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クラスの一軍女子を助けた。隣の君に恋をした。  作者: 山田 太郎丸


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12.陰キャ男子と文化祭②

閲覧感謝です

 



 関係ないところでダメージを受けた真琴はさておき、担任から文化祭の諸注意が改めて伝えられる。

 全員がそれを確認したところで、次は全校放送が流れる。内容は開始30分前を報せるものだった。


 高校に入って初めての文化祭。教室内の緊張も少しずつ高まっていくが、その中でも美波がいつも通りのマイペースで空気を和ませていた。




「みんな、顔が怖いよ?もっと笑って?せっかくの文化祭なんだから楽しもうよ!」


「そだねー。美波の言う通りだよ。ここまで準備頑張ってきたんだし」




 その言葉にクラスメイトも少しずつ落ち着きを見せ、やがて頑張ろうという気運に変わっていく。


 真琴も気合いを入れ、文化祭の間は何も気にせず自らの役割を全うしようと意気込む。




『ただいまより、文化祭を開始します』




 そのアナウンスと共に文化祭の幕は上がる。


 文化祭は二日間に渡って開催され、生徒は自らの休憩時間を利用して出し物を楽しむことになる。


 出し物は、真琴たちのメイド喫茶をはじめ、縁日やお化け屋敷など多種多様。

 だが生徒の興味はやはり、メイド喫茶に向いていた。


 美波がメイドとして接客することは既に知れ渡っており、学校全体で見ても真っ先に行列が形成されていた。




「柳沢さん、準備は出来てる?」


「それはモチロンだけど、こんなに列が出来るとは思ってなかったなぁ」


「そりゃ神木さんだから。クラスメイトって贔屓目を考えても学年一の人気だし。学校全体で見てもかなりのものだよね」


「ま、今さら嘆いても仕方ないか。よーし頑張るぞー」



 気の抜けた柳沢さんの声で、僕も少し肩の力が抜ける。柄にもなく緊張してたみたいだ。

 僕の役割は神木さんをトラブルから守ること。それが柳沢さんとの共通認識。


 でも、僕の中では神木さんだけじゃなくて、柳沢さんにもその危険はあると思ってる。

 実は柳沢さんが着替えている間、神木さんの相手をするだけじゃなくて、柳沢さんとシフトが同じ人に掛け合って代わりにシフトに入ったのだ。


 そのことを彼女は知らない。どのみち数時間後には知られることなので、あまり気にしてないけど。




 そんなことを考えているうちに、入り口からお客さんが流れ込んでくる。一人ひとり丁寧に案内しているとはいえ、どうしても席数が足りない。

 回転率を上げたいけど、そういう場所でもないので難しいところだ。


 神木さんのボディーガードを任されたとはいえ、僕だってクラスの一員として接客しなければならない。

 今回は男性客にはメイド、女性客には執事が接客すると決まっているので、女性が苦手な僕にとってはかなりの難題。


 覚悟を決めて、二人組の女性客の元へ向かう。




「ご注文はお決まりですか、お嬢様?」


「ひゅっ…………」


「あ、あれ?大丈夫ですか……?」


「……ハッ!だ、大丈夫でしゅ………」


「アールグレイ!アールグレイを2つお願いします!」


「かしこまりました。少々お待ちくださいませ」



 記念すべき(?)初接客は、お客さんが気絶するという謎の始まりだった。僕の見た目に驚いてしまったのだろうか。


 それも仕方ないとは思う。何せ、今の僕はフル装備。ネックレスは雰囲気に合わないから外したけど、耳飾りに加えて髪をバックにしておでこを出し、普段は身長を高く見せないためにしている猫背のフリをやめている。


 若干…いや、だいぶ不良に見えるはず。なんか震えてるみたいだし、もしかして怖がらせてしまったのかな…?


 一応、柳沢さんに相談してみようかな。



「柳沢さん、今大丈夫?」


「だいじょぶだよー。どったの?」


「僕が対応してたお客さん、怖がらせてしまったかもしれなくて、様子を確認してほしくて…」


「おっけー。男の対応しなくて済むし、ちょうど良かったわー」



 …こっちはこっちで不良だったようだ。責任感を持って行動してくれてるのは分かるんだけど、言動がいまひとつずれてるんだよね。


 僕は注文された飲み物を準備するために裏へと移動する。準備と言っても、割れるカップ等は使用禁止なので紙コップに市販の飲み物を注ぐだけ。


 トレイに乗せて紅茶を運ぶ。彼女たちの席に戻ると、なぜか和気あいあいとした空間が形成されていた。



「お待たせいたしました、アールグレイでございます。その…お嬢様方は大丈夫でしたか…?」


「は、はい!ご迷惑をおかけしました!」


「いえいえ、お二人が無事で良かったです」


「それでは後の事は」


「任せて、柳沢さん」



 柳沢さんはパチリとウインクをして去っていく。何があったのかは分からないけど、お客さんも笑顔だし良かったのかな。


 こんな感じで初めての接客は無事完了。周りを見るとまだ外部のお客さんは少ないみたいで、ほとんどが制服を着たうちの生徒だった。


 なんとなくやり方も掴んだし、頑張るぞ。






(と、気合いの入った表情をしたイケメンは眼福ですな)




 彼は自分がイケメンだという自覚が無さすぎるんだよ。いっつもいっつも至近距離で微笑まれて、あたしがなんとも思ってない訳ないじゃん。

 マスクの下を知ってたから余計にドキドキする。今まで茶化して逃げてたけど、あれ以上はほんと無理なんだって。


 でも、美波も彼のことが気になってるみたいだし、あたしはもう関わらない方がいいのかな………。




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