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クラスの一軍女子を助けた。隣の君に恋をした。  作者: 山田 太郎丸


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48/56

48.特別な存在

閲覧感謝です

 



 秋華とのデートから数日後。真琴はホワイトデーに渡すお返しについて悩んでいた。


 バレンタインの折、月奈にはよく分からない渡され方をされてしまったせいで、自分も何かそういうことをした方がいいのだろうかと少々的外れな考えを思い浮かべていた。

 それは置いておくにしても、やはり何か思い出に残るものが良いという考えに至ってしまうのは、直しがたい性格故なのかもしれない。


 しかしそれが間違っている訳でもない。真琴は適当なものは良くないと、何が喜ばれるか考えた。

 最初は定番のお菓子にしようとも考えた。ただホワイトデーのお返しには様々な意味がある。中には危険なものも存在しているので、真琴はかなり慎重になっていた。


 あれこれ考えすぎてはいけないと、一度お菓子からは離れてアクセサリーなんかも良いと思い始めた。だが実際に調べてみるとアクセサリーにも意味があったりした。むしろこちらの方が重いため、結局元々考えていたお菓子に立ち返る。


 そして現在、真琴は店に並んだお菓子を見て頭を悩ませていた。




(もう何が良いんだか分かんなくなってきちゃったな…)




 ホワイトデーのお返し。月奈以外の分は既に決め終わって、今悩んでるのはどういう意味を持ったものにするか。

 僕はあんまり気にしないタイプなんだけど、女子はたぶんそうじゃない。月奈は絶対に意味を知ってるし、僕はその分慎重にならなきゃいけない。


 意味の無いものは渡せないし、『友達でいよう』なんて意味を持つクッキーとかでも良いんだけど、それだと僕の伝えたい想いとは違ってくる。

 だからって、金平糖のような『好き』と直接的な意味はちょっとな…。


 綺麗に並べられたお菓子を見て唸っていると、見かねた店員さんが声を掛けてくれる。



「お客さま、ずいぶんと悩まれているようですが、もしやホワイトデーのお返しでしょうか?」


「ええ、そうなんです。お返しにも色々意味があるみたいなので、あまり適当に渡すわけにもいかないな…と」


「ふむふむ。失礼ですが、渡したい方とお客様はどういったご関係で?」


「特別な存在…ですかね。…まあ、僕が片想いしているだけなんですけど。ここで想いを伝えるのは少し違うかなって」


「いいですね〜。青春ですねぇ〜。でしたら、こちらなんかどうでしょうか?」


「これは…マカロン?」



 店員さんが紹介してくれたのは、ショーケースに飾られたカラフルなマカロン。可愛らしくて女性にも人気だって聞いたことがある。

 確か意味は…。



「はい。うちの人気商品で、ホワイトデーに買っていかれるお客さまも多いですよ。それにマカロンに込められた意味は『特別な存在』なので、お客さまにはちょうど良いかと」


「なるほど…。確かに今の僕にはぴったりかもしれませんね。それにします」


「ありがとうございます!」



 店員さんにおすすめされたマカロンを購入して家路に着く。美波にも買っていくか考えたけど、美波に対する『特別』は、月奈に向けるものとは少し違う。今さら後悔しても遅いので、これで良かったんだと自分に言い聞かせる。


 月奈が喜んでくれるといいな。










 ——— ——— ——— ——— ——— ——— ——— ———










 ホワイトデー当日。他の女子には悪いけど、用意したお返しはクラスメイトの分だけ。バレンタインにもらった数が多すぎたのと、そのほとんどが初めて見るような人で、そんな人たちにまで用意するのはさすがに無理だった。

 それでもクラスのみんなには迷惑をかけた自覚があるので、せめてもの気持ちを用意させてもらった。


 なんとか全員に配り終えて、残るは美波と月奈の分。どうやって渡すかはもう考えてある。放課後、屋上に二人を別々に呼び出して、そこで渡すことにした。


 まずは、一緒に帰らない月奈から。美波はいつもみたいに一緒に帰るつもりだから後でも大丈夫だろう。




「ま、今日みんなにも渡してたし、想像はついてるけどねー」


「話が早くて助かるよ。はい、バレンタインのお返し」


「ありがと。今開けてもいい?」


「もちろん。気に入ってもらえると嬉しいんだけど」


「わっ、マカロンだ。カラフルでかわいい〜」



 よし、まずは好感触。驚きと喜びが混ざった表情で少しだけ肩の荷が降りた。

 そしてもう一つの意味。まあ確実に気づいてるだろうけど…。



「『特別な存在』…か。へぇ〜、そんな風に思ってくれてたんだぁ〜」


「もちろん。月奈は誰よりも大切な友達だからね。哲也なんか比にならないくらいには」


「あっはは!てっちゃんが聞いたらキレる通り越して泣きそー!いやー、ほんとありがとね。帰ったら美味しく食べさせてもらうよ」




 そのまま笑顔で校舎に戻っていく月奈。月奈にも渡せたし、最後は美波の分だ。スマホを操作して美波にも屋上に来てもらうよう連絡する。


 それは一瞬の予感。春風が屋上に何を運んできたのか、僕は知らない方が幸せだったのかもしれない。





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