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クラスの一軍女子を助けた。隣の君に恋をした。  作者: 山田 太郎丸


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43/55

43.本当の想い

閲覧感謝です

 



 試合終了後、真琴はすぐに囲まれてしまう。そのルックス、噂の件、哲也が話した完璧ぶり。放っておかれるはずなど、当然ある訳も無かった。


 幸い、教師陣も見に来ていたのが幸いして、大きな騒ぎにはならなかった。

 しかしこれで注目を集めてしまったのは疑いようのない事実。とうとう真琴に逃げ場は無くなってしまった。




「…ま、諦めろよ。元々注目されてたくせに、さらに目立つようなことをしたお前が悪い」


「僕を本気にさせるように煽った哲也も悪いでしょ。何とかしてよ哲えもん」


「誰が哲えもんだよ!?まあフォローくらいはしてやるけどよ、クラスが違うんだ、あんま期待すんじゃねえぞ」


「もちろん。期待してるよ、哲也」



 なんだかんだ言いつつ哲也が優しいのは知っているので、何かあれば手助けしてくれるはずだ。

 それはそうと、僕も楽しくなってやりすぎてしまったのは事実。どうせ限界だと思ってたところだし潮時かな。


 そんな覚悟を決めつつ、女子の試合を観戦するために哲也と一緒にギャラリーへ上がる。そこで待ってた栗田くんや島乃井くんと合流する。



「はーっはっはぁ!!見たか哲也、俺らの完全勝利だな!!」


「いや陽太なんもしてねぇじゃん。真琴がダンク決めただけだろ?」


「うるせぇ、勝ちは勝ちだ!だよな島乃井!」


「え?うーん…まあ灰崎くんのクラス以外の試合は頑張ってたよね」


「お前見かけによらず口悪いな!?その通りだよチクショー!!」



 …なんか似てるねこの二人。そりゃ仲良くもなるよ。ちなみ陽太(ようた)というのは栗田くんの下の名前だそうだ。


 そんなどうでもいい事を考えていると、月奈と美波が手を振っていることに気づく。こっちも手を振り返して、応援していることを伝える。

 すると、その様子を見ていた栗田くんから質問が。



「なぁ山倉よ」


「どうしたの?」


「あの二人と仲が良いことは置いとくが、ぶっちゃけどっち狙ってんのよ」


「どっちとかは無いよ。二人はただの友達で、たぶん向こうもそう思ってくれてるだろうから。そんなこと考えるのは二人に失礼だよ」



 予想通りしょうもないことを聞いてきた栗田くんにそう答える。そう、二人はただの友達。美波を守るのだって月奈に頼まれたからだし、その月奈を家に泊めたのだって不可抗力だ。



「そうか?俺にゃそうは……」


「黙ってろ陽太。真琴も苦労してんだよ」


「……そうか。哲也、お前も大変だな………」


「二人とも何の話してるの?」


「いやいや、何でもねえよ?それよりほら、試合始まんぞ」



 哲也が指差した先では、バレーボールにエントリーした月奈、美波、高槻さんの姿が。美波は脚があれだけ速かったから運動神経もいいだろうし、月奈も体力テストの結果が良かったって高槻さんが言っていた。運動部の高槻さんも言わずもがなだろう。


 まあ想像通りというか。全試合完封で余裕の優勝。この時点で僕らの総合優勝は確定したようなものだけど、一応グラウンドでサッカーの試合を観に行く。


 どうやら決勝戦をやっているようだったけど、僕たちのクラスは3点ビハインドで後半終盤。そのままホイッスルが鳴り試合終了。だけど準優勝だって立派な成績だ。


 ということで最終種目のバドミントンは消化試合。どこかゆるい空気が漂っていたのは少し申し訳ない気もするけど。



「真琴くーん!優勝っ!ぶいっ!」


「お疲れ様、美波。月奈も頑張ってたね」


「ぜぇ、ぜぇ…。どうなってんの二人の体力……。あんだけジャンプして息切れしてないの意味分かんねー…」


「いやいや、るーちゃんだって十分すごいって。私たちの運動量に着いてくるんだから」


「ぜってーもうお前らとバレーやんねー……………」




 月奈はぶつくさと文句を垂れているけど、言葉に反して表情は明るい。きっと彼女なりに楽しめたのだろう。僕も結構楽しめたし、これがマラソン大会だったと思うと正直ゾッとするよ。




 最後に閉会式とトロフィーの贈呈が行われる。といっても大した物ではなく、外見だけのハリボテである。生徒もそんなことは百も承知だが、大事なのは楽しかったという事実。

 高校生にとっては良い思い出になることだろう。


 ただ、真琴だけは別の意味で記憶に残る日になった。先ほどの栗田の問い、『どっちを狙っている』、つまりどちらを好いているのか。真琴はそのことを今まで、無意識のうちに考えないようにしていた。


 だがそれこそが大きな間違いだったのだ。目を逸らさず向き合うべきだった。彼の不調の原因は、まさにそこにあったのだから。

 直接言葉として聞いてしまったことで、直視せざるを得なくなった。彼の中での月奈と美波の存在の大きさ。


 そして、より大きな存在。すなわち想い人がどちらなのか。




 始まりはあの時、美波を助けたこと。それ自体に大きな意味はない。ただクラスメイトが襲われてたから助けただけ。



 それから色々なことがあった。月奈に絡まれたり、美波と同じマンションだったことが発覚したり。


 文化祭でも、美波が大人に絡まれてるところを月奈が助けて、でも今度は月奈が危なくなったところを僕が止めた。あの時の月奈の涙は、たぶん一生忘れない。

 キャンプファイヤーのダンスも踊って、花火も一緒に見た。綺麗だったなぁ。



 クリスマスパーティーもそうだ。あの胡散臭い先輩に絡まれてるところにお邪魔して、少しだけお話ししたっけ。その後月奈の様子がおかしくなって、慰めようと思って一緒にイルミネーションを見に行ったんだよね。結局あの時、サンタクロースへのお願いって何書いたんだろう?



 極め付けは年末年始。いきなり月奈が押しかけてきて、3学期が始まるまでの間泊まっていった。その間にも、同じベッドで寝たり、家族の問題に一緒に立ち向かったりした。

 そして彼女の色んな表情や新たな一面を知ることもできた。




 ああ、そうだよな。こんなにも一緒に居たいって思うのは君だけなんだ。




 本当は分かってたんだ。好きでもない女子を絶対守りたいなんて思わないし、ましてや二人きりで泊めるなんて絶対にしない。




 僕は生まれて初めて恋をした。太陽の陰に隠れた月に。




 その優しい月の光に、僕はどうしようもなく惹かれてしまったんだ。







 僕は、月奈が好きだ。







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萌♪
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