怪しい影
土方はモテたり、永倉は屋台が本職だったり、斉藤は刀を見ていたりとそれぞれ葵祭を楽しんでいたが、そこへ明らかに不穏な影が……
「……まぁいいけど……」
沖田がそう言ってため息をこぼした時ーー
ピリッと……微量な空気の乱れを感じた。
屋台の三人も気がついたようで、こちらに視線を寄越す。
斉藤がすかさずこちらに背中を向けて周囲を警戒する。
「…………」
土方が息を殺す。
斉藤が腰の刀に手を伸ばす。
永倉は接客しながらも視線は鋭く。
沖田は周囲に気を張り巡らす。
容保様は姫様をさりげなく抱きしめるようにして庇う。姫様だけが、気付いていない。
私はただ固まってしまった。
この獣のような、隠そうともしない殺気を目を閉じて流すしかなかった。
(何!?何が起こっているの!?)
ーーその時だった。
人混みの奥。
葵の葉の影に、ひとりの男が立っていた。
浪士のような荒い着流し。無精髭。
だが、その目だけが妙に鋭い。
男は祭など見ていなかった。
ただーー
猛獣のような視線が、敏姫だけをとらえてーー
「……見つけた……」
と呟いた。
すみませんちょっと短めでした!容保公のさりげない守り方がかっこいいです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。




