会津藩主松平容保正室・敏姫
とめが倒れたと聞いて敏姫は慌てて部屋に来た。
敏姫がよくよく話を聞いてみると、どうやら……
会津藩 黒谷のお屋敷の一室にてーー
「とめ!」
知らせを受けた敏姫がいち早くとめの寝ている布団の横に座し、その手を取る。
「とめ……」
「す、すみません敏姫様!俺が酔っ払って失言したのがこうなった原因なんです!」
虎之助が布団の横でしゃくりあげていた。
「…………」
「とめは、俺なんかを庇って……ううう、グスッ」
「虎之助」
ーーとめ。今までとめには守られてばかりだった。
病に伏している時も一番心配してくれて。
世話をかけて。
私が生き直すことを何も言わず受け入れてくれて。
私のわがままをいつも聞いてくれた……
《今度は私が守る!》
敏姫はとめの手を握る手に力を込めた。
「それは違います。虎之助」
敏姫は姿勢を正し、まっすぐに虎之助を見ていた。
いつもの敏姫とは雰囲気が違う。
凛としたその姿は、まさに会津藩主・松平容保の正室のそれで。
「とめが虎之助を庇ったのは、虎之助だからです。虎之助を失いたくない。だから沖田さんに立ち向かったのです。気を失うほどの殺気を受けながら」
それを聞いて虎之助の顔がザーッと聞こえるほど青くなるのがわかった。
「とめ、俺を守るために……とめぇぇぇぇぇ!!」
「……うるさいねぇ、おちおちゆっくり寝られもしないよ」
その時とめが布団からだるそうに体を起こした。
「とめ!もう大丈夫なの?」
「……酒のおかげで、沖田の殺気が霧散しちまったようで。ただちょっと、気を張りすぎちまったようだね」
「とめ……」
敏姫はとめの手を握り直した。
それにーー
「沖田はあの時無意識に殺気を逸らしてくれたんだ。全く殺気まで素直じゃないんだから」
「とめェェェェ!!俺は!俺はお前が死ぬんじゃねえかと!お、俺を置いて……」
虎之助が布団ごととめを抱きしめた。
布団に虎之助の涙と鼻水がしみる。
「ばっか。お前みたいな臆病者、私がいないとすぐ死ぬだろ?置いて死ねるかってんだ」
「とめ、とめェェェェ!!」
「だからうるさいよ!」
敏姫はその様子を見て安堵のため息を漏らした。
(……沖田さんが……無意識に殺気を逸らした……?)
敏姫は困ったように軽く笑い、その場を後にした。
おとめさんは虎之助だから守りたかったんです。
それにしてもおとめさん男顔負けの勝ち気っぷり。
虎之助は何をやってんの
最後まで読んで頂きありがとうございました。




