男前のおとめ
酔った虎之助は、饒舌多弁にもなった。
よりによって沖田に絡みにいったのだ。
「ほら、虎之助。もういいから水飲みな。もう負けだ!いいね?」
「まらまらァ!!まらいけりゅぞおりは」
その瞬間、虎之助がバランスを崩して私を抱きしめるように倒れた。
「おっとお!全く情けないね、ほら虎之助」
私は虎之助を担ぐようにしてずり落ちないように抱きしめた。
「おとめさんいいのかい。その格好は?虎之助は一応男ですぜ?」
永倉がおかしなことを聞いてきた。
「はっは!こいつとは阿保なガキの頃からの付き合いだ。今さらそんな気は起こさないよ!それより永倉、ペースが落ちてるよ」
「くくく……新八。女子に負けるとは……」
土方さんが色気たっぷりに酒を燻らせて笑う。
「お前も一度負けてんじゃねぇか!油断すんなよ、おとめさんはザルなんだから」
「……いらぬ世話だ……うーむ……」
虎之助の次に斉藤が船を漕ぎ出した。さっきまで平然としてたのに。
結局、残ったのは永倉と土方さんと私。
ーー油断ならないのはこちらも同じ。
永倉も土方さんも。私がやり合った中で1、2を争う手練れだ。
「決着をつけようじゃないか。酉の刻までに二人が潰れたら私の勝ち、逆に正気を保っていたら私の負け」
「乗った!」
「ああ、余裕だな……」
「どうかな?私はまだまだ平気だよ!」
* * *
数刻後ーー酉の刻に差し掛かると言う時間。
永倉は大いびきをかいて応接間で大の字になって寝ており、土方さんは自分の腕を枕にしてなんか色気のある感じで寝ていた。
「はっはっは。どうやらまた私の勝ちのようだね!」
私がそう言って味噌田楽に手を伸ばしたその時ーー
「……しょれに俺ァ知ってるんだぞ……沖田さんは敏姫様に恋してるんだ……」
「何……?」
今まで冷ややかに熊三人を観察していただけの沖田が、虎之助の言葉に反応して鯉口を切る。
ためらいなさすぎィ!!
「わぁ〜!!沖田沖田!落ち着いて!酔った虎之助の言うことは鵜呑みにしちゃいけないんだ!」
「……訂正してください……」
虎之助に刀を構えたまま沖田が凄む。殺気まで出てる!熊三人はみんなぐでんぐでん。
万事休す!
くそ〜!怖いけど、私がやらなきゃ誰がやる!
「虎之助!」
私は虎之助を背後に隠し、護身用の短刀を胸元から取り出す。
勝てるわけなかったけど、黒谷で刃傷沙汰を起こすわけにはいかない。
「沖田!来い!私が相手だ!」
沖田を相手に挑むなんて、おとめさんは強い女。
この一瞬で主への忠義と、覚悟を決めています。
虎之助は何をやってんの
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