おとめの渾身のビンタ
とめは煌びやかな贈り物の全てを返しに屯所にやってきた。とめには無駄なものだから返すと……
しかし近藤はそれどころじゃなくて。
「これは嫌がらせですか?上等の着物にかんざし、こんな私には一生縁のないもの、送られても困ります!」
そう言ってとめは徐に立ち上がる。
「それに……」
とめは近藤を部屋の端に追い込み、逃げ場を失わせ他には聞こえないように耳打ちをする。
「……会津は今財政難なんです……局長なら多少の事はお分かりでしょう?」
「ふへ……//」
「?なんだい、その『ふへ』ってのは?」
「……姐さん、これ以上は堪忍してやってください」
斉藤が静かに止めにやってきた。永倉はというと笑いを堪えるのに必死といった様子で悶えていた。
「……斉藤、今私は近藤さんと大事な話をしてんだ……」
(ああ、おとめさんの匂いが……いい匂い……//)
近藤はそれどころではなかった。とめに壁の端に追い込まれ、むせかえるようなとめの匂いにもう正体がなかった。
(このいい匂いは、とめさんの香り?それともお香?)
とめはほのかに上品な白檀の香りを漂わせていた。かなり近寄らないと香らない。
むぎゅ!
「……ぁ、近藤さん……」
斉藤の小さな声が聞こえた気がしたが、時すでに遅し。
ーー正体をなくし、ふらふらになった近藤が、あろうことかとめの胸を掴んでしまった!!
「なぁにすんだい!!!!」
バシィィィン!!!!
とめの渾身のビンタが近藤の顔にめり込んだ。
おとめさんの渾身のビンタ、きっといい音がしたんだろうなぁ。
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