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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第十章 酒と祭りと不穏な影

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怪しい影

土方はモテたり、永倉は屋台が本職だったり、斉藤は刀を見ていたりとそれぞれ葵祭を楽しんでいたが、そこへ明らかに不穏な影が……

「……まぁいいけど……」


 沖田がそう言ってため息をこぼした時ーー


 ピリッと……微量な空気の乱れを感じた。


 屋台の三人も気がついたようで、こちらに視線を寄越す。


 斉藤がすかさずこちらに背中を向けて周囲を警戒する。


「…………」


 土方が息を殺す。

 斉藤が腰の刀に手を伸ばす。

 永倉は接客しながらも視線は鋭く。

 沖田は周囲に気を張り巡らす。


 容保様は姫様をさりげなく抱きしめるようにして庇う。姫様だけが、気付いていない。


 私はただ固まってしまった。


 この獣のような、隠そうともしない殺気を目を閉じて流すしかなかった。


(何!?何が起こっているの!?)


 ーーその時だった。


 人混みの奥。


 葵の葉の影に、ひとりの男が立っていた。


 浪士のような荒い着流し。無精髭。


 だが、その目だけが妙に鋭い。


 男は祭など見ていなかった。


 ただーー


 猛獣のような視線が、敏姫だけをとらえてーー


「……見つけた……」


 と呟いた。

すみませんちょっと短めでした!容保公のさりげない守り方がかっこいいです。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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