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クラスの一軍女子を助けた。隣の君に恋をした。  作者: 山田 太郎丸


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13.陰キャ男子と文化祭③

閲覧感謝です

 



 なんとか午前中をやり切って休憩の時間。今は、神木さんと柳沢さんと一緒にお昼に食べるものを探している最中だ。


 ここから少しずつ神木さんと柳沢さんのシフトがズレるから、僕は今のうちに体力を付けておかなきゃいけない。

 ということでガッツリしたものが食べたいんだけど、文化祭にそんなのあるかな……。




「見て見て二人とも!でっかいホットドッグだって!」


「いや大きすぎじゃない?」


「あたしの顔より長いんですけど…」


「山倉くんいっぱい食べたいって言ってたし、ちょうどいいかなーって」



 いや、まあ目的には合ってるんだけど。思ったよりも大きいというか、よくこの案を通したね…。

 他に候補も見つからないし、気になるから食べてみようかな。



「え、マジで買うの?てかキミ、その細い体のどこに入るの?」


「そりゃあ…どこだろう。僕ってあまり太らない体質みたいで。増量も一苦労…この話はやめておこうか」


「…キミはなかなか面倒なことになってるね」


「僕が選んだ道だから。今さら後悔したって遅いでしょ」


「さっきから何の話してるのー?私全然分かんないんだけど」


「美波は気にしなくていーの。ほら、トルネードポテトあげるから」


「んっ。美味しい!でもなんで文化祭でトルネードポテト売ってるの?」



 それこそ気にしない方がいいんじゃないかなぁ。トルネードポテトなんて頭で考えて売るものじゃないし。あれ、面白いから売ってるだけでしょ。


 トルネードポテトをむさぼる神木さんはなんだか小動物みたいだったけど、僕はこのホットドッグの処理で限界だったのでなんとも思わなかった。

 反対に、柳沢さんはさっきから何も食べてないみたいだけど。



「柳沢さんは食べなくていいの?」


「んー、ちょっと食欲がね。てか何でもいいから他のスカートないの?ミニスカすごいスースーして気持ち悪いんだけど」


「でも可愛いよ?」


「それには僕も同意するけど、本人が気に入ってないなら意味ないんじゃないかな?」


「よく言った山倉少年!まー、解決策なんてないんだけどね」


「本当に何でもいいなら、方法が無くもないけど」



 そう提案した自分を殴ってやりたい。なんと浅はかな考えだったのだろう。

 教室に戻って早速その提案を実行する。



「こんなのよく持ってたねえ」


「僕、体育は基本見学だから、それ着てないんだよね。綺麗だとは思うけど、嫌なら全然」


「や、そういう訳じゃないけどさ。キミの身長だとあたしにはちょっとおっきいかなーって」



 僕が考えたのは、スカートが嫌ならジャージを着ればいいのでは?というもの。

 だけど柳沢さんが着た後に気づいた。丈が全然合ってない。確かに僕の身長は180cmを超えてるけど、細い分ウエスト周りも小さいからいけると思ったんだ。


 それでもかなりダボダボだった。柳沢さんが細すぎて心配になるほど。

 ちなみに、ジャージ+メイド服は似合っている。言い方は悪いけど、不良ダウナーメイドと言えばいいかな。タバコでも咥えたら似合いそうだ。未成年の喫煙は禁止されてるからもちろん駄目だけど。



「そっちの方が柳沢さんっぽくて良かったんだけどな。サイズが合わないなら仕方ないか」


「うーん、一応スカートでジャージを押さえればいけるかな。んしょ、これでどうよ?」


「いいね。さっきよりも()()()が出てるよ。神木さんにも負けてないんじゃないかな」


「それは言いすぎ。ま、気持ちは嬉しいよ。ありがと」


「どういたしまして。それで、どうする?休憩時間はまだあるけど、神木さんはシフトに戻っちゃったし」



 笑顔で接客する神木さんを見ながら聞いてみる。僕としては休みたい気持ちと神木さんを守らなきゃいけないという考えが半々。優柔不断なのは良くないことだと思うけど、こればかりは僕一人の問題じゃない。



「なら裏で休んでればいいんじゃない?あたしもまだ休みたいし、一緒に休も」


「そうだね、ここなら何かあっても対応できるし。でも思ったより外部のお客さんが少ないような気がする。ちょっと意外かも」


「そりゃウチの高校は立地悪いからねぇ。10分近く上り坂が続くとか、どんなとこに建ててんのって感じ。あたしみたいにか弱い女子にはキツいと思うよ」



 柳沢さんがか弱いかどうかは置いといて、実際この学校の立地は悪い。自転車で来るにもなかなか辛いと思うし、近くに住んでいてもあの上り坂だけはかなり憂鬱だ。駅からも近くはないし、よくこれだけ生徒が集まったと思う。


 ただ、少なすぎるような気もする。親御さんたちもたくさん来るだろうし、もう少しいてもいいとは思う。僕が田舎育ちなだけで、東京は意外とこんなものなのかもしれないけど。



「そっか、キミ上京してきたんだっけ。なんか自己紹介でそんなこと言ってたっけ」


「半年も前のことなのによく覚えてるね。出来るだけ目立たないように、当たり障りのないものにしたつもりだったんだけど」


「確かに、なんで覚えてたんだろ?よく分かんないけど印象に残ってたんだよねー」



 ロン毛、眼鏡、マスク………よく考えたら陰キャどころか不審者だ…。そりゃ柳沢さんも覚えてるよね。


 そんな穏やかな時間も、スタッフルームの外から聞こえてきた悲鳴によって長くは続かなかった。





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