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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第十一章 屯所に吹く新たな風

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沖田が謝った記念日

とめと虎之助は、局長の部屋にいるであろう沖田に謝りに来ていた。

そこへーー

「いえいえ、もう気にしてませんから。それに悪いのはこちらですし」


 と、何故かとめが近藤を(なだ)める。


 虎之助は畳におでこを擦り付けたままで頭をあげようとしなかった。


 そこへーー


「……もう、いいですよ……」


 闇の中から沖田がいつのまにか現れて、照れくさそうに頬をかいていた。


「……あの時は僕も、酔っ払いの戯言(たわごと)を間に受けたのも悪かったと思うし……」


 沖田はいつのまにか部屋の中央に立っていた。

 

 いつも端っこのほうにいる沖田が、この時は珍しく自分から前に立った。


「それに一般人に向けて殺気を出したのはやはり良くなかったと思う……」


 沖田はとめの方をまっすぐ見た。


 今度は気配も消していない。はっきりした沖田の姿で。


「……ごめん……」


「……っ!」


 謝られるとは思っていなかったとめが目を丸くしている。


「総司……お前、成長したなぁ!!おいお前ら、酒をもっと用意しろ!今日は総司が殺気を制御した日に加えて、『総司が初めて人に頭を下げた記念日』なんだから!」


 さっきまで沖田を責めていた近藤が、今度はまた褒めちぎっていた。


「ふふっ」


 そのやりとりが面白くて、とめは思わず吹き出してしまった。


「噂には聞いてましたけど、近藤さんってまるで沖田の保護者みたいですね」


「えっ!?」


「言いたいことは言えたので帰ります。もう夜も遅いし……ほら、虎之助!いつまでへばりついてんだい!」


 虎之助を畳からひっぺがし、とめが部屋を後にしようとしたその時ーー


「とめさん、送ります!」


「へっ??」


 帰ろうとするとめを止めたのは、意外にも近藤だった。


 真剣な眼差し。

 少しだけ震えている指。

 ほんのりと赤く染まった頬。


 そう、近藤はーー


 とめに一目惚れしていたのだ。

とめは結構モテるんです。

気付いてないのは本人だけという。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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