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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第十章 酒と祭りと不穏な影

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祭りのあと

不穏な空気を残しつつも、葵祭は滞りなく終わった。

そこへ幼馴染の虎之助がやって来て……

 お祭りが終わった翌日ーー


 結局あのあと不穏な気配は間もなく消えて、葵祭は滞りなく終わったが……


 あの男は姫様の方を見ていた。


 そしてーー


 なにごとかを呟いたけど、それが何かはこちらからは聞き取れず……


「なぁんか嫌な予感がするねぇ」


 姫様の洗濯物を干して私が一人言を言った時ーー


「まいどあり〜♪虎屋の虎之助です」


 虎之助の声が聞こえた。


「虎之助!あんた最近よく来るねぇ!」


「はっはっは、ここの永倉さんがよく酒を買ってくださるんで、あと姫様がお元気になったんで菓子も。薬屋の方はすっかり形をひそめちまったが」


 虎之助は少し目を伏せて頬をかきながら口を開く。


「薬よりも茶やら酒やらを売ってる方が気楽でいいや。苦しむ姫様をこれ以上見たくなかったから」


 はぁ、どうせそんな事だと思ったよ。


「あんたは相変わらずだねぇ。気が弱くて泣き虫で、厄介な事があればすぐ逃げるんだから」


 私は呆れたように肩をすくめた。


「うっ、うるさいやい!//」


「それで?今日は何だい?」


「へへ〜!そういえばお前とまだ飲み比べで勝った事がないからな!今日は勝つぜ!」


 そう言って虎之助は酒瓶を持ちあげた。


「あんた……こっちは今それどころじゃない……」


 私はそこまで言って言葉を止める。目の前にはきょとんとする虎之助の顔。


(こいつには関係のない話だもんな……うっかり話して、怖いって泣かれても困るし)


「勝負を受けてもいいけど……私が勝ったら何かくれるんだろうね?」


 勝つ前提で話をする。当然だ。虎之助は酒がべらぼうに弱いんだ。


「ああ!用意してる」


 はぁ……負けるってわかってるのになんでこんなに嬉しそうなんだろうね。


虎之助はとめと飲めるのが嬉しいだけです。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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