11話 魔女の国
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誤字脱字を見直しましたが、見落としがあゆかもしれません。
「さっ、まずは二つ目の取引が先よ。情報を教えて」
十五分程彼女の怒りをぶつけられた後、俺とルリナは取引へと移った。
当然俺の精神的な疲労は大きかった。言い返すタイミングもなく、ただひたすらにプライドを傷つけられた怒りを純粋に投げてきたんだ。気分が萎えても仕方ない。
とはいえ、今から重要な話をするので気を引き締め直す。本当、早く休みたい…
「王宮には騎士団のそれも精鋭の多い中央部隊がいる。それを率いているのが騎士団の団長ガルタ。彼自身、相当腕がいいらしく、指揮官としても優秀らしい。俺がまだ居た時は勇者の育成をしていたよ」
「じゃあその勇者はどうなの?」
「勇者は俺を入れて合計三十人。その勇者を実質的に纏めているのがショウキっていう名前の男だ。ちなみにこいつは勇者の中で、戦闘においては化け物みたいな奴だ」
ルリナは顎に手を当てて、黙って真剣に頷きながら聞いている。
「続けて」
俺はそのまま有力戦力とも思われるショウキについて知っていることを伝えた。
「光属性の上位属性、聖属性を使える。あいつのスキルは"英雄化"。全てのステータスを上昇させるスキルらしく、その上昇率がとにかく高い」
俺は目ぼしいやつらのスキルやその特徴を出来るだけ細かくルリナに伝えた。そしてその中から奇襲に向いているスキル持ちの勇者を絞る。
「話を聞くに奇襲に使わられる勇者は"傀儡士"に"爆弾魔"あとは"模倣士"かしら」
スキル"傀儡士"。これを持つのは島田という女子で、その効果は強力で、それは一定範囲内にいるものを操ることが出来る能力だ。特に戦争といった大規模な集団戦においてはとても高い戦闘力を発揮する。
次に"爆弾魔"。小林という男子が持つスキルでこれは無機物を爆弾に変えるという能力だ。これは本人の意思で爆発させることも自動で爆発させることも出来る。火薬なら通常よりも大規模な爆発を起こすことが出来る。
最後に"模倣士"。これを持つのは竹田という女子で、対象のスキルや能力を一定時間コピーするという能力だ。これは勇者の数が多い現状、警戒くるに値するスキルだ。それこそ少しの間だが、ショウキが二人増えるようなもので、中々に厄介なスキルだ。
「次に決行日とかは分かる?」
「今日から二週間後って話だ。その前に奇襲してくる可能性もある」
「二週間……ね。分かったわ、まずまずの情報ね。とにかく国にこの情報を持って帰りましょう」
そう言うとルリナは片手を前に突き出すとその手から魔方陣が展開され、そこから一本のほうきが出てきた。
「さっ、乗りなさい」
ほうきに跨り、俺にも乗るよう促す。
言われた通り俺はルリナの後ろにほうきへ跨る。魔女にほうきといえば今から何をするか想像に容易い。
「じゃあしっかり掴まっててね」
ゆっくりと地面から離れるとどんどん上空へ上がり、ものの十秒程で辺りを見渡せるだけの高度へ達した。空から一望した緑が広がる光景はとても清涼感のある綺麗なものだった。飛ぶ直前まではルリナから香るいい香りやすぐ後ろにいるので密着に近い状態で、かなりドギマギしていたが、その光景を見た途端に吹っ飛んでいた。
魔女の国がある方へ向かう途中、俺はルリナに気になったことを聞くことにした。
「なぁルリナ、なんで"転移"を使わなかったんだ?」
「魔女の国は強力な結界が施されてるから行くに行けないのよ。"転移"なんて魔女じゃなくてもそういった魔道具もあるから誰でも簡単に侵入されちゃうじゃない」
主に魔女の国で生産される魔道具は重要な収入源になっているという話を聞いた。その有能性の高さから様々な国で重宝されているらしい。
帝国はそんな国を潰そうとしているから神経がわからん。勇者だけで一国を相手取ることが本当に可能なのか?まだ分からないことが多過ぎる。
考え耽っていると俺とルリナは薄暗い森林の頭上を飛んでいた。さっきまで飛んでいた場所は陽の光を浴び青々とした木々が生い茂った自然の風景だった。
しかしそれとは反対にガラリと雰囲気が変わった。
まさに不気味さが溢れんばかりの、密度の濃い木々が隙間なく立っていた。
「ルリナ、ここって…」
「ここが"魔の樹海"。弱肉強食のこの樹海は実力のある者しか入ることを許されない禁忌指定区域。死と隣り合わせで得られるのは希少な魔獣の素材。他にも樹海の奥にある"慈愛の泉"があるわ」
禁忌指定区域…
何とも物騒な言葉だ。だがこの樹海からはその言葉が冗談でも大袈裟でもないと思えるほどの威圧感があった。
暫く"魔の樹海"の上空を進むこと二十分…
ぼんやりと建物が見え始める。距離が縮まるにつれてその建物が天高く聳え立つ大きな塔だというのが分かった。しかしそれは一つだけではなく、目に入る数は七つにも及んだ。
七つの塔は真ん中にある大きな城を中心として円を描くように配置されていた。
「ここが魔女の国、女王と七紋家が治る魔法の国よ」
樹海に囲まれた秘境の国、正規ルートは一本だけで予め女王や七紋家と呼ばれる国のトップが許可を出さなければ通ることが出来ない。
いや、通るだけなら出来るが道中の魔獣が襲い掛かり、その先の検問でも確認を取られる。密入国は不可能に等しい。
ルリナと俺は検問前で降り立ち、目の前にいる二人の検問兵に声をかけた。
「ここを通してくれるかしら?緊急の要件がある」
怪訝な視線を俺に向けながら兵士はルリナに詰め寄った。
「はっ!魔女様とお見受けいたします。どうぞお通り下さい。ですが横にいる男はお手数ではありますが調べさせてもらいます」
魔女だと見抜いた兵士は俺の入国だけ審査を要求した。まあボロボロな服に黒い首輪を付けていたら不審に思うのは仕方ないことだ。
だがルリナは露骨に不機嫌になり、苛立ちを込めた目を兵士に向ける。
「私の下僕よ。気にしないで」
「いえ、そうはいきません!妙な輩をこの国に入れてはなりません!全ては女王陛下の指示です!」
ルリナは検問に引っ掛かる俺を見る。
この人達はちゃんと仕事をしているだけだし、俺みたいな少しでも怪しい奴を調べるのは当然のことだ。
だからそんなに見ないで欲しい。てか怒らないで欲しい。
ルリナは少し声を張り上げて口を開いた。痺れを切らして、無駄ではないがこの削られる時間を削ろうとした。懐に手を突っ込み深海のような青い水晶が埋め込まれたペンダントを取り出して、兵士に見せつけた。
「私はルリナ・インヴィディアっ!七紋家が一つ、インヴィディア家の名の下、この男カナタの入国を許可しますっ!」
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