新撰組局長・近藤の恋
とめは熊二人(斉藤と永倉)を引き連れて壬生の屯所に来ていた。用があるのはーー
「……でっかい門構えだねぇ」
私は石畳の前に鎮座する大きな門構えを見て思わず口を開いた。
「おとめさん、誰を呼んでくればいいんすか?」
後をついてきていた永倉が聞いてきた。
「うーん……いるかいないかわからないんだけど……」
* * *
「局長。お客人です」
近藤の部屋を土方が訪れ、襖越しに伝える。
「俺はいないっつってくれ〜!書状が間に合わねぇ!」
「……おとめさんですが……」
その名を聞いて近藤の手が止まった。
かと思うとバタバタと騒がしい足音が聞こえ、荒々しく襖を開けた。
「おとめさんが!?なんて!?」
「さぁ……ただおとめさんは局長に直々に用があるようで、離れの客間に案内しています」
「歳三!//俺……もしかして告白されるのかなぁ?人生で初めてなんだけど」
二人は離れに向かって歩き出す。
「はぁ?局長はしょっちゅう告白されてるじゃないすか」
「がはは!お前ほどじゃないがな!いや、そうじゃなくて!真面目に俺が惚れた女子からの告白は初めてなんだ!」
「はぁ……そうなんですか……」
そうこうしているうちにあっという間に離れに着いてしまった。
「あば、あばばば……歳三、どうしよう。何話せばいいと思う?」
「知りませんよ……あ、心配なら一緒に入りましょうか?」
「それは断固断る」
近藤には、ちょっといいな……と気になっていた子をことごとく土方に横取りされた苦々しい思い出があった。
横取りされたとは言っても女子の方が勝手に土方に惚れていくのだが。
「おとめさん、お待たせして申し訳ないです//」
襖を開け、離れの客間を見ると、客間の真ん中に咲く可憐な一輪のおとめさん……と、その両脇に斉藤と永倉。
「なんだ。お前らも一緒だったのか」
途端に不機嫌になる近藤。わかりやすい男である。
「近藤さん、こちらこそわざわざ来てもらって申し訳ないです」
「いやいや、おとめさんのためならこの近藤勇、たとえ火の中水の中……」
言いかけて近藤の言葉が止まる。
よく見たら黒谷に送ったはずのとめあての贈り物が山積みになっている。
「近藤さん。これはどういうつもりですか?」
荷物の山を指差してとめは近藤にすごむ。
「へ?」
「これは嫌がらせですか?上等の着物にかんざし、こんな私には一生縁のないもの、送られても困ります!」
そう言ってとめは徐に立ち上がった。
とめは一筋縄ではいかない女です。笑
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