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クラスの一軍女子を助けた。隣の君に恋をした。  作者: 山田 太郎丸


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7.正ヒロインと脅される親友

閲覧感謝です

 



 姉との地獄の通話を終えてから数日後。月奈に猛抗議した真琴だったがあえなく撃沈。文化祭からは逃れられず、本番は素顔を出すように求められてしまった。


 とはいえ真琴も簡単に引き下がるわけにはいかない。モデルとしてはそこそこ顔と名が知れていたので、この先平穏な高校生活を過ごすためにはどうにか顔を出すのだけは回避しなければならない。


 もちろん他の生徒はそんなこと知る由もないため、『空気を読め』くらいにしか思っていなかった。




「ねえ月奈、山倉くんってどうするの?」


「どうするって、どゆこと?」


「いや、だから…」


「あの陰キャをどうすんのかって言いたいんだろ?気持ちは分かるぜ、最近美波ちゃんに話しかけられて調子乗ってるみたいだしな」




 …駄目だねコイツら。超つまんないわ。下らないプライドばっか身に付けて、その他の部分が全く成長してないお子ちゃま。

 コイツらの驚く顔も見たいし、そのためには彼に頑張ってもらわなくちゃならないんだよねぇ。


 さて、どーしよっかなー。彼、結構頑固そうだし、あたしが何回お願いしても動いてくれなさそー。

 ちょっと気が引けるけど、美波かてっちゃんに頼むしかないかなー。


 うむ、思い立ったが吉日。ちゃちゃっとてっちゃん脅してきますか。




「あたしちょっとやることあるから、テキトーに考えといてー」


「はーい。すぐ戻ってくる?」


「それはちょっと分かんないかな。なるべく早くするつもりだけどね」




 あたしがいなきゃ何にもできない…ってわけじゃあないけど、揃いも揃って碌でもないなぁ。せめててっちゃんが同じクラスに居てくれればどんなに面白かったか。


 ま、無い物ねだりはしたってしょうがないし?あたしは堅実にいきますよっと。




「てっちゃーん、いるー?」


「あん?ああ、月奈か。どした、なんか用か?」


「ちょっと聞きたいことがあってねー。二人きりで話せないかなーって」


「お前と二人きりとか、マジで嫌な予感しかしねえんだけど。………はいはいわーったよ。ごめんな皆んな、ちょっと出てくるわ」




 てっちゃん――灰崎 哲也を連れ出すことに成功した月奈は、昼休み以外は誰も居ない屋上へと向かう。

 その目的はもちろん――。




「あんまり時間もないし単刀直入に言うね。てっちゃん、山倉くんを文化祭に引き摺り出してくれない?」


「やだね」


「わお、即答。理由を聞いても?」


「俺はあいつの親友として、真琴の嫌がることはしねえって決めてんだ。月奈んとこの出し物ってメイド喫茶だろ?どうやって俺たちの関係を知ったかは知らねえけど、俺はあいつの意思を尊重するぜ」


「へぇ〜、見上げた友情だねぇ。んじゃさ、その関係をみんなにバラすって言ったら?」


「………てめぇ、卑怯だぞ。それじゃどっちにしろあいつの正体がバレるじゃねぇか!」




 やっぱてっちゃん、頭回るねぇ。そういうとこは好感持てるんだよ。ただ、自分で正体とか言っちゃってるし、あたしが彼の素顔を知らないって可能性は考えなかったのかな?


 それはいいや。全然バラすつもりとか無いけど、これでてっちゃんは詰み。あたしの計画…なんて大層なものじゃないけど、協力してもらわなきゃね♪




「じゃああたしに協力して、彼に執事姿になるよう説得してよ。彼が居れば美波に手を出そうとする輩も減るだろうし」


「それは…確かにやぶさかじゃねえな」


「それにぃ、陰キャ陰キャって見下してる奴らに吠え面かかせてやりたいしね。どう?面白そうじゃない?」


「絶対そっちが本音だろ!」


「ありゃ、バレたか。そんじゃよろしくねぇ〜」




 はーい、協力者ゲット。これで彼を引っ張り出せる…かな?いやー、分かんない。彼、今までに会ったことないタイプだからイマイチ読めないんだよねぇ。


 だからこそ、面白いって思っちゃうのかな。彼にはそういうよく分からない魅力があるんだよねぇ。


 気になることだらけだけど、今はてっちゃんに任せて、あたしはクラスのこと頑張らなきゃねぇ~。




 なんだかんだと言いつつも、結局は他人思いの月奈。一方その月奈に脅された哲也は、クラスメイトに断りを入れて真琴の元へと向かっていた。




(ったく月奈のやつ、勘弁してくれよ………)




 ほんっと、どこで気付かれたんだよ。俺たちの関係は少なくとも学校内で分かるもんじゃない。学校じゃ全く接点作らないようにしてたしな。

 ならゲーセンか?いやでも学校からは結構距離あるしなぁ…。そもそもあんなとこ、月奈が来るとは思えないし。


 まー…考えてても仕方ねえな。とりあえず真琴に謝んねえと。


 真琴の部屋のチャイムを押す。今日はバイトないから家にいるはずだが……。




「…留守か。どっか出掛けてんのか」


「あれっ、哲也?どうしたの?」


「うおっ!?急に真後ろから話しかけんな!心臓に悪いだろうが!」


「あはは、ごめんごめん。時間あるなら上がっていきなよ。哲也が家に来るのも珍しいし」


「あー、そうだな。ちょっと長くなりそうだし、邪魔すんぜ」




 真琴の部屋に上がり、哲也は思う。

 あまりにも物がなさすぎる…と。


 リビングらしき場所には机と椅子こそあるが、テレビが無い。それ自体は割とあることだが、棚やインテリアなどの部屋を飾るものも全くと言っていいほど存在していない。

 ミニマリストと言ってしまえばそれまでだが、がらんとした部屋の空気にはどこか寂しさを覚えてしまう。


 そんな哲也の様子をなんと思ったか、真琴は座る前にとある部屋へと案内する。




「哲也、物が少なすぎるって思ったでしょ」


「…まあな。ちょっとスッキリしすぎてるとは思った」


「そりゃね。ここにお金かけてるから」


「これは…」




 そこは真琴の自室。リビングとは対照的に、所狭しと物品が並んでいる。


 まず目に入るのは、大きなモニターとパソコン、ゲーミングチェア。棚にはコントローラー類と無数の雑誌。

 雑誌の種類も様々で、ファッション雑誌から漫画類。それにゲーム専門誌だってある。


 極め付きは奥のクローゼット。真琴がクローゼットを開けると、そこには大量の衣服。とても一人で着るような数ではなかった。




「すっげえなこれ……」


「でしょ?コントローラーも色々試してみて、ゲームによって変えたりしてるんだよね」


「いやそれよりも!なんだあの服の数は!?あれ全部着るのか!?」


「あっはは、そんなわけないでしょ?あれはモデルやってる時にもらったやつ。本当は買い取りとかになるんだけど、宣伝とか記念にって渡されたのが溜まっちゃって」


「モデルの話は聞いてたが、やっぱやべえなお前…」




 少々引き気味の哲也。そんな哲也に、真琴はゲームでの対戦を持ちかけ、スイッチの入った哲也もそれを受けてしまう。


 結局、本題に入ったのはそれから一時間後のことだった。




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