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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第十一章 屯所に吹く新たな風

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おとめの渾身のビンタ

とめは煌びやかな贈り物の全てを返しに屯所にやってきた。とめには無駄なものだから返すと……

しかし近藤はそれどころじゃなくて。

「これは嫌がらせですか?上等の着物にかんざし、こんな私には一生縁のないもの、送られても困ります!」


 そう言ってとめは徐に立ち上がる。


「それに……」


 とめは近藤を部屋の端に追い込み、逃げ場を失わせ他には聞こえないように耳打ちをする。


「……会津は今財政難なんです……局長なら多少の事はお分かりでしょう?」


「ふへ……//」


「?なんだい、その『ふへ』ってのは?」


「……姐さん、これ以上は堪忍してやってください」


 斉藤が静かに止めにやってきた。永倉はというと笑いを堪えるのに必死といった様子で悶えていた。


「……斉藤、今私は近藤さんと大事な話をしてんだ……」


(ああ、おとめさんの匂いが……いい匂い……//)


 近藤はそれどころではなかった。とめに壁の端に追い込まれ、むせかえるようなとめの匂いにもう正体がなかった。


(このいい匂いは、とめさんの香り?それともお香?)


 とめはほのかに上品な白檀の香りを漂わせていた。かなり近寄らないと香らない。


 むぎゅ!


「……ぁ、近藤さん……」


 斉藤の小さな声が聞こえた気がしたが、時すでに遅し。


 ーー正体をなくし、ふらふらになった近藤が、あろうことかとめの胸を掴んでしまった!!


「なぁにすんだい!!!!」


 バシィィィン!!!!


 とめの渾身のビンタが近藤の顔にめり込んだ。


おとめさんの渾身のビンタ、きっといい音がしたんだろうなぁ。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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