祭りのあと
不穏な空気を残しつつも、葵祭は滞りなく終わった。
そこへ幼馴染の虎之助がやって来て……
お祭りが終わった翌日ーー
結局あのあと不穏な気配は間もなく消えて、葵祭は滞りなく終わったが……
あの男は姫様の方を見ていた。
そしてーー
なにごとかを呟いたけど、それが何かはこちらからは聞き取れず……
「なぁんか嫌な予感がするねぇ」
姫様の洗濯物を干して私が一人言を言った時ーー
「まいどあり〜♪虎屋の虎之助です」
虎之助の声が聞こえた。
「虎之助!あんた最近よく来るねぇ!」
「はっはっは、ここの永倉さんがよく酒を買ってくださるんで、あと姫様がお元気になったんで菓子も。薬屋の方はすっかり形をひそめちまったが」
虎之助は少し目を伏せて頬をかきながら口を開く。
「薬よりも茶やら酒やらを売ってる方が気楽でいいや。苦しむ姫様をこれ以上見たくなかったから」
はぁ、どうせそんな事だと思ったよ。
「あんたは相変わらずだねぇ。気が弱くて泣き虫で、厄介な事があればすぐ逃げるんだから」
私は呆れたように肩をすくめた。
「うっ、うるさいやい!//」
「それで?今日は何だい?」
「へへ〜!そういえばお前とまだ飲み比べで勝った事がないからな!今日は勝つぜ!」
そう言って虎之助は酒瓶を持ちあげた。
「あんた……こっちは今それどころじゃない……」
私はそこまで言って言葉を止める。目の前にはきょとんとする虎之助の顔。
(こいつには関係のない話だもんな……うっかり話して、怖いって泣かれても困るし)
「勝負を受けてもいいけど……私が勝ったら何かくれるんだろうね?」
勝つ前提で話をする。当然だ。虎之助は酒がべらぼうに弱いんだ。
「ああ!用意してる」
はぁ……負けるってわかってるのになんでこんなに嬉しそうなんだろうね。
虎之助はとめと飲めるのが嬉しいだけです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。




