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もう一度、あなたと。  作者: 杉野仁美
第十章 酒と祭りと不穏な影

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自由な人たち

葵祭ではしゃぐ敏姫。それを穏やかに見守る容保公。

沖田は敏姫に「友」と認められて誇らしげに姫の隣に座る。

一方屋台組は……

「きゃあ!土方様よ」


「生土方めちゃくちゃ尊い!!」


「誰か〜!!写真撮って写真!!」


 黄色い声のする方を見ると、人だかりができていた。そのほとんどが女性だ。


「こんなところでお会いできるなんて……運命だわ」


「ちょっとそこの娘どきなさいよ!私の土方さんが見えないじゃない。あんただけの土方さんじゃないのよ!」


「何よ!あなたこそ!」


 ありゃりゃ……モテる男は大変だ……どこに行ってもその有り余る色気で女を引き寄せちまう。


「……俺は誰かのものになるつもりはない」


 ボソッと低く呟く声。


「ちょっと聞いた!?お姿だけじゃなく声まで聞けたわ!決めた。私この耳一生洗わない」


「……いい声すぎて死ぬ。き、今日が私の命日なの……覚えておいて……ガクッ」


「だ、誰かのものにもならないって……つまり私たちの土方さんってことォ??」


 おいおい(汗)女子たち興奮しすぎだって!


 私がハラハラしながら屋台を見ていると……


「ほら、役立たずと言ったでしょう?土方さんがいるんですから」


 沖田がそう言ってため息を漏らす。

 た、確かにそうだわ。いや土方さんがそうなだけで他の二人はまだ大丈夫なはず……


「すげえ〜!土方のおかげで飴ちゃんが飛ぶように売れてくぜ!」


 永倉は何故かこっちが本職であるかのように働いており。


 斉藤は何故か他の屋台を覗き込んでいる。その目の先には、作り物の木刀!


 いやいや自由すぎる!あんたら本来の目的忘れてない?


「……ふん。大の大人がみっともない……」


 沖田がそう呟きながら出された茶を啜った。


「殿!見てくださいませ!斎王代様ですわ!神輿に担がれて麗しいです……」


 姫様の言葉に目を細め、容保様はそっとその手を握る。


「そうだな……でも私にとっては敏の方が美しい……」


「……殿……//」


「……」


 沖田がこちらを見る。いや、わかるよ?わかってる!このお二人はいつもこうなの?て言いたいんでしょ??


 そうだよこのお二人はいつもこの調子なの!


「……まぁいいけど……」


 沖田がそう言ってため息をこぼした時ーー


 ピリッと……微量な空気の乱れを感じた。

自由な新撰組の面々が書けてよかったです。


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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