表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラスの一軍女子を助けた。隣の君に恋をした。  作者: 山田 太郎丸


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
21/55

21.陰キャ男子は頭を抱える

閲覧感謝です

 



 文化祭から数週間が経ち、学校内のお祭り的な空気も猛烈な寒波にかき消された頃。

 真琴たちのクラスだけはそうもいかず、連日他学年や他クラスの生徒が押しかけるような事態になっていた。


 その原因はもちろん真琴。今まで素顔をひた隠しにしてきた真琴だったが、文化祭限定でそれをやめたことで、学校中に“謎の長身ピアスイケメン”の噂が広まり、その正体を確かめようと生徒が殺到していたのだ。


 真琴の目立ちたくないという意向を踏まえて、クラスメイト全員で隠し通すことを決めた。幸い、名前も元の姿までもが知られてなかったことで、しばらく経っても気付かれるような気配はなかった。


 しかしそれはそれで謎が深まるため、ついには学園の七不思議―――かなり適当なため誰も5つしかないことには言及しない―――になってしまった。

 完全に真琴の希望通りとはいかなかったが、少なくともしばらくの間その正体が露見することはないだろう。


 それはともかくとして、年の瀬に近づいてきたということは、学生にとって最悪のイベントが待ち構えている、ということでもあった。




「月奈〜、勉強教えてぇ〜〜……」


「またぁ?美波ぃ、あたしテストのたびに勉強会してる気がすんだけどぉ?」


「でも全然分かんなくてぇ……」


「偶には1人で頑張ってみてもいーんじゃない」


「無理ぃぃぃぃ!!!」


「どこぞの吸血鬼じゃないんだから……」




 期末テスト。僕たち学生の頭を悩ませる唯一と言っていいほどの嫌いな要素。終わってみれば楽なものだけど、辛く苦しいのはその前の過程、すなわちテスト勉強だ。


 美波はあんな姿になっているけど、僕だってテスト勉強には力を入れなければならない。なぜなら、両親から上京する際の条件として一定以上の成績を残すことを言い渡されたからだ。

 具体的には学年で20位以内。この学園には各学年五百人ほどが在籍しているため、一桁は難しいだろうという両親からの温情で条件が少し緩和された。


 今のところは20位どころか一桁を維持できてしまっているけど、毎回不安で仕方ないのでこの期間だけはバイトをお休みさせてもらっている。大将には本当に頭が上がらない。


 そんな僕の成績はもちろん広まっていないから、一桁台に謎の生徒がいることになってるんだけど、どうやらそれを知っていた人物が1人だけいたらしい。




「という訳で天才の真琴くん、あとはよろしくねぇ〜」


「ちょっ、月奈さん!?」


「真琴くんお願い!クリスマスパーティーに参加するためにはどうしても赤点を回避しなきゃいけないの!」


「………分かったよ。放課後でいい?」


「うん!場所は――――――」




 なぜか僕の順位を知っていた月奈によって、美波の指導役を押し付けられてしまった。


 まあいいか、美波にも努力するつもりはあるみたいだし。場所だけが少し気がかりだけど。




 この時は思いもしなかった。美波のこの一言で、勉強を教えるだけだったはずが、僕の周りがどんどん賑やかになっていくなんて。











 ——— ——— ——— ——— ——— ——— ——— ———











 その日の放課後、早速美波が提案した勉強場所に向かう。その場所は―――。




「確かに僕の正体を隠すのには最適かもしれないけど……面白くもなんともないよ?」


「いいのいいの!おっじゃましまーす!」




 美波と同じマンション。その3階に位置する僕の住んでいる部屋だった。

 理に適ってはいる。他の生徒の目に付かず、落ち着いて勉強できる場所。いや、僕としては大変落ち着かないが。


 見られて困るようなものはほとんど無いけど、強いて言うならクローゼットだけは見られてはならない。僕の本当の正体を知っているのは月奈と哲也だけ。僕はこれ以上広めるのは危険だと思っているので、もう誰かに話すつもりはないし徹底して隠すつもりだ。


 それはさておき、僕の部屋に入ったということはリビングの現状を目にするということでもあって。




「…………なにこれ、物が全然ない……真琴くん、何か辛いことでもあったの……?』


「そういう訳じゃないよ。僕は一人暮らしだから、節約できるところはしようと思って。テレビもあんまり観ないし、冷蔵庫とか洗濯機とか最低限の物だけでいいかなって」


「なんか寂しいけど、こういうのなんて言うんだっけ?ミニ……ミニミニ…………」


「ミニマリスト、かな?」


「それ!真琴くんって色々考えてるんだね」



 さっき言った通り、ミニマリストだと思われてるのは節約しているからなんだけど、自室を見られるのはまずいのでその辺りは伏せて話さなければならなかった。


 幸いにして美波は信じてくれたようなので、僕もボロは出すまいとそこで話を打ち切って、早速勉強を教えに入る。



「それで、どこが分からないの?」


「全部!」


「……………恨むよ、月奈」




 想像以上の難題を振られていたことに、真琴は思わず頭を抱えてしまうのだった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ