表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第十章 酒と祭りと不穏な影

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

89/210

会津藩主松平容保正室・敏姫

とめが倒れたと聞いて敏姫は慌てて部屋に来た。

敏姫がよくよく話を聞いてみると、どうやら……

 会津藩 黒谷のお屋敷の一室にてーー


「とめ!」


 知らせを受けた敏姫がいち早くとめの寝ている布団の横に座し、その手を取る。


「とめ……」


「す、すみません敏姫様!俺が酔っ払って失言したのがこうなった原因なんです!」


 虎之助が布団の横でしゃくりあげていた。


「…………」


「とめは、俺なんかを庇って……ううう、グスッ」


「虎之助」


 ーーとめ。今までとめには守られてばかりだった。


 病に伏している時も一番心配してくれて。

 世話をかけて。

 私が生き直すことを何も言わず受け入れてくれて。

 

 私のわがままをいつも聞いてくれた……


 《今度は私が守る!》


 敏姫はとめの手を握る手に力を込めた。


「それは違います。虎之助」


 敏姫は姿勢を正し、まっすぐに虎之助を見ていた。


 いつもの敏姫とは雰囲気が違う。


 凛としたその姿は、まさに会津藩主・松平容保の正室のそれで。


「とめが虎之助を庇ったのは、虎之助だからです。虎之助を失いたくない。だから沖田さんに立ち向かったのです。気を失うほどの殺気を受けながら」


 それを聞いて虎之助の顔がザーッと聞こえるほど青くなるのがわかった。


「とめ、俺を守るために……とめぇぇぇぇぇ!!」


「……うるさいねぇ、おちおちゆっくり寝られもしないよ」


 その時とめが布団からだるそうに体を起こした。


「とめ!もう大丈夫なの?」


「……酒のおかげで、沖田の殺気が霧散しちまったようで。ただちょっと、気を張りすぎちまったようだね」


「とめ……」


 敏姫はとめの手を握り直した。


 それにーー


「沖田はあの時無意識に殺気を逸らしてくれたんだ。全く殺気まで素直じゃないんだから」


「とめェェェェ!!俺は!俺はお前が死ぬんじゃねえかと!お、俺を置いて……」


 虎之助が布団ごととめを抱きしめた。

 布団に虎之助の涙と鼻水がしみる。


「ばっか。お前みたいな臆病者、私がいないとすぐ死ぬだろ?置いて死ねるかってんだ」


「とめ、とめェェェェ!!」


「だからうるさいよ!」


 敏姫はその様子を見て安堵のため息を漏らした。


(……沖田さんが……無意識に殺気を逸らした……?)


 敏姫は困ったように軽く笑い、その場を後にした。


おとめさんは虎之助だから守りたかったんです。

それにしてもおとめさん男顔負けの勝ち気っぷり。

虎之助は何をやってんの


最後まで読んで頂きありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ