声をかける。
「ったく、お前らの模擬戦は訓練には見えないな」
そう言って近寄ってきたのはスキル"爆弾魔"を持つ少年、小林だ。今日もパッとしない彼は今日戦争で使う爆弾の試運転をしていた。
「そっちはどうだった?」
ショウキは友人であり、この世界では掛け替えのない仲間にその成果を聞く。
「お偉いさんがオススメするほどのものではあったと思うよ。木の枝なんかよりデカかったよ」
笑いながら小林は国から渡された上質な火薬を二人に見せる。
「当日は任せとけ」
サムズアップをして自信満々な小林にダイキも応援の言葉を送る。
「期待してるぜガロウッ!」
「そっちの名前で呼ぶなッ!!」
そう、彼の名前は小林牙狼。パンチのあるキラキラネームなのだ。
「いいじゃねえか!こっちじゃ別に恥ずかしくないだろ」
大きく笑いながらダイキはガロウを茶化す。
「お前らがいるじゃねえか…」
日本にいた時も小林は名前でよく茶化されていたため慣れていたが、この異世界に来てから苗字は消えて名前はガロウとなっている。
そのため異世界の住民、王宮の人や騎士団長ガルダから呼ばれ続けて小林は精神的ダメージを受けていた。
小林はせめてみんなだけは小林と呼んでくれと頼んだのだ。
「それよりダイキ、さっきケイタが少しでいいから相手をしてくれだってよ。なんでも新しい技を試したいらしい。第一訓練場にいるよ」
ケイタとは"迅速"、"槍使い"というスキルを持った少年だ。
ケイタはスキルにある通り槍を武器として扱う。しかしそれだけならただのステータスが高い槍兵と変わりない。しかしもう一つのスキル"迅速"、これによる高速攻撃と移動がそこらの槍使いとは一線を画す。
「そうか!じゃあちょっくら揉んでやるかッ!」
さっきまで激しい打ち合いをあのショウキとしていたのに肩をぐるぐる回し、ダイキは両手剣を持って小林が言った第一訓練場へ走っていく。
体力バカは底知れないと内心で小林は思った。
「ああ、あとガルダさんから今夜会議を開くらしいからみんな来てくれだってさ」
小林は忘れていたといった具合でショウキにガルダからの連絡を回した。
「分かったよ」
ショウキに伝えた小林は「またあとでな」と言ってその場から立ち去った。
第三訓練場に残ったのはショウキだけとなり、柱にもたれかかるように座る。他のみんなは別の訓練場にいるためここにいるのはショウキだけだ。
「今夜はきっと戦争についての作戦が伝えらるんだろうな」
次の予定を考えながら疲れを取るショウキ。
そして確実に分かるのは近接戦闘スキル持ちの者は前線に置かれるということだ。その中に自分がいるということも…
そしてふと、あの日の騒動のことを思い出した。
それはカナタが王宮から抜け出してこの国からも出て行ったことだ。
あいつは自分がやられるのが嫌だからといって逃げ出した卑怯者だ。
「みんな、我慢しているんだぞ…。なのにあいつはッ…」
クラスメイトの全員が戦争に前向きなわけがない。実際日が経つごとに、戦争という自分たちとは本来無縁に近いものが迫ってくる現実に泣き叫ぶ者もいた。逃げようとした者もいた。カナタのようにここから出て戦争から逃れようとした者も…
そいつはここから出ても金も何もない、魔獣に対する知識も何もないのに生きていけるわけがないと皆で説得した。泣いた者は一日中付き添って心を落ち着かせた。
生きる上で何でも好きなように、やりたいようにやるなんて出来ない。誰でも分かることだ。だから我慢というものがある。しなくてはならない時があるのだ。
「…戻るか」
日が沈みかけて、ショウキは第三訓練場を見て少し申し訳なさそうに呟く。
「またユウナに直してもらわないとな…」
ユウナとはスキル"魔導士"を持つ理知的で苦労人といった感じの少女で、秘書のような立ち位置にある。
そしてショウキは踵を返して中央に作った大きなクレーターを見て第三訓練場をあとにした。
「まずは夜中に集まってくれたことを感謝する。そして今夜会議を開いたのはラーグナー王国、通称魔女の国と呼ばれるところとの戦争についてだ」
空が漆黒に染まり一つの満月が光を照らす。
王宮にあるとある一室にクラスメイトたちが集まり、ガルダが作戦会議を始める。
机の上に一枚の大きな地図を広げ、赤と青の駒がいくつか並べられていた。
「お前たち勇者は前線組と後衛組に分かれてもらう。前線部隊はショウキ、ダイキ、ケイタ…」
勇者達の名前を呼んでいき前線と後衛に分ける。
「前線と後衛とは別に斥候部隊に加わってもらうやつがいる。ガロウとアカリ、そしてユキナだ」
アカリとユキナはスキル傀儡士、模倣士を持つ二人の少女だ。
「明日から6日後の当日、ガロウの爆弾による遊撃を行う。そして二人には混乱する魔獣計72体を操ってもらう」
ガルダは地図で魔の樹海のある場所に青い駒を動かす。
「そして騎士団と勇者達、魔獣を使い一気に攻める。魔女の国にいる七紋家、彼女たちは君ら勇者でも手に余るだろう」
「あ、あのッ!!」
ガルダの説明の最中、一人の少女の声が場に響いた。
「そ、その国に…カナタくんはいますか?」
恐る恐る尋ねたのは治癒系統のスキルを持ち、クラスでも目立つ存在。リカだ。
そのリカの質問にガルダは僅かに押し黙るが、またすぐに口を開く。
「……まあこの会議で報告しようと思ってたところだし、よかろう。一週間前、ここから抜け出した勇者カナタだがその後の足取りを調べ帝都のある本屋で魔女と出会ったとの報告があった。そこからレイカの協力もありカナタの所在地は魔女の国である可能性が高い」
「ッ⁈じゃ、じゃあ…あいつがこの戦争に関与してるんじゃないですかッ!亡命するために俺たちの情報を売ってる可能性もッ…」
ショウキが慌てるがガルダにそんな色は全く見えなかった。
「何も問題はない」
「えッ⁈」
驚愕するショウキ。そして一拍の間を開けてガルダは話を続ける。
「他国の…それも戦争を仕掛けてくる国から来た者など、どこの国でも警戒されるものだ。それも勇者という強力な力を持つ者だ。逃げてきた理由などいくらでも作れる。だからまともに取り合えてもらえていないよ」
その理由は誰もが納得する言葉だった。
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その次は本編に戻ります!




